【2】は、聞くタイミングが難しいことだが、用意しておけば親にとっても安心になる。葬儀の際、棺の中には故人にちなんだ物を入れることが多いが、入れる物は人によってさまざま。基本的には燃える物に限定されるが、もしものときに備えて、親が元気なうちに、棺の中に入れたいもの、着たい服などの旅立ちセットを聞いておくと、最期まで親の意向を汲み取ることができる。

「棺の中に入れたい物で多いのは写真。葬儀のときに家族写真を写真展のようにして飾り、参列者が昔話に花を咲かせることもあります。一緒に片付けをしているときに、“最期まで持っていたい物は?”“どんな洋服を着たい?”などと、さりげなく聞くのがお勧めです」(永井さん)

【3】についても、親が元気なうちに本人に選んでもらうのが理想的。写真を整理するタイミングで、家族と相談しながら、何枚か候補を選んでおくと良い。

「ただし、過去の写真で遺影にできる物は意外と少ないもの。そのため、写真館で新たに遺影を撮影する人も増えています。すでに施設に入所していたり入院したりしている場合には、アルバムを持っていって、昔話を聞きながら選んでもらうのも良いでしょう」(同)

 大切なものこそ、生前に片付けた上で、家族に託しておけるに越したことはない。いざそのときになって慌てないためにも、早めの着手がお勧めだ。(フリーランス記者・松岡かすみ)

週刊朝日  2023年3月24日号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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