今年は、清宮を始め30人の高校生が指名(育成を除く)され、まさに将来性を買ったドラフトだった。秀岳館(本)を甲子園常連校に育てた鍛治舎巧・前監督は「会見場で清宮君の横に座っていた和泉実監督が最も晴れやかな顔をしていました。これだけの選手を育成し、送り出すのは大変だったことでしょう」とねぎらった。清宮へは、「プロに入れば、守備で鍛えられ、少なからずバッティングにも影響が出る。器を大きくするためにも、1年目に苦労してほしい」。

「流しのブルペンキャッチャー」ことスポーツライターの安倍昌彦氏は「感性だけで構築してきたバッティングの世界に生きている。高校生野手に7球団の指名が集まったのは、とんでもない可能性を夢描いたからでしょう」と語る。一方で、10段階評価で「10」まで伸びる可能性を秘めるが、ひょっとして「3」で終わることも懸念されるという。安倍氏は「オリジナリティーが強いため、崩れたときに球団が救いの手を差し伸べられるかがカギでしょう」と指摘し、むしろ、千葉ロッテマリーンズに1位指名された履正社・安田尚憲を「教科書どおりの打ち方で、『8』か『9』までにはなる」と評価。前出の川村准教授も「球を引きつける能力は高校生の中では最も高い。体の回転で打ち、無理なくバットが出る。プロでの対応も早いでしょうが、器用であるが故にアベレージヒッターになるのではないでしょうか」。

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