御自宅でのコンサートや大学での授業など現役のままで、突然共通の友人から電話が入った。ここしばらく連絡していなかったが、信じられない。

 この三人の死に共通しているのは、ガンと関連が認められること。男性は血液のガン、歌の先生は骨髄のガン、そして女性編集者は卵巣ガンの末期だったという。それにしても三人とも、一週間から一ヶ月も経たない間に急速に悪化して死に至る。こんなことが続くとは、どういうことなのだろう。時節柄、まず新型コロナウイルスが疑われるが、関連は三人ともないという。

 ただ、直接の原因ではなくとも、他の病気の受診が遅れたり、入院がスムーズにいかなかったり、間接的な影響は考えられる。災害などには災害関連死があるが、コロナの関連死というものも増えているのではなかろうか。

週刊朝日  2020年8月7日号

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『極上の孤独』『年齢は捨てなさい』ほか多数

著者プロフィールを見る
下重暁子

下重暁子

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中

下重暁子の記事一覧はこちら