週刊朝日 2022年7月22日号より
週刊朝日 2022年7月22日号より

 一茶は「屁くらべがまたはじまるぞ冬ごもり」と詠んでいる。

 では、ガス腹を解消するにはどうしたらよいか。

「上体ひねりや下腹部への指圧で腸の動きを活発にするのがいい。ほかには“笑うこと”が有効です。笑いは腸に刺激を与えるので、意識的に笑うようにしましょう」(同)

 金丸医師によると、おならの回数は個人差があるが1日7~20回くらいが平均。腸内細菌が作り出すガスは窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタンなどが主成分で、基本的には無臭。しかし、腸内細菌に悪玉菌が多いと、ニオイのきついおならになりやすいという。便秘もおならのニオイを変え、回数を増やす要因になる。

 だとすると、おならの回数やニオイで体調の変化もわかるのではないか。文豪・夏目漱石には、胃腸の病気でおならが多かったという逸話がある。鏡子夫人が著した『漱石の思い出』には、胃弱だった漱石はガス腹になりやすく、しょっちゅうおならをしていたと書かれている。明治44(1911)年に痔(じ)の手術をした後はおならの音が変わり、「まるで破れ障子が風で鳴るような音」と友人に言われたことが気に入って、「破障子」という落款を作り、自分の書に押していたそうだ。(本誌・鈴木裕也)

週刊朝日  2022年7月22日号より抜粋