おかあさんのモモコにしがみつくリキ (撮影/秦正理)
おかあさんのモモコにしがみつくリキ (撮影/秦正理)

 ジャイアントパンダの赤ちゃん、シャンシャンの誕生に湧く東京・上野動物園。連日大盛況の上野動物園は開園時間の午前9時半から、券売機の前に長蛇の列ができる。シャンシャンが生まれてからは、平日でも土日並みの客入りだという。

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 上野動物園によれば、2017年末までにシャンシャン観覧抽選には24万組を超える応募があったという。当たっても30分待ちで、実際に観覧できるのは一人につき2分ほどだそうだ。

 抽選が当たり、寒空の下待った挙句、シャンシャンがこちらを見てくれずに2分経過、がっくりと肩を落とす、なんてこともありえそうだが……。園にいる動物の赤ちゃんはジャイアントパンダだけではない。ニシゴリラの赤ちゃんが、シャンシャン人気の陰でひっそりと誕生していた。

 シャンシャンが生まれてから約4か月後の10月9日、ニシゴリラのモモコ(34)がオスの赤ちゃんを出産。公募による投票の末、名前は「リキ」に決まった。シャンシャンの話題に隠れ、観覧する客は少ないのだろうか……と思いきや、ゴリラの赤ちゃんにも、シャンシャンには及ばないが人だかりができていた。

「シャンシャン(見学)の抽選は外れたけど、リキちゃんもかわいい」

 年間パスポートを持つ60代の女性は、そう言うとほほを緩めた。母親のモモコの腕にしがみついてぶら下がる愛らしい姿には、思わず笑みがこぼれる。まるでダッコちゃん人形のようだ。寝転んだり、木の枝で遊んだりと、その一挙手一投足に観覧者は黄色い声をあげた。

 父親のハオコ(24)を中心に7頭のゴリラが群れで生活している。お姉さんのコモモ(8)とモモカ(4)は、モモコの振る舞いを見て、赤ちゃんとの触れ合い方を学んでいるようだ。表情をうかがったり、優しくリキをつついてみたりする姿は人間の幼い兄弟と変わらない。上野動物園の教育普及係はこう話す。

「ゴリラは群れで生活する動物。それぞれの個性が絡み合って社会性を身に着けます。類人猿は知能が高いので、他者との関係の作り方は人間と同じなんです」

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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