速歩が健康寿命のカギというのはわかったが、足腰に痛みなどがあって長距離の歩行に不安がある人もいるだろう。実際、年をとると膝や股関節の軟骨が減ってきて、痛みなどが出ることも少なくない。

 だが、関節の分野でも興味深いことがわかってきた。『健脚寿命を延ばして一生歩ける体をつくる!』(すばる舎)の著者で、股関節の病気に詳しい整形外科医の石部基実さん(石部基実クリニック院長・札幌市)は言う。

「筋肉を強化すると、股関節や膝の痛みが和らぐという知見が出てきています。軟骨が減って関節が不安定になることで炎症が起こって痛みが出るのですが、筋肉をしっかり強化し、不安定になった関節を支えられれば炎症が少なくなるため、痛みが和らぐのです」

 石部さんが膝や股関節の負担が減るとして患者などに勧めている歩行は、姿勢をよくし、かかとから着地し、つま先で蹴り出す「グッド歩行」。はじめは一歩一歩ゆっくりと歩いて歩き方を確認し、慣れてきたら少しずつ歩くスピードを速めていく。同時に自宅ではスクワットや腹筋、腕立て伏せなどの筋トレを行う。

「無理をせず、少しずつ始めてください。また、腰からつま先にかけてしびれがある、しばらく歩くと歩けなくなる、毎日続く痛みが1週間以上続くといった症状があれば、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、変形性関節症など整形外科の病気かもしれないので、専門医を受診し、医師の指示を仰いでほしい」(石部さん)

週刊朝日  2017年4月7日号より抜粋