偏差値別にみた合格者と不合格者の数(週刊朝日 1月6-13日号より)
偏差値別にみた合格者と不合格者の数(週刊朝日 1月6-13日号より)

 まもなく、大学入試シーズン本番に突入する。受験生のなかには、悪かった模試の結果を思い出し、不安な思いに駆られる人も多いのではないか。ただ、あきらめたら終わりで、直前の粘りが合否を分ける。“圏外”からの逆転合格に向け、何が必要なのか。受験のプロたちに聞いた。

 まずは、グラフをみてほしい。

 駿台予備学校が2015年秋に実施した「第2回東大入試実戦模試」の偏差値別に、16年春の入試本番で合格者・不合格者がそれぞれ何人いたかをまとめたものだ。文系と理系でそれぞれ募集人数が多い、「文科3類」「理科1類」の例を示している。

 グラフを見てのとおり、確率60%以上のB判定(合格可能ライン)でも、不合格者が意外に多い。逆に、40%以上のC判定(チャレンジライン)やD・E判定でも、“逆転”合格者は存在する。

 駿台教育研究所の石原賢一・進学情報センター長は、理由をこう分析する。

「ほとんどの生徒は、12月の段階では理科と地歴の知識が完成されていない。特に、現役生はその傾向が顕著になります。科類によっては、C~E判定からの合格者が約4割を占めています。最後の1カ月にがんばれば、逆転合格は十分に可能なのです」

『なぜ受験勉強は人生に役立つのか』(齋藤孝・明大教授との共著)など20冊以上の教育についての著書で知られる、家庭教師グループ「名門指導会」代表の西村則康さんはこう話す。

「模試で30%以上の合格可能性が出ていれば、あきらめてはいけません。今は合格点未満でも、500点満点の入試の場合、あと25~50点アップすれば、合格ラインに達します。今の時期に大切なのは、過去の偏差値より、『合格にはあと何点必要なのか』を考えること。そこから対策を考えるのです」

 あと1カ月で、「偏差値を10上げる」と考えると難しく感じる。一方で、「1教科10点ずつ上げる」と目標を立てると、道筋が見えてくる。

 効率的に得点を稼ぐため、何を重点的に勉強するか。直前期は“戦略性”が試される。きちんとした計画を立てられた人が、合格ラインに近づく。

次のページ