北海道日本ハムファイターズから1位指名された清宮。和泉監督(左)の晴れやかな表情からホッとした心境がうかがえる(c)朝日新聞社
北海道日本ハムファイターズから1位指名された清宮。和泉監督(左)の晴れやかな表情からホッとした心境がうかがえる(c)朝日新聞社
2017プロ野球ドラフト会議[1位指名選手](週刊朝日 2017年11月10日号より)
2017プロ野球ドラフト会議[1位指名選手](週刊朝日 2017年11月10日号より)

 高校通算本塁打111本を記録した早稲田実の清宮幸太郎が、いよいよプロの世界に進む。世界の王貞治氏が刻んだ868本塁打を目標に掲げるが、風格といい、人望といい、あの長距離打者とつい比べてしまう。そう、国民栄誉賞の松井秀喜氏だ。清宮が“ゴジラ”を超える日は来るのだろうか。

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 早稲田実出身で、来季から北海道日本ハムファイターズの2軍監督を務める荒木大輔氏は、プロ野球ドラフト会議で、清宮幸太郎の日ハム入りが決まると、同校OBらから祝福の連絡が絶えなかったという。

「(清宮を)引くかな、と脳裏をよぎったが、チームの現状を考えると投手指名かな、とも思案した。同じユニホームを着るうれしさはありますが、預かる身としては、野球に集中させるためのサポート、苦労を負うことは覚悟しています」

 7球団が1位指名した超高校球児の指導に注目が集まるが、西武時代に松坂大輔(横浜)を引き当てた、本誌連載でもおなじみの東尾修氏が振り返る。

「預かって指導する監督や球団は大変だろうが、肝心なのは、普段どおりに一選手として扱えるかどうか、でしょう。同じポジションの選手は何人もいるわけだし。(松坂)大輔とは入団時から『特別扱いはしない』と約束した」

 迎え入れる荒木氏は、「早実野球」こそが、清宮の伸びしろとして生きる、と説く。

「早実では伝統的にのびのびとした野球をやらせてもらえる」と荒木氏。進学校である早実は練習時間が短く、野球の名門校でありながら、選手への手取り足取りの指導が少ないと言われている。「清宮の守備は上手ではないが、それはまだ練習でこなしていないだけ。プロの世界には高校時代に知らなかった知識や技術がゴロゴロ転がっている」(荒木氏)

 その荒木氏だが、かつて西武とヤクルトで投手コーチを経験。「素直さと謙虚さを備え、聞く耳を持つ選手でないと伸びない」と感じたという。荒木氏によると、早実ではどんなにすごい成績を残しても“お山の大将”にはさせないそうで、清宮についても「そうした習慣がついているので、プロ入り後も『おごり』などが邪魔する心配はない」と見ている。

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