「たとえ早起きしても、ボーッとしているだけなら、高い効果は望めません。脳を働かせるためには、起きた後のウォーミングアップが必要です。朝起きてから、計算問題を解いたり、新聞の社説のようにやや難しめの文章を読んだり。こうした習慣を続けると、試験の開始時間に、脳の働きのピークを持っていくことができます」

 さらに意識を変える必要があるのは、スマホとのつき合い方だ。

「大切なのは、スマホとほどよい距離を保つこと。たとえば、勉強中はスマホの電源を切り、90分間勉強したら、休憩時間に電源をONにする。ただし、休憩中もずっと触り続けることはいけません。受験勉強は目が疲れやすいうえ、ずっと同じ姿勢で机に向かっている。電源をつけても、友達へのLINEの返信はすぐ終わらせる。残り時間は音楽を聴いたり、散歩に出かけたりするといいでしょう」(横井さん)

 試験日が近づくと緊張し、眠れなくなるかもしれない。そんなときには、どうすればよいだろうか。

「受験前日に眠れなくても、気にすることはありません。眠れなくても、布団に入り、ちゃんと体を休ませることが大切です。こういうときも、寝床でスマホを触ってはいけませんよ」(横井さん)

 本番が近づくと、受験生だけではなく、親も緊張感が高まる。落ち着かなくなり、ついつい子どもに口出ししがちだ。子どものスマホ時間の長さが気になる親も多いだろう。

 ただ、今の若者は友達とのつながりでも、ネットが欠かせない。直前期に強引にスマホを取り上げることは、子どもの精神的な面で逆効果となる恐れもある。

 さらに気をつけたほうがよいのは、言葉のかけ方。言い方次第では、子どものやる気を損ねてしまう。今の若者世代の感覚を意識し、声をかけるのがよい。

 横井さんは言う。

「親世代は、親や学校の先生から叱咤激励され、受験をがんばってきたと思います。ところが、今の若者はナイーブで、打たれ弱いところがある。親が声をかける際は、『がんばれよ』ではなく『がんばっているね』、『合格しろよ』ではなく『合格できるよ』。そう話しかけてほしい」

次のページ