ところが、第2次安倍内閣になって、招待者数がどんどん増え続け、2019年には約1万8200人にもなり、その多くが安倍首相や自民党の実力者たちの後援会関係者たちで、開催要領の招待範囲からは明らかに大きくはみ出している。それに予算約1767万円に対して、19年は5519万円と3倍以上に増加しているのだ。そして支出はすべて国民の税金なのである。税金がいわば安倍首相によって私物化されているのではないか。

 繰り返しになるが、共産党が「桜を見る会」の事態を露呈させ、私が自民党の幹部たちに「こんな事態は共産党から露呈される以前に、自民党の議員、つまりあなた方がチェックすべきではなかったのか。なぜ、それができなかったのか」と問い詰めると、誰もが「田原さんに言われれば、まさにそのとおりなのですがね」と言って、顔を覆ってしまった。

 長く内閣が続きすぎて、議員たちの誰もが神経がゆるみきってしまった、ということなのか。自民党議員たちの中から、総辞職すべきだ、という声が出るべきである。

週刊朝日  2020年2月7日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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