週刊朝日 2023年3月10日号より
週刊朝日 2023年3月10日号より
提供元:産業雇用安定センター(週刊朝日 2023年3月10日号より)
提供元:産業雇用安定センター(週刊朝日 2023年3月10日号より)

 現在は、紹介する職種はマンション管理や介護、警備などが“王道”だが、シニアでもパソコンを使える人がいることに中小企業が目を向け始めており、職種は徐々に広がる兆しがあるという。

 同財団も、65歳以上を対象とした職場体験のマッチング事業を行っている。希望する職種や収入、働き方のほか、略歴やアピールポイント、活用できる能力、知識、資格などを書き込む専用シートを提出し、それをもとに担当の相談員がマッチングする。当日は職員が同行し、企業から説明を受けたり、見学・体験ができたりするというものだ。

 産業雇用安定センターも東京しごと財団も、定年退職後の働き方を考えるセミナーやシニアの就活支援のためのプログラムが数多くあり、下調べするだけでも就活に向けた知識や情報を得ることができそうだ。

 これらはいずれも東京都がメインだが、地方企業とのマッチングで定年間近に就職した人もいる。

■どんな人にも役立つ力がある

 神野憲治さん(55)は昨年6月、32年間の会社員生活に終止符を打ち、9月から石川県で単身、働いている。建設業やアミューズメント業などを経験してきた神野さんは、定年前に別の仕事に就くと決めていた。

 神野さんの場合、70~80代に比べたらまだまだ若く、体力もある。さらに家庭環境が整っていた点が大きいという。

「3人の子どもも巣立ち、親の介護も終わったタイミング。家のローンもなく妻も仕事をしていたんで」

 神野さんは、石川県にある「協同組合全国企業振興センター」が実施している、大都市圏の中核人材と地域企業をマッチングするプログラムに応募して合格した。同センターは、全国で約1千社の中小企業が組合員となっており、異業種交流を通じて様々なマッチングの場を提供している。

 神野さんは、金沢大学の客員研究員となり、派遣された石川県内の企業の課題を解決する仕事をしている。派遣先は電機会社で、期間は6カ月、報酬は月30万円。

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