ファンデーション選びを間違っている人も多い。“シニア世代専門のヘアメイク”の第一人者として知られ、これまで4500人を超えるシニア女性にメイクをしてきた東京・巣鴨の「えがお写真館」の赤坂渉さんは、「肌色に合っていない白すぎるファンデーションを使う人が多すぎる」と指摘する。

 自分の肌色に合ったファンデを選ぶためには、肌色を少し明るく見せたいからといってトーンを上げるのではなく、下げる勇気を持つこと。

「“ナチュラル色”として売られている色も、メーカーによってトーンはさまざまです。夏になると、首元や耳の日焼けによって、顔だけが白く浮きがち。だから、ファンデーションの色を選ぶときは、顔の中でもトーンが1段階暗めの、首のすぐ近くの肌に合わせること」(赤坂さん)

 リキッドタイプよりツヤを出しやすいクリームファンデがお薦めだという。

 顔全体の印象を左右するのがチークだ。色選びにも気をつけよう。メリハリをつけたいからといって、若い女性が使うような明るいピンクや鮮やかな赤みのある色は避けたほうがいい。

「地肌のくすみに合わせ、色はベージュピンクなど、少しくすんだものがなじみやすく、鮮やかな色よりむしろきれいに見えますよ」(同)

 チークの入れ方にもコツがある。加齢に伴う輪郭の変化が緩和して見えるような入れ方があるのだ。

 一般的に、顔の筋力は、45歳くらいから目に見えて低下し始め、シワやクマなどの影が濃くなったり、輪郭が変わり始める。加齢によって、こめかみと口元がくぼみ始め、頬が出っ張ったような形になりがちだ。

「チーク使いは、こうした輪郭の印象を緩和させるのに効果大。昔は縦に入れるチークが主流でしたが、今は横が鉄則です。頬骨から平行に、頬を凹ませるようなイメージで入れること。これにより、頬の出っ張りが目立ちにくくなります」(同)

 加齢とともに、眉毛にも変化が訪れる。眉頭が薄くなり、離れたように見えてくるのだ。毛量の密度も、全体的に薄くなってくる。

「眉毛の薄さによって、目と眉が離れたように見えるので、眉はアーチ形より、ストレート形がお薦め。眉毛は下側から薄くなってきやすいので、そこを埋めるように、やや太めのラインを意識して。色は、オリーブがかった茶色がなじみやすくてお薦めです」(浅香さん)

 眉毛を描くときには、茶系のアイカラーなどのパウダーを使って指で起点を描き、ペンシルで上から形を描くと失敗しづらい。毛量が少なくなれば、パウダーよりペンシルのほうが隙間を埋めやすい。

「眉のカーブは、黒目の外側を頂点に。眉尻の位置は、小鼻から目尻を結んだ延長線がベスト。シニアに限らず基本的なことですが、姿勢が悪いと左右の高さがずれてしまうので、顔をかしげず、まっすぐに鏡を見て高さを合わせましょう」(赤坂さん)

 加齢とともにまぶたは下がり、まつげの量は減り、目を小さく見せてしまう。

「目元をアイメイクで補強するだけで、ぐっと若々しく元気に見えます。おっくうがらずに、ぜひ取り入れて」(浅香さん)

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