「富士山はこの3200年間に約100回噴火、つまり30年に1回噴火している計算になります。しかし、1707年(江戸中期)の宝永噴火以降、約300年間噴火していない。その分だけマグマの蓄積量も多いのです」

 宝永噴火では、2週間噴火が続き、江戸の町にも5センチの灰を積もらせ、当時の経済や人々の健康に甚大な被害をもたらした。それ以上のマグマとエネルギーが大爆発したら……。

「首都圏にまで及ぶ火山灰で車や電車は動けなくなり、交通はマヒします。すると物流は停止し、食料や水が手に入らなくなる。いちばん怖いのは火山灰が機械類に入り込むこと。現代は、ライフラインも会社も医療もすべて機械で管理されているので、狂ったら生活が一切成り立たない。大パニックが起きます」(鎌田教授)

 内閣府の試算では、被害総額は最大で2兆5千億円と予測され、これは国家予算の2.5%ほどに値する。さらに約1250万人が呼吸器系の健康被害を受けるという予測もある。

 だが、事前の自己防衛でその被害は最小に抑えられると鎌田教授は言う。

「ハザードマップを見ておき、火山灰に備え、マスクやレインコート、ゴーグルなども用意しておきましょう。水などライフラインが止まったときのための用意も大切です」

 備えあれば憂いなし。今年のうちにぜひご準備を。

週刊朝日 2016年1月15日号