三日月氏(中央)は嘉田知事(前列左から2人目)と二人三脚で勝利を手にした。地元では「自民党の自滅」と言われる(撮影/森井英二郎) (c)朝日新聞社 @@写禁
三日月氏(中央)は嘉田知事(前列左から2人目)と二人三脚で勝利を手にした。地元では「自民党の自滅」と言われる(撮影/森井英二郎) (c)朝日新聞社 @@写禁

 いくら冷静を装おうとしても、人の心はにじみ出るもの。滋賀県知事選(7月13日投開票)での与党推薦候補の敗北は、安倍晋三首相にとって“まさか”の事態だった。

「集団的自衛権の議論が(知事選に)影響していないと言うつもりは毛頭ない」
「しかし、基本的には滋賀の将来について未来を誰に託すかという選挙だったと思う」

 屈辱的な開票から一夜明けた14日、集団的自衛権をめぐる衆院予算委員会の集中審議で、安倍首相はこう語った。1日に断行した閣議決定の影響を素直に認めたように聞こえるが、むしろ言いたいのは後段、負けたのはあくまでも現地の特殊事情だからね、ということである。

 菅義偉官房長官も14日の記者会見で「あくまで地方選挙だ」と強弁したが、「関係ない」と言えば言うほど、そのショックの大きさがうかがい知れる。

 それも無理はないだろう。もともと「与党圧勝」と言われた選挙だった。

 自公がそろって推薦したのは、経済産業省の元官僚で、内閣参事官としてアベノミクスの柱である「成長戦略」の立案に携わった小鑓(こやり)隆史氏(47)。対するは、「卒原発」を掲げる前民主党衆院議員の三日月大造氏(43)。民主党の不人気も手伝って当初の情勢調査は「10ポイント差」とも言われ、小鑓陣営には楽勝ムードが漂っていたという。ジャーナリストの横田一氏が解説する。

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