荒磯:でも、いいやつですよ。「横綱会」という横綱が集まる会があって、1次会のあと、「飲みに行こう」って横綱と二人で飲みに行ったんですけど、いろいろものごとを考えてますしね。僕は昔から知ってますけど、やめてからそんなつき合いもしました。

林:横綱二人がどんなところに飲みに行ったんですか。

荒磯:ふつうの飲み屋さんに。

林:えっ、二人が入ってきたら、みんないすから転げ落ちるぐらいびっくりするんじゃないですか。

荒磯:でも、みんながいるところで二人で話してましたよ。

林:へぇ~、想像できない。

荒磯:僕は自分の中で、横綱っていうものはこういうものだと決めて、型にはまった生活をしてましたが、白鵬関を見てると、のびのび楽しそうに飲みますしね。楽しむところは楽しむというのが、横綱を12年間やり続けている秘訣かもしれないですね。

林:いま親方は、部屋を出てお一人で生活なさってるんですか。

荒磯:25歳ぐらいから一人で暮らしてます。

林:お嫁さんのことをみんなから言われるでしょう。

荒磯:どこの席に行っても言われますよ(笑)。うちの高安が婚約したから、ますます僕も言われるようになりました。

林:部屋をお持ちになったら、おかみさんがいたほうがいいんじゃないですか。

荒磯:どうなんですかね。タイミングが合ったらいいのかなと思ったりしますけど。

林:いい人がいたら?

荒磯:そうですね。

林:それを聞いて、仲人おばさんの私の目がキラリと光りました。親方にぴったりの人がいるんです。すっごい美人で、彼女、「お相撲さん以外の人とは絶対に結婚したくない」と言ってるんです。

荒磯:それはすごいですね。でも、僕はダメじゃないですか。もうお相撲さんじゃないから。ハッハッハッ。

(構成/本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2020年1月3‐10日合併号より抜粋