室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
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“カジノ法”が成立し、通常国会が閉会した。作家・室井佑月氏は山本太郎・参議院議員の言葉などをあげ、同法成立を急いだ安倍首相を批判する。

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 西日本の水害が大変なことになっている。この原稿を書いている時点(7月14日)で、お亡くなりになった方の人数は200人を超えてしまった。避難所暮らしを余儀なくされている方々は、いったい何人になるんだろう。

 破壊された街や、苦しい避難所生活を強いられている人々の映像を観ると、胸が痛くなる。

 野党は早くから、国会で「法案審議を後回しにし、とにかく災害対応を優先しよう」といっていた。だが、自民党と公明党は聞く耳を持たないのだった。彼らは彼らの予定通り、なにがなんでもカジノ法案と水道民営化法案の審議を進めたい。

 自民党や公明党を応援している人たちは、なぜ彼らを応援しているの? 自民や公明が、今どんなに酷いか知っているの?

 まあね、テレビで流すのは、水害の悲惨さと、安倍首相が「即座に対応する」とかいっている映像、被災地へ視察へ出かけている映像。

 ぜんぜん即座に動かなかったんだけどね。飲み会して、15分だけ災害に関する閣僚会議に出て、休んで、気象庁の会見から66時間後、ようやく重い腰を上げたのが真実じゃ。

 だから、自由党の山本太郎は怒った。

「カジノの審議が遅れて、誰か人が死にますか? 困るのは利害関係者だけ。カジノ審議やってる場合か!」(10日・参議院内閣委員会)

「(略)命より利権、人々の生活よりばくち解禁、被災地よりアデルソンやトランプへの貢ぎ物、全くぶれない身勝手な政治姿勢!」(12日・参議院内閣委員会)

 10日に比べ、12日のほうが嫌味っぽかった。度を超えた怒りは、皮肉として表すしかないのよね。

 太郎ちゃんの訴える、わかりやすい真実を、テレビで流せよ。

 7月19日号の「週刊文春」に「安倍政権中枢へのカジノ『脱法献金』リスト」という記事が載った。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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