「脳は何歳になっても若返る」と話すのは、脳内科医でMRI脳画像分析を専門とする加藤俊徳医師だ。脳の中には記憶を司る「海馬」があり、目や耳から入ってきた情報を集めて整理をしている。アルツハイマー型認知症は、この海馬が萎縮することで発症する。逆に言えば、海馬を元気にするような生活を送ることが、健康な脳を保つ秘訣である。

「脳細胞の代謝には酸素が必要不可欠です。特に海馬は、脳の中でも多くの酸素を必要とします。深呼吸や瞑想をするなど、新鮮な酸素を豊富に取り入れるようにしましょう」(加藤医師)

 ほとんどの認知症は、現在の医学では治すことはできない。喫煙者は非喫煙者よりも約4倍、糖尿病の人もそうでない人に比べると約4倍、アルツハイマー型認知症になりやすいといわれている。要は、生活習慣病を予防・治療することが、認知症予防につながる。魚や野菜、ナッツ類など、認知症予防によいとされる食材を積極的に取り入れつつ、バランスのよい食事をすると脳の働きも活性化する。脳は、日々の刺激によって変化し成長するので、常に新しいことに興味を持って挑戦する。熱中できる趣味を見つけて、ストレスフリーになる。

「たばこや深酒をやめて、規則正しい生活を心がけましょう。新聞を読んだり、いろんな人とコミュニケーションをとったりするなど、意識して脳を使う生活に変えていきましょう。適度な運動をおこない、足腰を丈夫に保つことも大切です。認知症を予防することは、難しくないのです」(同)

 知的活動、適切な栄養、適度な運動、社会参加が認知症予防となる。脳を若々しく保つために、自分の生活を振り返ってみることが大切だ。(本誌・長谷川拓美)

週刊朝日  2018年4月20日号