林:NHK大相撲中継って、朝ドラの次ぐらいに視聴率が高いじゃないですか。不思議なのは、みんなこんなに相撲が好きなのに、新弟子さんが増えてないそうですね。

荒磯:そうなんですよ。相撲の人気があるから小学生の相撲大会とかすごい人気かなと思ったら、千葉市の大会で小学6年生が一人だけ参加とか、そんな状態なんですね。

林:それは寂しいですね。

荒磯:僕も子どものころはわんぱく相撲をやっていて、小学校4年生のときに国技館で初めて相撲をとったんです。前の日に国技館を見たら、大きくて鳥肌が立って感動して、その日は興奮して寝れなくて。それから国技館で相撲をとりたいという気持ちがずっと続いて、それで僕は相撲界に入門したんです。そういう気持ちを持てるような子どもをつくっていきたいですね。相撲のよさを小さい子どもたちにどんどん提供してあげることも、僕らの今後の仕事なのかなと思います。

林:私、お相撲のいいところは、よその国のお相撲さんを差別しないし、惜しみなく拍手するところだと思うんです。

荒磯:朝青龍関、白鵬関、日馬富士関、鶴竜関、そういうモンゴル人横綱がたくさんいて、僕はそういう人たちと稽古をしてきましたが、彼らも僕をこわそうとはしないで、引き上げようとする稽古なんですね。一緒に稽古してお互い強くなってきましたから、彼らがいなかったら今の僕はなかったなと思いますね。

林:そうなんですか。

荒磯:朝青龍関が引退の記者会見のあと、わざわざ僕のところに来て、「おまえ、頑張らないと相撲界はダメになるぞ」って言ってくれたんです。

林:そうですか。いいところありますね。

荒磯:僕が横綱に昇進したときも、いろんな人から「横綱、喜んでたよ」という話を聞きました。僕は彼らに強くしてもらったなと思いましたね。

林:それは親方でなくては言えない言葉だと思います。ただ、白鵬さんってほんとに強いですけど、何を考えているのかわからない感じがあって、ちょっと近寄りがたい雰囲気がありますよね。

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