「たとえば、直前期に暗記ものばかりをやる、苦手科目の復習ばかりをやる、などの勉強法は偏っています。英語が得意だからといって、長文を1週間読まなければ、読解力は確実に落ちます。得意科目と不得意科目をバランスよく勉強することが、この時期には大切なのです」

 入試本番は、限られた時間内での勝負になることを忘れてはいけない。勉強の計画を立てるときに、陥りやすい過ちがある。

「よくないのは、『参考書10ページ分』など、“量”で計画を立てること。バランスよく勉強するには、『英語90分、国語90分』など、“時間”で区切ったほうがよい。受験生のうち、自分自身できちんとした計画を立てられる人は、半分ほどでしょう。計画づくりが苦手な人は、学校や塾の先生、親やきょうだいに相談してみてください」(横井さん)

 ずば抜けて優秀な一部の人を除き、合否ライン上の受験生の学力は大きく変わらない。逆転合格には、実力を十分に発揮する心の持ちようが大切になる。長年受験生を見続けてきた西村さんは、最終盤で伸びる子には特徴があるという。

「年末までの勉強は、インプット中心。暗記ものはそれでいいですが、今では中堅大学も、あらゆる知識を関連づけて答える『アウトプット』の能力を求めています。努力しているのに点数が低いのは、アウトプットの訓練が足りないから。悲観することはありません。『自分の頭の中には知識がある』と思っている子は、最後の最後でアウトプットの力を発揮できる。その粘り強さが、逆転合格に結びつきます」

 勉強法や計画の立て方とともに大切なのが、生活習慣の改善だ。

 受験勉強のスタイルは、人によって「朝型」「昼型」「夜型」などさまざまだったはず。しかし、ほとんどの入試は朝始まる。午前9時半開始ならば、3時間前には起き、朝ごはんもしっかり食べる。午前中に脳を目覚めさせる生活習慣に変えないといけない。

 ただ、前出の西村さんは「早起きだけでは、不十分」とも言う。

次のページ