歌がうまいだけでは目立てない。演歌歌手としてブレークするためにはプラスアルファの魅力が不可欠。演歌界を支える若手たちは自分の「武器」をいかにして発見したのか?

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■山内惠介/トーク力
「ツアーアーティスト」の精神で客に伝える「おもてなし」の心

山内惠介(やまうち・けいすけ)/1983年、福岡県生まれ。99年に作曲家・水森英夫氏にスカウトされ、2001年「霧情」でデビュー。08年に演歌界で初めてライブハウス「Zepp札幌」でコンサート。13年、初主演舞台「曽根崎心中」を兵庫・東京で17公演。15年、紅白歌合戦初出場。昨年は明治座で初座長公演を開催。新曲「唇スカーレット」と和の世界を歌ったアルバム「Japan」が好評発売中。全国縦断コンサートは11月まで各地を回る。最近ハマっていることは、「動物園に行くこと。各地の動物園に行って、癒やされてます」(山内さん) (撮影/横関一浩)
山内惠介(やまうち・けいすけ)/1983年、福岡県生まれ。99年に作曲家・水森英夫氏にスカウトされ、2001年「霧情」でデビュー。08年に演歌界で初めてライブハウス「Zepp札幌」でコンサート。13年、初主演舞台「曽根崎心中」を兵庫・東京で17公演。15年、紅白歌合戦初出場。昨年は明治座で初座長公演を開催。新曲「唇スカーレット」と和の世界を歌ったアルバム「Japan」が好評発売中。全国縦断コンサートは11月まで各地を回る。最近ハマっていることは、「動物園に行くこと。各地の動物園に行って、癒やされてます」(山内さん) (撮影/横関一浩)

 コンサート会場を埋め尽くしたファンが、ペンライトを振りながら曲の途中で合いの手を入れる。「L・O・V・E・アイラブ・ケイちゃん!」。歌を歌えばアイドル全盛時代のファン顔負けの声援、曲と曲の間には積極的にトーク(MC)を入れ、それがことごとく笑いを取り、時にしんみりさせる。気が付いたら、アンコールまで2時間30分のコンサートが短く感じられるほど引き込まれていた。定評のある歌唱力はもちろんだが、なによりそのトーク力に驚かされた。

「しゃべりに関しては、もう10年来やらせてもらっているラジオが大きいですね」
 コンサート後の握手会を終えた山内惠介さんはそう答え、ニッコリ笑った。

「気が付くと自然にステージのことを考えているんです。だから仕事で地方に行った時などに見たもの聞いたものが“あっ、この話、ネタになる。今度、ラジオやコンサートでこの話をしたら面白いだろうな”っていうことの積み重ねです。これって歌手のサガでしょうかね(笑)」

 現在、全国47都道府県をすべて回るコンサートツアーの真っ最中。連日、全国を飛び回っている。2001年に17歳でデビューして以来、着実にファンを増やし続け、09年の「風蓮湖」が連続50週オリコンチャート入り、14年には「恋の手本」で初めてオリコントップ10入り。そして15年から4年連続で紅白歌合戦に出場中だ。

 紅白初出場を果たしたデビュー15周年の年に、NHKホールで周年記念のソロコンサートを行った際には、北海道から九州まで全国のファン3千人が集まった。この時に「今度は皆さんの元へ、僕が足を運ばせてほしい」と47都道府県ツアーの実現という夢を抱いた。それ以来、ステージ上での意識も変わったという。

「来ていただいたお客様全員、一人残らず楽しんでもらいたいという気持ちが強くなり、一番後ろの席もステージから見られるようになったんです。僕としては“おもてなし”の気遣いができるようになった。そのおもてなしの心を感じてくれたのでしょうか、今度はファンの方々が盛り上げてくださるようになったんです。思いは伝わる、しかもいい連鎖しか生まないと感じています」

 来年の20周年記念イヤーに向けても気持ちは変わらない。

「今日のベストを見せれば後悔することはないという思いで毎日を過ごしています。僕は一生ツアーアーティストであり続けたいと思っています」

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