中村千晶 紆余曲折の人生を隠さない 亜希「ここまで歩んできた自分の生き方、考え方が全部自分の肥やし」 ブランドディレクター・モデル・料理家、亜希。いつ会っても、明るくて朗らか。料理も、ブランドディレクターも、モデルも、すべて100%の力で向き合っている。その明るさは強さに裏打ちされている。幼少期に両親が離婚し、生活は貧しかった。芸能界に入るも、なかなか芽はでなかった。結婚、離婚を経験し、マスコミにも追われた。逆境のときこそ強く生きる。大事な人が幸せでいられるよう、いつも考えている。 現代の肖像亜希 8/23
芸人・河井ゆずる プレハブ小屋に住み、過労で救急車で運ばれ、芸人の夢を捨てたこともあった お笑いコンビ「アインシュタイン」の姿をメディアで見ない日はない。ツッコミの河井ゆずるにとって、芸人は憧れだった。3歳で父親が蒸発。家計を支えるためにバイトを掛け持ちして働き、過酷な生活の中で夢見たのが芸人になることだった。常に自分の頭で考え、行動し、人気芸人まで上り詰めた。大事にするのは人間関係。河井の人生を追いかけた。 現代の肖像河井ゆずる 8/16
ジンズCEO田中仁は、なぜ故郷・前橋のまちづくりに夢中になるのか ジンズホールディングス代表取締役CEO、田中仁。低価格だが機能的でかっこいい。日本のメガネ業界に大きなインパクトを与えたのが、JINSのメガネだった。創業者の田中仁は、信用金庫を経て、自分が納得した仕事をしたいとベンチャーの道を選んだ。今、田中が情熱を注ぐのは、故郷でもある群馬県前橋市のまちづくり。安寧の道を選ぶのではなく、常に挑戦を忘れない。 現代の肖像田中仁 8/2
「自分がなぜ物書きなのか、いまも謎」長い不遇時代を越え、人気作家になった燃え殻の原点 作家、燃え殻。デビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』がいきなりのベストセラー。その後も燃え殻の作品は常に人気だ。なのに、いつもどこか不安を抱える。燃え殻が現在地にたどり着くまでには、長い不遇時代があった。ラジオや雑誌が命綱だった。置かれた場所でもがき続けた燃え殻が、長い夜を越えて作家になるまで。AERA 2024年7月29日号「現代の肖像」より。 現代の肖像燃え殻 7/26
「僕にとって試合はマッチではなくてショー」 車いすテニス・小田凱人「魅せる」試合にこだわる理由とは プロ車いすテニスプレーヤー、小田凱人。今年6月、全仏オープンテニスの車いすの部・男子シングルスで小田凱人は大会2連覇を飾った。昨年、17歳の史上最年少で4大大会優勝を果たし、世界ランキングも1位に。ただ勝つだけでなく、エンタメ性も意識したプレーを追求する。8月には初めてのパラリンピックとなるパリ大会が幕を開ける。凱旋門の「凱」を名前にもつ小田が、王者としての凱旋をかなえる晴れ舞台だ。 現代の肖像小田凱人 7/19
国籍がどこでもひとつのチーム 日本を勝たせるために蹴る ラグビー選手・李承信 朝鮮学校出身で初のラグビー日本代表となった李承信。ラグビーの代表チームは国籍を重視しない所属協会主義が特徴だ。さまざまなルーツを持つ選手たちが、自分のルーツを大切にしながら、ひとつのチームとして戦う。多様性を体現するスポーツにおいて「実力で誰よりも上手く蹴れるように」と語る承信は試合ごとに進化する姿を見せている。 現代の肖像李 承信 7/12
矢部万紀子 頭ごなしに否定することなく、言動の背後にある気持ちをくみとって 第一生命グループ女子陸上競技部で選手を育ててきた山下佐知子 あの有森裕子が、山下佐知子を語って泣いた。驚いた。「よく泣くからねー」と、山下は笑った。このおおらかさ。選手でなくても、もっていかれる。開幕間近なパリ五輪に、選手を連れていく。輩出したオリンピアンは4人目だ。 現代の肖像山下佐知子 7/5
吉井妙子 「ボールの縫い目にもこだわってパスをする」 日本屈指の司令塔、女子バスケ町田瑠唯のパス力 女子バスケットボール選手、町田瑠唯。今年4月、女子バスケの富士通レッドウェーブが、シーズン優勝を決めた。16年ぶりの優勝に、会場が沸いた。優勝の立役者の一人である町田瑠唯は、東京五輪でも活躍、WNBAのワシントン・ミスティックスでもプレーをした。それでも「シュートを決めてくれるみんなのおかげ」と常に謙虚。人を活かすプレーが、やがて大きな花を咲かせる。 現代の肖像 6/28
大学で教壇に立つ元日テレ報道キャスター・小西美穂「学ぶ楽しさを伝え、人生の背中を押してあげたい」 関西学院大学総合政策学部特別客員教授、小西美穂。日が当たらないことでもテレビなら応援できると思った小西美穂は、大阪の読売テレビに就職。事件や司法を担当した。人一番努力しないと認めてもらえないと、休む間も惜しんで取材。数々のスクープを報じ、話題のドキュメンタリーを作った。異例の出向で日本テレビへ。キャスターとして活躍した後は、50歳で大学院で学び、現在は大学でも教鞭を執る。 現代の肖像 6/21
川口穣 自由な発想でレゴ ブロックの「無限の可能性」を表現 レゴ認定プロビルダー・三井淳平 レゴ認定プロビルダー、三井淳平。多くの人が子ども時代に遊んだことがあるレゴ ブロック。日本でただ一人の「レゴ認定プロビルダー」、三井淳平は橋や建物などの大型作品から繊細な絵画やジオラマまで、その表現で人を驚かせ、楽しませる作品を次々に生み出す。子どもの頃から工作やレゴ ブロックを楽しみ続けてきた。そのワクワク感や情熱を抱いたまま、自由で無限な世界を体現している 現代の肖像三井淳平 6/14
中村千晶 「不適切にもほどがある!」で大ブレイクの河合優実 ダンス好きの高校生が俳優を志した瞬間 俳優、河合優実。今、一番注目を集める俳優と言っても過言ではない。2019年に俳優としてデビューすると、数々の新人賞を受賞。ドラマ「不適切にもほどがある!」の純子役で、河合優実の名前は一挙に全国区となったが、本人はいたって落ち着いている。6月7日には映画「あんのこと」が公開。主人公・杏の痛みが、河合の身体を通して私たちにも切実に届く。 現代の肖像河合優実 6/7
愉快なものは役には立たないが、価値はある デイリーポータルZ・林雄司の世界の面白がり方 デイリーポータルZ代表取締役、林雄司。コスパやタイパを追求し、収益を最大化していく。今の社会は、合理性こそ正義と言わんばかりだ。そんな時代に、林雄司は「愉快なくだらなさ」で膝カックンを食らわせる。役に立つものだけが価値があるわけではない。林が立ち上げたWEBメディア「デイリーポータルZ」が歩んできた22年の道程が、それを証明している。 現代の肖像 5/31
「52間の縁側」で建築大賞など3賞同時受賞の山崎健太郎 そこで過ごす人がその人らしくいられる居場所を 建築家、山崎健太郎。「52間の縁側」は、多世代が交流できるようにと、長い縁側をつくったデイサービス施設。この建物が複数の建築賞を受賞した。設計を担ったのが山崎健太郎。そこに集まる人たちがどうしたらその人らしくいられるかを考え抜き、建築と向き合う。何度も現場に足を運び、人の声に耳を傾ける。高齢者も障害者も、わけへだてなく暮らせる社会になればいいと願う。 現代の肖像 5/24
武田真一アナ 「いまだに空しくて悲しくて」東日本大震災の津波実況に罪悪感を抱え悩み続けた アナウンサー、武田真一。2011年3月11日、街をのみ込んでいく津波を実況しながら、無力感に襲われていた。自分の言葉は必要な人に届かない──。あの日、リアルタイムで切迫感を伝えきれなかった罪悪感や悲しみから、報道マニュアルの改訂にも尽力した。NHKを退局して1年余り経ったいま、日々勉強し、現場に飛んで声を聞く。喜怒哀楽を豊かに向き合い、自分の声で伝えていく。 現代の肖像武田真一 5/17
「沖縄に縁もゆかりもない自分が歌っていいのか」宮沢和史が悩みながら歌ってきた「島唄」に込めた思い シンガー・ソングライター、宮沢和史。今春、音楽生活35周年を迎え、4月24日にはアルバム「~35~」を発売。「島唄」や「風になりたい」は名曲となった。音楽を作るために、沖縄民謡をはじめ、ラテン音楽などを自身にしみこませるように、世界中を旅して学んできた。沖縄出身でないのに、「島唄」を歌っていいのか。その葛藤を抱えてきた。けれども、平和な沖縄への祈りを込め歌い続ける。 現代の肖像 5/10
中村千晶 映画「新聞記者」や「余命10年」を撮った新世代の監督・藤井道人の原点とは 映画監督、藤井道人。5月3日に公開される映画「青春18×2 君へと続く道」は、日本と台湾で撮影。藤井道人にとって初の国際プロジェクトとなった。「新聞記者」や「余命10年」とヒット作を撮るだけでない。俳優からも「一緒に作品を作りたい」と切望される。仲間と自主映画を作るのが楽しかった。その延長線に今もある。映画を作るのはかっこいいと、その姿勢と作品とで伝える。 現代の肖像 4/27
抱っこをせがみ、家族になる「LOVOT」 林要が愛を育むロボットを開発した理由 GROOVE X 創業者・CEO、林要。ロボットやAIは未来を切り拓くテクノロジーだが、「人の仕事を奪う」といったディストピア論も根強くある。だが、人を幸せにする前向きな使い道もあると、林要は、人間の愛情を育める生き物のようなロボットを提案する。トヨタやソフトバンクを経て、スタートアップを立ち上げた林が、ロボットと目指す「温かい未来」とは。 現代の肖像 4/19
中村千晶 全国60拠点、年商18億円の久遠チョコレート 代表・夏目浩次の従業員の6割が障害者の職場の作り方 夏目浩次が率いる「久遠チョコレート」は、「アムール・デュ・ショコラ」でも選ばれるほど、人気のチョコレートだ。従業員のうち、6割が障害者。チョコレートは失敗しても温めたら作り直せるため、それぞれが合った仕事で人気を支える。障害者が働いても、月額1万円しかもらえないと知った憤りが、夏目の原点。使える人と、使えない人とを区別せず、支え合える社会にしたい。 現代の肖像 4/12