竹中直人(左)と林真理子(右)(撮影/写真部・小原雄輝)
竹中直人(左)と林真理子(右)(撮影/写真部・小原雄輝)

 圧倒的な個性を持つのに、主演も助演もこなし、どんな役柄でも自分のものにしてしまう竹中直人さん。中でも歴史上の人物を数多く演じてきた竹中さんが、演じてみたい役とは? 作家の林真理子さんが伺いました。

*  *  *

林:今の若い子は、俳優さんとしての竹中さんしか知らないでしょうね。

竹中:俳優といっても、ふつうの役はあまりやったことないですからね。

林:何をおっしゃる。大河ドラマ「秀吉」(1996年)で主役もなさったじゃないですか。

竹中:遠い昔ですね。マニアックな大河だったと思いますが。

林:「軍師官兵衛」(2014年)でも秀吉をやりましたよね。

竹中:秀吉の晩年ができてうれしかったです。俺がアドリブで当時の「秀吉」でやった「心配御無用!」というセリフを言ったら、若いスタッフたちが「ワッ」と喜んでくれたんです。子どものころ「秀吉」を見てて、あのセリフが大好きだったそうで。「俺も少しは役に立ってたんだな」としみじみ思いました。「喜んでくれて、ありがとう」と深く感じました。

林:私は大河の「秀吉」の終わり方が好きでしたよ。もうじき死ぬなんてことはわかってるから、「とにかくみんな踊ろう」と、おね役の沢口靖子さんも一緒に、みんなが桜の周りでただただ踊っているという。

竹中:うれしいな。秀吉はいくらやってもやり足りないぐらいの役ですからね。実は3回やってるんです。もう一つ、三池崇史監督の「本物語」という作品で。

林:見なかったです、すいません。

竹中:いいんです。熊本でしか上映しなかった作品だと思います。一昨年と去年、信長もやってるんですよ。「最後のレストラン」と「父、ノブナガ」というドラマで。僕ね、石田三成、加藤清正、徳川家康もやってるんです。だから戦国5大武将をやったことになるんです! 誰も知らないと思いますが(笑)。

林:信長のイメージはなかったです。やっぱり竹中さんといえば秀吉ですよ。

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