稀勢の里として活躍した17年間の力士生活に終止符を打ち、荒磯親方を襲名した荒磯寛さん。作家の林真理子さんが現役引退後の生活を聞きました。
【前編/「白鵬、頑張れよ」元横綱・稀勢の里が初優勝時に応援したワケ】より続く
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林:引退すると、最初はもぎりから始めるんですか。
荒磯:最初は警備から始まるんです。
林:人が群がっちゃって大変なんじゃないですか。
荒磯:引退して初めて警備をしたのが3月の大阪場所で、地方場所って花道をお客さんが通ったりするので、最初はすごかったですね。
林:テレビの相撲解説もなさって、とても好評だったんですよね。
荒磯:3月から解説のほうもやらせていただいて、しゃべることが現役中はなかったので、これも勉強ですね。今いろいろ勉強しているという感じです。これも引退してからわかったことですが、17年間現役のときって、裏方さんの仕事とか、国技館の中のつくりとかもわからなかったんです。1月に引退してから、「こんなところもあるのか」「こういう仕事もあるのか」と毎日いろいろ発見できて新鮮でしたね。現役のときはこの人たちに守られてやってきたんだなということがわかりました。
林:引退なさって、どうですか今の生活。気楽になって楽しいですか。
荒磯:気楽です。楽しいですねえ(笑)。現役中は夜よく眠れないことがたくさんあったり、食事の味がしなかったりして、それがあたりまえのようになっていたんですけど、今は同じものを食べても「おいしいな」と思うし、精神的にちょっと落ち着いてきたなという感じですね。
林:断髪式もやられて、今はご自分の部屋の準備もなさってるんですか。
荒磯:部屋をつくる準備はまだ始まってないです。今は部屋(田子ノ浦部屋)の若手に稽古指導というか。高安がいるので。
林:ご自分の部屋をつくったら、いいお弟子さんが集まるといいですね。
荒磯:一つのことを一生懸命できるような弟子が来るといいですね。必ずお客さんが見てますし、本職の人も見てますから、一生懸命相撲をとるという弟子を育てていきたいなと思いますね。