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「がん」に関する記事一覧

「余命3カ月」のウソ
「余命3カ月」のウソ 最近やたら近藤さんの本が出ているように思えるのですが、がん界に何かあったんだろうか。まあ、個人的に、近藤さんの新刊がたくさん出ているのはありがたい。  というのも、昨年暮れに生まれてはじめての人間ドックってものをやりまして、その後数カ月、体調が激悪となり、ほとほと疲れ果てたからです。子宮がん検診の内診のあとはいつまでもダラダラ痛みと出血が続き、バリウムを飲んでからずっとあの味が何かの拍子によみがえってムカムカした。これを毎年やるなんてはっきりと恐怖ですよ、人間ドック。  そんな時に近藤さんの本を読むと「もう行かなくていいんだー!」と叫べる。人間ドックで早期がんとかを発見できるかもしれないのでツラくてもやらないといけないかなあ……と弱気になっていたが、こうやって近藤さんがお墨付きをくれれば大声で叫べますとも! 「人間ドックはもう行かん!」。いえ、近藤さんが「人間ドック禁令」を出しているわけではないのです。もっと緻密な話をなさっている。マンモグラフィーは意味無しとか(私はマンモはそれほど苦でなかったので、これはちょっと残念)。本の眼目は「ほとんど自覚症状がなかったのにいきなり余命宣告された挙げ句、手術だ、抗がん剤だとやられて死んでしまう悲劇」をなくしたい、ということだ。そこには、放射線科医として長年がん治療の最前線にある近藤さんの、必死の訴えがある。  しかし、私みたいなだらけた人間には福音書みたいに読めてしまう。ちょっと太り気味のほうが実は長生きするとか、ツラい治療なんかいいことは一つもないとか、大人として耐えねばならない「養生や治療」なんかガマンしてやることない、と思えるからだ。最後に、がんになっても治療しないほうがいいという話を、つい「がんを治療しないと、がんにならない人よりも長生きする」ような錯覚をしてしまうが、やはりがんだと数年で死んだりするので、がんにはかからないに越したことはない。
医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法
医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法 医者は殺人者といわんばかりのどぎついタイトル。読者を引き寄せるためとはいえ少々やりすぎでは、と眉をひそめて著者名を見れば近藤誠……俄然、興味がましてくる。  医者として40年のキャリアをもつ近藤は、慶應義塾大学医学部放射線科の講師でありながら、「がんは切らずに放置したほうがいい」とか「抗がん剤は効かない」といった文章を発表しつづけてきた。多くの同業者を敵にまわした論争も何度となく起きたが、具体的なデータをもって反論する近藤の主張は、じわじわと患者たちの信頼を集めていった。たとえば、近藤の話を聞いた乳がん患者が選択することで広まった「乳房温存療法」は、その代表的な成果だ。  自分が身を置く業界内から嫌われ煙たがられても、あくまでも患者の立場で発言してきた近藤であれば、「医者に殺されない」といった過激なアプローチも説得力をもつのだろう。そもそも日本人は、年間で先進国平均の2倍以上も病院へ行く〈世界一の医者好き国民〉なのだから、このタイトルは誰しも他人事でない。しかも、超高齢社会の影響もあって医療費が増加の一途とくれば、サブタイトルにある「医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法」は、無視できない魅力を放つ。  著者のこれまでの活動実績をフル活用したタイトルワークに応えるよう、内容も具体的なアドバイスで構成されている。その一部、〈【心得8】「早期発見」は、実はラッキーではない〉〈【心得12】一度に3種類以上の薬を出す医者を信用するな〉は帯でも紹介され、多くの日本人が思いあたる体験の盲点を突いてみせる。その上で、タイトルと同じ大きさで印刷されたコピーがたたみこむ。 〈病院に行く前に、かならず読んでください。〉  近藤がこれまで訴えてきた主張がコンパクトに、手際のいい編集でわかりやすくまとめられたこの本。ミリオンセラーもそう遠くはないと、私は予測する。

この人と一緒に考える

遺伝子診断のリスク 就職、結婚で差別も?
遺伝子診断のリスク 就職、結婚で差別も? 近年、がんや糖尿病といった成人病の多くは、その発症確率に遺伝的素因が深く関わっていることが知られるようになった。遺伝子診断でリスクが分かれば、予防措置などをとることができるかもしれない。しかし生物学者の池田清彦氏によると、遺伝子診断は社会的な問題を孕んでいるという。
早大教授 「80歳過ぎのがん治療や無理な延命は必要ない」
早大教授 「80歳過ぎのがん治療や無理な延命は必要ない」 医療技術が進んだ現代について、早稲田大学教授で生物学者の池田清彦氏は「昔だったらとっくに死んでいるような人が、点滴や胃瘻(いろう)によって生かされているのはムダだと思う」と指摘。さらに「80歳を過ぎて寝たきりになっている人を無理に生かし続けるのは病人に対しても失礼」だと話す。
人工透析を回避する「腎がん」治療とは?
人工透析を回避する「腎がん」治療とは? 腎臓にがんができると、これまでは全摘が一般的な治療法だった。しかし、からだの負担を減らす腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術での部分切除が可能な施設も増えている。20年前に腎がんを患い、右の腎臓を全摘していた神奈川県在住の中嶋三男さん(仮名・63歳)は、7年前、血尿が出たことがきっかけで、左の腎臓に再びがんが見つかった。

特集special feature

    腎がんにはロボット手術が有効 「今後増える」と専門医
    腎がんにはロボット手術が有効 「今後増える」と専門医 これまで腎がんの手術は、脇腹を20センチほど切開する、開腹手術による根治的腎摘除術(全摘)が主流だった。しかし、現在ではまだ先進医療や保険の認可は降りていないが、腎がんの部分切除ではロボットによる腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術が有用だという。この方法の第一人者であり、腎移植も手がける、神戸大学泌尿器科診療科長の藤澤正人医師(同大教授)に聞いた。
    家で死ぬということ
    家で死ぬということ 日本にホスピスを広めた立役者のひとりである著者が、在宅ホスピス医に転身して見えたことを綴った。前半はホスピス医時代に書いた文章の再録なので、気持ちや考え方の変遷がよくわかり、読者の理解も深まる。  ホスピスに入れるのは主に末期がんの患者だ。しかし、ホスピスケアが必要な患者はほかにもいる。そこに気づいた著者は、在宅での看取りに舵を切る。ホスピスの否定ではなく、ホスピスの大切さを熟知しているからこその決断であった。  東京都小金井市のホスピスを辞めて、2005年、小平市に「ケアタウン小平」を開く。訪問看護ステーションやボランティアと連携し、24時間対応の訪問医療と自宅での看取りを実現した。  アウトドア好きな男性は、最後はベッドごと庭に出されて旅立った。「4歳の孫娘に毎日会う」という希望通りに過ごせた女性もいる。一日でも長く生きたいと考えた50代の女性は、人工肛門をつくり腎臓カテーテルを始め、大好きな母親に看取られた。著者の対応は常に患者本位だ。死はほかでもない当事者のもの。そんなメッセージが伝わる。

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