家計の見直し相談センター代表の藤川太さんは、「孫への援助が多すぎます」と注意をうながす。

「近居や2世帯同居の家族が増えています。親からすれば子どもが近くにいれば万が一倒れたときには心強いし、孫が生まれたら自分たちが面倒をみればいいと思いがちです。そのうち孫たちへの援助は月々のお小遣いだけにとどまらず、小学校入学時のランドセル購入、私立中学、高校、大学の学費などとエスカレートしていきます」(藤川さん)

 都内に住む女性(51)は、17年の夏、母(83)の年金の手続きに奔走した。17年8月1日から老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間が25年から10年に短縮されたので、無年金だった母は、14年間かけていた分、年間約50万円の年金がもらえることになった。

 なぜ途中で国民年金の保険料を支払うのをやめてしまったのか母に問いただすと、意外な答えが返ってきた。

「毎月、孫たちに小遣いを渡していたので、年金を払うのをやめてしまったというのです。自分の子どもがもらっていたので文句を言えなくなってしまいました」(女性)

 老後は夫婦2人きりで過ごすのはさびしいので、子どもや孫たちに遊びに来てもらいたいと、やたらと金銭面での援助をしたがるが、無年金になってしまっては元も子もないので、ほどほどにしたい。

 また、夫は朝から晩まで自宅にいることにプレッシャーを感じて、暇をつぶすという行動に出る。飲み会や旅行などの出費を繰り返すようになるかもしれない。

 妻も友達と遊びに出かけて買い物をしたり、近場の観光地などのバスツアーに参加したり……。

「老後の家計は、夫婦2人暮らしなので水道光熱費や通信費などの固定費は意外と少なく済みます。減らないのは食費と交際費。食べることが楽しみになるので、食べる量は減っても質が上がる。時間があるので足を延ばしてデパ地下などで高級食材を買う傾向もあります」(藤川さん)

 肩こりや腰痛解消のマッサージ代やサプリメントの購入など保険外の医療費も気を付けたい。

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