ANAのスマートシニア空割(左)と、JR東日本の「大人の休日倶楽部ジパング」のホームページ
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シニア向けの主な割引・優遇サービス 1/3(週刊朝日2019年6月21日号より)
シニア向けの主な割引・優遇サービス 1/3(週刊朝日2019年6月21日号より)
シニア向けの主な割引・優遇サービス 2/3(週刊朝日2019年6月21日号より)
シニア向けの主な割引・優遇サービス 2/3(週刊朝日2019年6月21日号より)
シニア向けの主な割引・優遇サービス 3/3(週刊朝日2019年6月21日号より)
シニア向けの主な割引・優遇サービス 3/3(週刊朝日2019年6月21日号より)

 老後の楽しみといえば旅行。子どもや孫を訪ねて、定期的に長距離を移動する人も少なくない。そんなときは、鉄道や航空会社などの特典を忘れてはいけない。金額が大きい切符や航空券だと、1回当たり数万円安くなるケースもある。

【シニア向けの主な割引・優遇サービスはこちら】

 JR東日本の「大人の休日倶楽部ミドル」は対象が男性50~64歳、女性50~59歳。JR東日本線とJR北海道線で乗車距離201キロ以上の切符が原則5%安くなる。男性65歳以上、女性60歳以上が対象の「ジパング」なら、割引は30%まで拡大。ミドル2575円、ジパング4285円の年会費が必要で、クレジットカードにも加入しなければならない。お盆や年末年始などは割引の対象外だが、長距離移動する人にとってはかなりお得。年数回旅行すれば元が取れてしまう。

 会員になると買える期間限定の「大人の休日倶楽部パス」も注目だ。新幹線を含むJR東日本とJR北海道の全線が5日間乗り放題で2万6千円と、格安なものもある。通常料金なら東京−盛岡間の新幹線往復だけで約2万9千円かかる。切符代を気にせずに、東日本一周旅行も満喫できる。

 高額な印象がある航空券。全日空(ANA)や日本航空(JAL)などは、割引サービスを用意している。両社とも、原則、搭乗当日に空席がある場合に使える。最大6割程度は安くなる。空席があるかどうか、事前にネットなどで確認してから空港に向かおう。スカイマークなど前日から予約できるものもある。

 交通関係では、自治体の税金が投入される「シルバーパス」もある。東京都シルバーパスは、70歳以上で、区市町村民税の非課税対象者なら1千円でバスや都営地下鉄などが1年間乗り放題になる。これを利用するのとしないのとでは、月数万円も交通費に差が出る可能性もある。使えるサービスは全て使い、出費はできるだけ抑えよう。

 映画館や美術館、遊園地など娯楽・レジャー関連も充実している。「としまえん」の年間フリーパスは、60歳以上が対象のシルバー会員なら5400円で、一般料金2万1600円に比べて断然安い。

「孫を連れて遊園地によくいく方には、お勧めです」(節約アドバイザーとして知られるファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん)

 フィットネスクラブや英会話教室、カラオケなどでもあり、利用前にサービスを確認するのが鉄則だ。

 ただし、老後の家計について詳しい、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんは、高齢者向けの特典に目を奪われてはいけないと助言する。

「高齢者に限定しない、一般向けの特典を使ったほうがお得な場合もあるのです。例えばスマホなら、自分のデータ利用量に合った料金プランを選ぶ。シニア向けの割引サービスを利用しても、動画の視聴などでデータ利用が膨らめば、せっかくの割引分も吹き飛んでしまうことがあります。飲食チェーンで、あまり食べられないのに食べ放題のサービスを受けてはもったいない。自分にとって必要なサービスは何かをよく考えて、利用するようにしましょう」

 老後を楽しくすごしたいなら、節約の知恵が試される。今回紹介したサービスのほかにもサービスはまだまだある。ぜひ自分でも調べて、お得なチャンスを逃さないようにしたい。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2019年6月21日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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