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『この世界の片隅に』のもとになった写真も 戦前・戦後の白黒写真をAIと人の手でカラー化
『この世界の片隅に』のもとになった写真も 戦前・戦後の白黒写真をAIと人の手でカラー化 日本でカラー写真が普及したのは戦後のこと。それまではもっぱら白黒写真が一般的でした。白黒写真を見ると、時代の流れを感じるとともに、どことなく無機質な印象を受ける人が多いかもしれません。  書籍『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』は、そうした白黒写真への印象が「戦争と私たちの距離を遠ざけ、自分ごととして考えるきっかけを奪っていないでしょうか?」(本書より)という「問い」から始まりました。AI(人工知能)と人とのコラボレーションによって白黒写真をカラー化するという取り組みは、東京大学に在学する庭田杏珠さんと、東京大学大学院情報学環教授の渡邉英徳さんが共同でおこなっている「記憶の解凍プロジェクト」です。  本書で渡邉さんは以下のように記します。 「カラー化によって、白黒の世界で『凍り付いて』いた過去の時が『流れ』はじめ、遠いむかしの戦争が、いまの日常と地続きになります。そして、たとえば当時の世相・文化・生活のようすなど、写し込まれたできごとにまつわる、ゆたかな対話が生みだされます」(本書より)  その言葉のとおり、写真が彩色されることで、人々の肌に生気が生まれ、自然は四季の色合いを見せ、街は活気づき、まるで凍っていた世界が生き返ったかのように感じます。  たとえば、とある家族が親戚と一緒にスイカを食べている写真、理髪店の前で撮られた仲が良さそうな母と息子の写真(アニメ映画『この世界の片隅に』冒頭シーンのもとになったといいます)、川で大勢の子どもたちが水遊びをする写真など。身近な日常の風景ばかりで、この中に自分のおじいちゃんやおばあちゃんがいてもおかしくないという気持ちにさせられます。  それは、戦争の写真についても同じです。空襲で焼け野原となった街、特攻隊の発進を見送る家族、玉音放送をラジオで聴いて涙を流す人々など、カラーで見る戦争の様子は大きなリアリティをもって胸に迫ってくるものがあり、「これは本当に起きたことなのだ」とその重みを突き付けられる思いです。  AI技術によって「自動色付け」はできるものの、それはあくまでも「下色付け」。最終的には、戦争体験者との対話や資料などをもとに手作業で色を修正して仕上げるそうです。たとえば、本書でも大きなインパクトを持つ、広島市に原子爆弾が投下されている写真。AIはきのこ雲を白く着色したそうですが、『この世界の片隅に』などの映画監督・片渕須直さんからの指摘や資料などを参考に、オレンジ色に寄せて色補正を加えたといいます。  カラー化された写真からはさまざまな物語が感じられます。戦争を「遠い昔の話」として風化させないためにも、この本を通して一人でも多くの人に当時の暮らしに思いを馳せていただきたいです。
『SATC』が25年の歳月を経てパワーアップ! 原作者が現代ニューヨークの恋愛事情を本音で記す
『SATC』が25年の歳月を経てパワーアップ! 原作者が現代ニューヨークの恋愛事情を本音で記す 1998年から2004年にかけてアメリカで放送された大人気テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(『Sex and the City』、通称:『SATC』)。ニューヨークに住む30代独身女性4人の恋愛やセックスを赤裸々に描き出した本作は、日本でも多くの女性の支持を得て一世を風靡しました。  ドラマの原作は、ライターのキャンディス・ブシュネルさんが週刊紙『ニューヨーク・オブザーバー』に1994年から連載していたコラム「セックスとニューヨーク」です。あれから早25年の時を経て、当時30代だったキャンディスさんは50代後半に突入。そして、25年前とは異なる、現代のニューヨークを取り巻く熟年層の恋愛や性事情についてまとめた書籍『25年後のセックス・アンド・ザ・シティ』を発売しました。  子どもの巣立ち、熟年離婚、親の介護、更年期障害、病気の心配など、立ちはだかる壁は人それぞれですが、多くの人にとって40代、50代は新たな変化をむかえる年代でしょう。キャンディスさんは50代になって離婚を経験。本書ではシングルに戻った彼女が、「ニューヨークにはまだ、私がセックスできるチャンスはあるの?」(本書より)と疑問を投げかけるところから始まります。  「たとえセックスのチャンスがあったとしても、私には無理だろう」(本書より)と最初は恋愛市場へのカムバックに消極的だったキャンディスさんですが、大都会・ニューヨークはやはり刺激的! さまざまなチャンスが訪れ、さまざまな問題が発生します。    また、25年前と大きく異なるのがインターネットやSNSの存在です。キャンディスさんは「記事の実験」という名目のもと、出会い系サイト「Tinder」に登録。「私自身もババアだけれど、ジジイとはつながりたくないのだ。だって、それじゃあ日常生活とおんなじじゃない?」(本書より)なんて、彼女の本音もさく裂します。そして、興味のある男性の年齢層を22~38歳に設定したところ、若者たちからどっと反応が来ることに! その後、31歳のジュードと実際に会うことになりますが、その結末はぜひご自身でご覧あれ。  ほかにも、「カブ(中年女性が好きな若い男性)」との付き合い方、高額化粧品などの美容、50代以降の女性が大きな喪失感に陥る「ミドルエイジ・マッドネス」、おじいちゃん世代とのセックス問題などなど、人生のテーマが盛りだくさん。    あのころ、リアルタイムで『SATC』に熱狂していた人も今は40代、50代。キャンディスさんとともに年を重ねて同じような悩みを抱える人、そして、リアルタイムではなかったものの『SATC』に熱狂した経験がある多くの人にとって、『25年後のセックス・アンド・ザ・シティ』は、きっと新たなバイブルとなってくれるに違いありません。
芥川賞作品を映画化! ひとりの老後も悪くない...老いの境地を赤裸々にさらけ出した「玄冬小説」
芥川賞作品を映画化! ひとりの老後も悪くない...老いの境地を赤裸々にさらけ出した「玄冬小説」 「青春小説」の対極にある、老後を描いた「玄冬小説」として話題になった、第158回芥川賞受賞作品『おらおらでひとりいぐも』(著・若竹千佐子さん)が、11月6日(金)に田中裕子さん主演で映画化されるとあり、ふたたび注目を浴びています。  主人公は、74歳の女性・桃子さん。東北出身の彼女は、24歳の秋、結婚が決まっていた中、故郷を身ひとつで飛び出して上京し、住み込みで働き始めます。そして同郷の男性・周造と出会い結婚。都市近郊の住宅地で2人の子どもを産んで育て上げるのです。  このエピソードからは、夫と手を取り合い、子どもや孫たちに囲まれたにぎやかな老後を想像しますが、夫の周造は15年前に他界。現在、娘・息子とも疎遠になっており、桃子さんはひとりで生活しています。  そして、「あいやぁ、おらの頭このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねべが」と冒頭にあるとおり、あるときから桃子さんの頭の中では、性別不詳、年齢不詳、使う言葉もばらばらな大勢の声が飛び交うようになったり、その声がジャズのセッションのような重低音を奏でたりするようになったというのです。  読者としては、ちょっとした狂気を感じざるを得ませんが、当の桃子さんはおかまいなし。頭の中でジャズが聴こえればリズムに合わせて踊ったりもするし、無礼なことを言ってくる声には言い返したりもします。  桃子さんの頭の中をそのまま垂れ流しているかのように、考えが飛んだり、感情が高ぶったり、途中でわけがわからなくなったり。そうしたところもそのまま文字にしているのです。  たとえば「周造、どござ、逝った、おらを残して うそだべうそだべうそだべだれがうそだどいってけろやあやはあぶあぶぶぶぶぶ」「ああそうが、おらは、人恋しいのが 話し相手は生きている人に限らない。大見得を切っていだくせに 伝えって。おらがずっと考えてきたごどを話してみって」といったふうに。  人によっては、こうした桃子さんの毎日は寂しい老後に見えるかもしれません。けれど、とらわれるものが何もない桃子さんは、思考も行動も自由で身軽。それがちょっぴりうらやましく感じてしまうのです。  結婚したからといって、夫と一生添い遂げられるかはわからないし、子どもとうまくいかず疎遠になる可能性だってある。長い人生、「自分は自分でひとり行く」と腹をくくれたなら、また違う景色が見えてくるのかもしれません。  ちなみに、著者の若竹さんは、55歳から小説講座に通い始め、63歳のときに処女作となる本作で芥川賞を受賞したそうです。これから老後をむかえるすべての人にとって、本書は珠玉の玄冬小説になるのではないでしょうか。今はまだ若い人でも「この先、自分はひとりで生きていくのかな」と漠然とした不安を抱えているならば、きっと心動かされるに違いありません。
人気の「ゾンビコンテンツ」をあらゆる角度から徹底解剖!
人気の「ゾンビコンテンツ」をあらゆる角度から徹底解剖! ホラー作品の中でも常に高い人気を誇る「ゾンビ作品」。映画、ドラマ、ゲームなど、なぜ私たちはこれほどまでにゾンビに魅了されるのでしょうか?  そんなゾンビの文化や歴史、社会的・文化的背景などを分析し、わかりやすく教えてくれるのが『大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~』です。近畿大学総合社会学部准教授の岡本 健さんがおこなっているゾンビにまつわる講義が、この1冊にまとめられています。  本書は全5章からなり、第一章「『ゾンビ』とは何か」では、研究対象のゾンビについて解説。ゾンビはブードゥー教の呪術にルーツを持ち、一言に「ゾンビ」といっても「現実のゾンビ」「虚構のゾンビ」「概念のゾンビ」などの違いがあるようです。本書ではさまざまなメディアに登場する「虚構のゾンビ」について研究していくことを明らかにしています。  第二章では、おそらくみなさんにとって一番馴染みのある「映画で見るゾンビの歴史」を解説。ここでは、『ホワイト・ゾンビ(恐怖城)』(1932年)、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)、『ゾンビ』(1978年)、『死霊のはらわた』(1981年)、『バイオハザード』(2002年)、『REC/レック』(2007年)など、数多くの作品を時系列的に紹介しており、ゾンビ作品がどのような歴史を経てきたのかがよくわかります。この章だけでもずいぶんとゾンビ映画に詳しくなれそう!  さて、時代とともに移動社会や情報社会の波はゾンビ文化にも訪れるもの。第三章「ゾンビのグローバル化、マルチメディア化」では、人や情報の移動が盛んになるにつれ、ゾンビがどのように空間を移動するようになったかを映画『ワールド・ウォーZ』(2013年)などを例に挙げて解説。また、国際化や多様化が感じられるゾンビ映画や、ゲームメディアにおけるゾンビについても取り上げています。  第四章「日本のゾンビ文化考」では、視点をぐっと日本へ寄せます。日本ではゾンビコンテンツがどのように展開されてきたのか、『アイアムアヒーロー』(2016年)や『カメラを止めるな!』(2018年)、『屍人荘の殺人』(2019年)といった作品を紹介しながら説明しています。  また、「カワイイ」の代表的存在である「ハローキティ」をゾンビ化させたフィギュアや、「萌え」とゾンビをかけ合わせた美少女ゾンビコンテンツ『さんかれあ』『りびんぐでっど!』などが生まれているのも、日本ならではの流れといえるかもしれません。町おこし的なイベントにゾンビが使われることまであり、日本独自のゾンビカルチャーが築かれていることがわかって興味深い!  最終章となる第五章は「なぜ人々はゾンビに惹かれるのか」。著者はゾンビが他のモンスターと大きく違う点として、「『他者』でありながら元は我々と同じ人間である」(本書より)を挙げ、「ソンビはまさに、鏡のような気になる存在として、我々の前に現れる。だからこそ、私たちはゾンビを気味悪がると同時に、惹かれるのである」(本書より)と結んでいます。  ゾンビについてありとあらゆる角度から研究され、解説されている本書。ゾンビ好きな人にとっては、これまでの知識を体系立てて整理するのにピッタリな1冊となりそうです。    暑さの厳しい今の時期、本書を手元に置いてゾンビ映画を鑑賞するなんてひとときもオツなものではないでしょうか。
明智光秀を討ったのは農民!? 『残念な死に方事典』から見えた「歴史的人物たちの驚愕ラストシーン」
明智光秀を討ったのは農民!? 『残念な死に方事典』から見えた「歴史的人物たちの驚愕ラストシーン」 歴史的人物たちの驚愕ラストシーンをまとめた『残念な死に方事典』(ワニブックス)。織田信長を討ちとった明智光秀は、落ち武者狩りによって惨殺されていたことをご存知だろうか。秀吉一派から逃げる道中で農民の落ち武者狩りに遭い、山野で野垂れ死んだそうだ。本書には他にも、西郷隆盛や源 義経など著名人たちの名がずらり。武士たちの「残念な死に様」に注目していく。  まず本題に入る前に、監修・小和田哲男氏が綴った「前書き」に注目してほしい。一見「残念な死に方=無様」といったふうに聞こえるが、小和田氏は次のように述べている。 「『残念』という言葉には悔しいとか情けないという意味合いがあるが、生き様が華々しいものでなければそのような心情にはならない。つまり、納得のいかない死に方をした武士ほど、その生き方は非常にドラマティックなものであったといえる」(本書より)  先述した通り、明智光秀はただの落ち武者狩りに殺された。彼を追っていた秀吉一派ではなく、縁もゆかりもない「ただの農民」に。だがもし光秀がただの従順な従者だったら、同じ最期を遂げても「残念」に思うだろうか。つまり残念な死に方とは、彼らの劇的な生き様の上に成り立っているのだ。  たとえば扇谷上杉定正の家臣であり、江戸城を作った人物でもある太田道灌もそのひとり。彼は幼少期からズバ抜けた才知に恵まれ、のちに武将としても学者としても数多くの功績を挙げていく。やがて道灌の名は京都にまで知れ渡り、34歳で上洛。さらには30年近くにも及んだ享徳の乱を、ほぼ彼ひとりの力で平定させたという。そんな才気溢れる道灌だが、最期はじつにあっけない。 「文明十八年七月。道灌は招かれた扇谷上杉家の別館にて促されるまま、風呂に浸かった。『ああ、いい湯よのう』と、極楽気分で入浴から上がった直後のことだ。 『覚悟せい、太田の!』 刺客が湯殿に押し入ってきて、道灌は一太刀のもとに斬り捨てられる」(本書より)  要するに彼の卓越した実力が妬まれ、長年仕えてきた主君に裏切られたのだ。その際に道灌が放った言葉が「当方滅亡」。「家宰の己を斬る主家など、すぐに滅亡するのは目に見えている」という意味合いで、彼の予言通り扇谷上杉家は滅亡の一途を辿ることに。まさに因果応報の結末ではあるものの、果たして彼の死に意味はあったのか。  「因果応報」といえば、戦国武将・龍造寺隆信もロクな死に方をしていない。最盛期は肥前、筑前、筑後と九州の一大勢力となったそうだが、その性格は冷酷で残忍。味方であっても疑わしき者は容赦なく処刑していたらしい。そんな彼の死に方は「討ち死に」。しかも家臣に置いてけぼりにされたゆえの惨死である。  時は天正12年3月、島津連合軍を相手とする沖田畷の戦いでの出来事。戦いははじめ隆信一派の優勢かに思えたが、途中で戦局が一気に変わった。 「大軍の強みを封じられた奇襲攻撃になす術なく、混乱に陥った龍造寺の兵は総崩れとなる。隆信の輿の担ぎ手もまた皆が逃げ出していき、『おい、こら、待て。お前ら、どこへ行く!』と慌てて叫ぶも、家臣は誰一人として耳を貸すことなく姿を消していく。戦場のぬかるみへ輿とともに残された隆信は、あっという間に敵兵に囲まれてしまう。 『ズバッ!』。最後はあっけなく首を斬られ、絶命してしまった」(本書より)  この時、馬に乗れないほど肥満化していた隆信。ゆえに輿に揺られながらの出陣となったわけだが、まさかその輿で最期を迎えるとは夢にも思わなかっただろう。さらに義弟の鍋島直茂から「島津を侮るな」と釘を差されたにもかかわらず、隆信は全く聞き入れなかった。あの時、助言をしっかり聞き入れていれば、隆信にもっと人望があれば、このような最期は免れたかもしれない。  また、中国地方の三大謀将を祖父に持つ、大大名・尼子晴久もなかなか予想外の死に方をしている。それは毛利家に惨敗した翌年、彼らの猛攻によって厳しい状況に追い込まれていた時のこと。祖父に甘やかされて育った晴久は逆境に弱く、ひどく心を病んでいた。そのため神社に奉納して御家安泰を願っていたそうだが、ある日悲劇は起きる。 「そうして迎えた師走の夜。 『よしっ、ここは冷水を浴びて月にお祈りしよう』 晴久は月に勝利を託すように、桶で冷水を汲んでは全身に浴びはじめる。『ザッパーン。ザッパーン。ザッパーン』と、今後の行く末が心配でありながら、もはや神頼みの祈祷に縋るしかない晴久に、突然の不幸が襲いかかったのは直後のこと。 『ハ、ハウッゥーッ』 極寒の夜、凍るような冷水を浴び続けたため、胸を押さえて倒れてしまった。 翌朝の早朝。 『ご臨終です』 永禄三年十二月二十四日、晴久は急性心筋梗塞で死亡したといわれている」(本書より)  たとえ天下を取ろうが多大な功績を上げようが、皆等しく「一寸先は闇」。いつどんな結末を迎えるとも分からないのであれば、せめて今日一日を精一杯生きたい。武士たちの死に際を見ると、そう思えて仕方がないのだ。
アナベル人形があなたの恐怖心を刺激する... 謎多き「現代怪異」の魅力から逃げられない!
アナベル人形があなたの恐怖心を刺激する... 謎多き「現代怪異」の魅力から逃げられない! 現代科学をもってしても解明することのできない「怪異」。日本だけを見ても妖怪や幽霊などの怪異譚は数多く、世界に目を向ければその総数は計り知れない。怪異の内容も、信憑性の高いものから眉唾モノまでさまざま。まるで靄がかかったように得体が知れないからこそ、興味を惹かれるという人も多いのではないだろうか。  今回ピックアップした朝里 樹氏の『世界現代怪異事典』(笠間書院)は、20世紀以降に世界各地で語られた怪異・怪物を800種類以上掲載。写真データこそないものの、文字による圧倒的な情報量には驚かされるばかりだ。明確に実在が証明されていない存在から現象に至るまで網羅された一冊となっており、朝里氏は冒頭で以下のように説明している。 「本書をどのように使用していただくかは読者の自由です。出典を辿り、より詳しい情報を得るために使っても、創作に利用しても、ただ読んで楽しむだけでも構いません」(本書より)  まずはホラー映画『死霊館』シリーズのヒットにより、日本でも有名になったアメリカの怪異「アナベル人形」を見てみよう。アナベル・ヒギンズという少女の霊が取り憑き、1970年に怪異現象を起こしたとされる同人形。「いつの間にか位置が変わっている」というのは序の口で、夢に現れて首を絞めたり、人形に近づいただけで体に獣の爪痕のような傷がついたりするなどのいわくだらけだ。悪魔祓い後も勝手に動いてしまうためガラスケースに閉じこめられ、現在はウォーレン・オカルト博物館で展示されているそう。  アメリカに伝わる都市伝説では、「下水道の白いワニ」も有名。ニューヨークの下水に棲んでいるとされる怪物で、巨大な体と名前の通り「白い体表」が特徴。ペットのワニを飼いきれなくなった主人がトイレに流したことが元凶らしいが、大都会の足元に巨大なワニが蠢いているとは想像するだけでも恐ろしい。 「このワニは日の当たらない地下で育ったため鱗は白く、目は見えず、下水道のネズミや流されてきた薬品などを摂取したため、通常よりも巨大なのだという」(本書より)  同書では幽霊や妖怪・妖精の他にも、多くのページを割いて世界中に潜む未確認生物を紹介している。例えばスコットランド・ネス湖で目撃情報が相次ぐ「ネッシー」は、もはや誰もが知る未確認生物界のスーパースター。その正体をめぐっては、「首長竜の生き残り」説や「巨大な魚・ヘビ」説など議論が絶えない。一方1934年に外科医が撮影したネッシーの長い首を捉えた写真が、半世紀以上経って捏造と判明。目撃情報や証拠写真の真贋論争もいまなお続いているが、朝里氏は自身の思いを以下のように記した。 「しかしネッシーが今までたくさんの人の心を掴んできたことは確かだ。いつかその正体が判明するその時まで、人類のロマンとして在り続けることだろう」(本書より)  時として怪異は、子どもを持つ親にとって格好の題材になるのかもしれない。イギリスで語られる「ブギーマン」は、夜に子どもたちを脅かすという決まった形のない存在。寝かしつけの際に「しつけ」として名前を聞かせるそうだが、子どもにとって恐怖以外の何物でもないだろう。 「ボガード、バクベア、ボギーなど、同様の役割を持つお化けは多い。クローゼットやドアの向こうに潜んでいるとされ、子どもを攫うなどと語られる」(本書より)  国や土地ではなく、インターネット上で広がる怪異・都市伝説にも注目したい。名前の時点でどこか不気味な雰囲気を放つ怪人「スレンダーマン」は、目や鼻といった顔のパーツがなく異常に高い身長が特徴。スレンダーマンに追跡された人間は恐怖や妄想に囚われ、精神的な被害がおよぶという。  とはいえこの怪人は個人の創作による存在だと明確になっていて、2010年には作者本人が「スレンダーマン」を著作権登録。しかし姿の見えない怪人はネットの海で広がり続け、新たな特徴が次々と肉づけされていったようだ。 「インターネット上で語られる怪談の総称として使われる『クリーピーパスタ』の誕生のきっかけのひとつであり、その代表のひとつであるスレンダーマンは、現在も人々に親しまれ、多くの人々の間で語り継がれている」(本書より)  実在する・しないは別として、いつの時代も人々の好奇心を捉えてやまない怪異譚。いまもネット上には新たな目撃情報が溢れており、自分自身が目撃者になる可能性もゼロではない。自然に対する畏怖の念や未知なるものへの探求心を忘れなければ、怪異は意外なほど身近に存在しているのかも......。

この人と一緒に考える

人気YouTuber「リベ大学長」がすすめる「副業」とは?
人気YouTuber「リベ大学長」がすすめる「副業」とは? 新型コロナウイルス感染症の影響で景気が後退し、日本経済の先行き不透明さが増しています。これまで以上にお金への危機意識が高まったというも多いのではないでしょうか。  「老後2000万円問題」が注目されて以来、お金への不安が強まり、コロナ禍で拍車がかかっています。定年でリタイアできず、「死ぬまで労働」はもはや絵空事ではありません。特別な才能がない一般人が、働き続けることから逃れ「自由な人生」を手に入れるにはどうすればいいのでしょうか。  『本当の自由を手に入れるお金の大学』の著者である両@リベ大学長は、本書で「お金なくして自由なし!」としたうえで、「僕がお金持ち達から学んできた経済的自由への原則は同じ。だって一つずつ実践していけば、経済的自由に近づいていく事ができる」と断言します。  両@リベ大学長は、高校1年生で起業するも紆余曲折の人生でした。会社経営で社長なのにクビ、従業員100人退社、ストレス発散にキャバクラで年間1億円を散財......。その失敗を生かして、優秀な経営者から経営や人間関係を学び、モルディブの大富豪からはお金の増やし方を学び、人生が好転したといいます。  いまや会社経営ではグッドマネジメント総合研究所の調査で社員満足度1位を獲得。Twitterのフォロワー約17万人、YouTube「両学長 リベラルアーツ大学」のチャンネル登録者数約42万人で、「お金の話」を扱ったチャンネルでは日本トップクラスです。  そんな両@リベ大学長が、「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」の「お金にまつわる5つの力」を育てる実践的なガイドブックとして上梓したのが本書。5つの力で目指すのは、家計を年間100万円節約、年収100万円増やし、浮いた200万円を年間5%で20年運用することで20代から60代までの間に総額7000万円の資産を築くこと。  ここでは「稼ぐ」の項目から、両@リベ大学長がおすすめする副業を一部だけ紹介します。 (1)プログラミング スキルを取得すれば副業に限らず、転職・起業(フリーランス)など、融通が利きます。「まだまだプログラミングができる人材が少ないため、フリーランスになることで高収入を狙いやすく、世界的な需要も高い」(本書より) (2)動画編集 YouTuberや企業から撮影動画の編集を請け負います。「インターネットの5Gが普及すればYouTubeを含めネット上の動画市場をもっと拡大していくことが間違いない。必然的に動画編集の需要も増えていくはずや」(本書より) (3)デジタルコンテンツ販売 イラスト、写真、音楽などのデジタル素材、同人コンテンツなどを、ネットショップやダウンロード販売。「デジタル素材はホームページや広告チラシ、YouTubeなど多岐にわたる場面で素材として利用されてるで。同人コンテンツは個人制作のイラストや漫画のことで、主にオタク向けのものを指すことが多いな」(本書より)  本書は固定費の見直し方、投資術、持ち家か賃貸かなど、人生で直面するお金の問題を網羅しています。しかも、YouTubeの解説動画 QRコードが付属されており、動画とセットで学ぶことができる仕組みです。お金に不安がある方は、手に取ってみてはいかがでしょうか。
料理研究家リュウジの「電子レンジレシピ」集大成! 準備は3分、容器に入れてチンするだけ!?
料理研究家リュウジの「電子レンジレシピ」集大成! 準備は3分、容器に入れてチンするだけ!? SNSに投稿するレシピが片っ端からバズりまくるという人気料理研究家のリュウジさん。老若男女問わず支持を得る秘密は、なんといっても「身近にある素材を使って誰でも簡単においしく作れる点」ではないでしょうか。  そんなリュウジさんの新著『失敗ゼロ!秒で作れる奇跡のウマさ!1人分のレンジ飯革命』も、まさにそれを象徴するかのような一冊です。準備にかかる時間はたったの3分。容器に入れて電子レンジでチンするだけで、1人分の絶品料理が完成するというのです!  でも、電子レンジ調理に制限されると、レシピのバリエーションは少なくなってしまいそう......。いえいえ、けっしてそんなことはありません! 本書を開いてみると、「ねぎ塩チキン」「青椒肉絲(チンジャオロースー)」「肉じゃが」「さけのちゃんちゃん蒸し」といった肉魚料理から、「無限えのき」「なすボロネーゼ煮込み」「春雨サラダ」などの副菜、「無水インドカレー」「明太豆乳クリームパスタ」といった麺・ごはん系など、実に多彩です。さらにはコンビニ食材を使ったメニューやデザート系もあり、全部で約100品ものレシピが収録されています。  作り方もとにかく簡単。たとえばパスタであれば通常、麺は麺だけで茹で、ソースは別で作り、最後に和えるというのが一般的です。しかし本書のレシピでは、耐熱容器にソースの具材と半分に折ったパスタを一緒に加え、電子レンジにかけるだけ。チャーハンだってフライパンで炒める必要はなく、温かいご飯と材料をすべて一緒に入れ、電子レンジで加熱し、最後によく混ぜ合わせれば完成というシンプルさです。洗い物が少なくて済むのもありがたいですね。  時短が叶うとともに、失敗知らずで作れるのも利点。火加減を気にする必要がないため焦がす心配がなく、材料を手順どおりに入れさえすれば、誰でも同じように仕上げることができます。料理が苦手な人やビギナーでも、いきなり料理上手になれるといっても過言ではありません。すべて1人分のレシピなので、ひとり暮らしや昼食は1人分だけ作るという人にもピッタリ。タイトル通り、皆さんの食生活に「革命」が起きる一冊になることでしょう。  なお、巻末には特典として、タレントのしょこたんこと中川翔子さんがセレクトしたリュウジさんレシピ3点も掲載されています。リュウジさんも「いいチョイスですね!」と太鼓判を押しているので、そちらも要チェックです。
子育てメソッドをぎゅぎゅっと凝縮! 今すぐ取り入れたい具体策100を紹介
子育てメソッドをぎゅぎゅっと凝縮! 今すぐ取り入れたい具体策100を紹介 子育てに悩みはつきもの。とはいえ、誰に聞けばよいか、何を参考にすればよいかが分からず、立ち往生してしまうことも多いかと思います。特に現代は情報が溢れすぎているがゆえに、かえって取捨選択が難しい場合もあるのではないでしょうか。  そんなとき心強い指針となるのは「先人たちが積み重ねてきた膨大な研究の結果」と、本書『子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』に書かれています。ハーバード大学やスタンダフォード大学などの一流研究者による200以上の資料や数多くのリサーチから、著者・加藤紀子さんが一番よいと思われるメソッドを厳選し、100の項目にまとめた一冊です。  本書のカテゴリーは「コミュニケーション力」「思考力」「自己肯定感」「創造力」「学力」「体力」の6つで、それぞれのセクションでさらに細かな項目に分かれています。気になる箇所からランダムに読んだり、悩みに応じた項目を探したりして読み進めるといいかもしれません。  たとえば、「子どもがスマホばかり見ている」という悩みがあるとしたら、セクション1に「『スマホのルール』をつくる」という項目があります。ここでは、子どもを取り巻くスマホの現状やメリット・デメリット、親子でのスマホのルールの決め方などについて紹介しています。ネット依存の治療と研究に取り組む医師による提言なども書かれていて、スマホ依存のリスクから子どもを守るさまざまな方法を知ることができます。  また、子どもの成績について悩む親も多いはず。そんなときはセクション5「学力をつけるには?」がおすすめです。ここでは「『算数力』をつける」「『語彙』を増やす」「時間をあけて『復習』する」「『やる気』をつくる」といったさまざまな項目で解説されています。  ほかにも「子ども部屋を与えるべきタイミング」については「『自分のスペース』をもつ」という項目が参考になりそうです。ここでは建築家でもある大学教授の言葉を引用し、「頭のよい子」たちは「必ずしも子ども部屋に閉じこもって勉強してはいません」(本書より)としています。そのうえで、「子ども部屋を風通しのよい場所にする」「段階を踏んで移行する」「子ども部屋はリビング経由で」といった方法をすすめています。  このように、現状にもとづく最先端の新常識をベースに、国内外の大学教授や医師などの研究や論説も多く取り入れられています。そのため論理的で説得力のあるところが本書の良さです。また、どの項目もとてもコンパクトにまとめられていて、無駄がありません。    本書は、会話ができるようになる3歳くらいから小学6年生くらいまでの子どもを想定して書かれていますが、中学生以上のお子さんにもじゅうぶん通用するとのこと。「いちばん子どものためになることは何か?」その具体策を知りたい方は、手にとってみてはいかがでしょうか。
日本は歯科治療後進国... 「デンタルIQ」を上げる科学的に正しい知識とケア方法を解説!
日本は歯科治療後進国... 「デンタルIQ」を上げる科学的に正しい知識とケア方法を解説! 昔から「日本人は歯並びをあまり気にしない」と残念ながらよく言われています。イギリス留学でそれを痛感したというのは、本書『東京医科歯科大学を首席卒業した名医が教える 世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか 科学的に正しい歯のケア方法』の著者・森下真紀さんです。  国内最高峰「東京医科歯科大学」を首席で卒業したのち、イギリスの歯科大学院に留学した森下さん。イギリスはアメリカほど歯の美しさに重点を置いている国ではなかったにしろ、歯並びの悪い人は見当たらず、彼女はことあるごとに「日本人はなぜあんなに歯が汚いんだ?」と聞かれたそうです。  彼女自身は中学生のときに矯正をして歯並びを直していましたが、「もし親が矯正治療を受けさせてくれていなかったら大変だった」と安堵したことが何度もあるとのこと。この体験が本書を執筆する原点にもなっているといいます。  今後さらにグローバル化が進み、海外の人との交流が増えていくでしょう。仮に森下さんのように海外との交流がなくても、きれいで健康な歯を保つことは私たちにとって必要不可欠です。本書では、そのための正しい知識と最新のケア方法を、科学的データや医学論文にもとづいて教えてくれます。  歯の悩みは幅広く、千差万別です。たとえば歯並び。現在、自身の歯並びを直したいと思っている人もいれば、子どもの矯正について考えている人もいるでしょう。本書は子どもの矯正の開始時期や方法、費用の目安などについて詳しく紹介しているほか、大人であれば何歳まで矯正が可能なのかといった点にも触れています。  また、「日本人の約8割が感染している」と言われる歯周病についても書かれています。歯周病が進行すると歯を失うこともあり、歯が他の組織と決定的に異なるのは「再生機能がない」ということです。そのため、歯周病の「予防」が重要で、「毎日の正しい歯みがき(ホームケア)」と「定期的な専門家による検診とクリーニング(プロフェッショナルケア)」の2点を森下さんは強く訴えています。  ほかにも虫歯や口臭の悩み、インプラントのメリット、正しい歯ブラシの選び方、よい歯科の見分け方など、歯にまつわる悩みは実にさまざま。本書では、これらを詳しく解説し、知識を深める手助けをしてくれます。  また、実業家・堀江貴文さんや元ソニー会長・出井伸之さん、イーバンク銀行創業者・松尾泰一さんなど、著名人におこなったインタビューも必見。良い仕事をする人は、歯並びやケアにも非常に気を遣っていることがうかがえます。  私たちの健康的な人生にとって歯がいかに大切かということに気づかされる本書。歯科治療後進国から抜け出すためにも、一人ひとりがデンタルIQを上げていく必要がありそうです。
自分探しはもう終わり! 心から納得できる人生を送るための「やりたいこと探し専門プログラム」
自分探しはもう終わり! 心から納得できる人生を送るための「やりたいこと探し専門プログラム」 仕事や人生において、迷ったりモヤモヤしたりすることはつきものです。「この仕事をずっと続けてよいのだろうか」「何かしたいけれど、その『何か』がわからない」。そんな「やりたいことが見つけられない」という思いに囚われている皆さんも多いのではないでしょうか?  そうした悩みを、独自に開発した「やりたいこと探し専門プログラム」で解決へと導いてくれる人が、『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』の著者・八木仁平さんです。八木さん自身も同じような状況から脱出した経験を持つことから、本質的なメソッドやテクニックに基づいて教えてくれるのが大きな特徴です。本書には自分で書き込むワークなども多く、非常に実践的な方法で自己理解を深めていくことができます。  この自己理解メソッドの要ともいえるのが、CHAPTER3に出てくる「好きなこと」「得意なこと」「大事なこと」という3つ。「好きなこと」とは「情熱」、「得意なこと」とは「才能」、「大事なこと」とは「価値観」だと定義づけており、これらの要素を組み合わせることで、本当にやりたいことを見つけるための公式が生み出せるというのが八木さんの考えです。  とはいえ、たとえば「価値観が大事」と言われても、「そもそも『自分はこのために生きているんだ!』と心から思えるものが何かわからない」という人もいることでしょう。そうした問題については、CHAPTER4以降で丁寧にフォローしてくれます。  CHAPTER4では、「『本物の価値観』と『偽物の価値観』の見分け方」「本物の価値観を見つけ出す5つのステップ」などの項目を通して、「大事なこと(価値観)」の見つけ方が示されます。特に「価値観マインドマップ」は、自分で書き出すことで思考を整理できるので、ぜひ試していただきたいです。  同様に、CHAPTER5では得意なことの見つけ方を、CHAPTER6では好きなことの見つけ方を解説。これらにも自分で書き出すワークが含まれており、可視化することで、また一段と理解を深められそうです。  このように、自身の内面をとことん見つめ直し、「ブレない自分軸」を見つけることができるのが本書の良さ。やりたいことを見つけるための思考法を、徹底的に身に着けることができるでしょう。  現在、組織で働いている人はもちろん、起業したい人や就職・転職活動中の人、さらにはより充実した人生を送りたいすべての人におすすめしたい一冊です。

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    試合中にキスの餌食に!? 実況アナが綴る「プロレスの世界」が面白すぎる...
    試合中にキスの餌食に!? 実況アナが綴る「プロレスの世界」が面白すぎる... ここ数年、プロレスの人気が再燃しているようだ。プロレス好きからしたら「なにをいまさら」と思うかもしれないが、今まで全く触れてこなかった者からすれば「なぜ?」という疑問がふと浮かび上がるだろう。  プロレスといえば「野蛮」「過激」「痛々しい」など、どちらかと言うと悪いイメージばかり。とてもじゃないが、「お金を払ってまで見たい!」という気にはなれない。いや、今は「なれなかった」と言うほうが正しいだろう。エッセイ集『コブラツイストに愛をこめて 実況アナが見たプロレスの不思議な世界』(立東舎)を読み終わったあと、今まで抱いていたプロレスのイメージが一変。プロレスの奥深さや魅力、そして実況アナの存在意義に「面白い!」と思わずにはいられなかった。  本書の著者は、フリーアナウンサー・清野茂樹氏。2015年に新日本プロレス、WWE、UFCと世界三大メジャー団体の実況を史上初めて達成した、現在のプロレス実況の第一人者だ。  プロレス実況とは文字通り、プロレスの実況をすること。試合でどんな技が飛び出し、どっちが勝ったかを説明していく。しかし清野氏が言うプロレスと、今まで抱いていた「野蛮なスポーツ=プロレス」のイメージはだいぶ異なる。彼は本書の中で、「プロレスはスポーツではない」と語っていた。 「『試合』や『選手』というスポーツのような表現があるのに、演劇のような『セリフ』があったり、お笑いのような『お約束』があったり、ファッションショーのような『派手な入場』もあるという、いろんな要素が混じっているのがプロレスなのです。プロレスは『エンターテインメント』なのに、最後は『試合』として勝ち負けがつくという、他に類のないライブパフォーマンスです」(本書より)  上記の文章を読むと、確かにあまりスポーツらしくない。スポーツというよりはスポーツ要素を織り交ぜた舞台のようにも感じる。さらに清野氏は、続けてこう綴っていた。 「プロレス実況に求められることは、野球実況やサッカー実況より、むしろ、プロレスラーそのものに近いと思います」(本書より)  つまりプロレスを実況する側もプロレスと同様、さまざまな要素が必要になってくる。スポーツアナウンサーとしてしゃべることもあれば、映画コメンテーターの如く話すこともあったり、時にお笑いのツッコミ役をするような部分があったりと、多様な要素が合わさって初めて「プロレス実況」というものが成り立つ。  もちろん実況に台本などなく、実況アナから発せられるのは全てアドリブの言葉。ただ、しゃべりの材料として「実況資料」を用意するそうだが、それすらも奪われてしまうことがある。清野氏のデータブックを奪ったのは、正体不明のマスクマン「エル・デスペラード氏」。場外乱闘の際に、凶器として使うため清野氏のノートを奪ったそうだ。その時に清野氏が発した実況は以下の通り。 「うわっ、私のノートが奪われてしまいました! タイツの中に隠し持っています! あーっと、私のノートで脳天に一撃!!」(本書より)  正直、ノートを奪われるくらいならまだマシなほうだろう。時にレスラーたちは試合にアクセントをつけようと、実況アナに襲いかかる。清野氏が最も印象的だったと語るのは、マキシモ(現:マキシモ・セクシー)というメキシコ人レスラーが放送席にやってきた時のこと。マキシモは男性へのキスを得意としているそうで、その時は清野氏の隣にいた解説者のミラノコレクションA.T.氏がキスの餌食に......。 「あっと、ミラノさんの唇が奪われてしまった!! マキシモのディープキスだ!! あっ、ミラノさんが目を閉じて崩れていく!!!」(本書より)  レスラーから目をつけられたら最後、実況アナが取れる行動は主にふたつ。逃げるか、受けるかのどちらかだ。レスラーは強くて乱暴な自分を見せたいのだから、誰かがライオンに襲われるインパラを演じなければならない。今なら清野氏が言っていた「実況アナはプロレスラーそのものに近い」という意味が分かる気がする。  また、会場を盛り上げるレスラーたちも一人ひとりが魅力的。たとえば「スイーツ真壁」としてお馴染みの真壁刀義氏は今でこそ大人気だが、若手時代はいろいろと悔しい想いをしてきたという。 「学生プロレス出身のため、若手時代は先輩から認められず、道場の風呂場で悔し涙を流していたという真壁さんは、コツコツ実力を積み上げてチャンピオンにまで上り詰めました。『やられてやられて、そこから立ち上がる姿を見せるのが本物のプロレスだ』という真壁さんの言葉は、きっと自分の体験に基づくからこそ、ファンにも伝わるんでしょうね」(本書より)  今までレスラーたちがどのようにプロレスと向き合ってきたのかを考えたこともなかったが、それを知るだけでプロレスの見方も随分変わってくる。おそらくこの先、真壁氏が勝利を収めるたびに心から歓声を上げるだろう。  たかがプロレス、されどプロレス。知れば知るほど、その深みにハマっていくばかりだ。
    仕事、恋愛、お金... 人生をよりよくする「考える技術」の身につけ方とは?
    仕事、恋愛、お金... 人生をよりよくする「考える技術」の身につけ方とは? 突然ですが、クイズです。皆さんの目の前におにぎりが1個あるとします。具材は鮭、梅、昆布、ツナマヨのどれかですが、外からはまったく見えません。さて、このおにぎりの具が何かを調べる方法は......?  この問題、すぐにいくつかの方法を思いつく人もいれば、まったく何も出てこない人もいるでしょう。ここで必要になってくるのは「考えること」。けれど、ただやみくもに考えていても、時間だけが過ぎて答えにたどり着けないことも多いものです。  そこで『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』の著者・柿内尚文さんは「考える技術」が必要だと言います。「考える技術」とは、目的を達成するための思考法のこと。私たちはこの武器を磨くことで問題を解決できたり、新しい価値を生み出すことができたりすると柿内さんは述べています。  では、具体的にはどうやって「考える技術」を身につければよいのでしょうか?  まず、本書には「考えるとは『広げること』と『深めること』である」(本書より)ということが大前提として出てきます。「広げる」とは可能性を考えていくことであり、「深める」とは本質的価値を考えていくことだそうです。  これを踏まえたうえで、実践的な思考法について学べるのが、第3章の「『考える技術』を思い通りに使いこなす」です。  たとえば「考え方を広げる方法」のひとつとして紹介されているのが「ずらす法」。これは、すでに存在するものに「価値の再定義」をすることで新しい価値を生み出すという手法です。  本書の冒頭には、こんな問題が出てきます。「男子校に通う高校生の男の子がいます。彼は女の子にモテません。彼の望みは、たくさんの女の子と友だちになること。どうしたら彼は女の子の友だちをつくることができるでしょうか?」。  この答えとして柿内さんは「文化祭の研究課題という名目で『女子校研究会』を立ち上げ、その研究という『大義名分(言い訳)』を武器に、街頭で女子高生にアンケートを実施し、声をかけ、何人もの女の子と友だちになれた」と書いています。  実はこれは柿内さんの実体験だそうで、これも「ずらし法」を使ったもの。「自分自身驚いたのは、たくさんの女友だちができたことよりも、考えたアイデアが自分の悩みを解決してくれたことでした」(本書より)と記しています。  ほかにも考えを広げる方法として「かけあわせ法」や「数珠つなぎ連想法」、考え方を深める方法として「360度分解法」「ポジティブ価値化」「キャッチコピー法」などを紹介。これまで数々のベストセラーを生み出してきた柿内さんが、自ら体得してきた「考える技術」を惜しげもなく教えてくれています。  「考える技術」は仕事で使うものだと思う方もいるかもしれませんが、それ以外にも恋愛、お金、家族など、いろいろなことに活用可能です。また、発想の転換という意味で考えれば、落ち込みにくくなったり、物事に対してポジティブになれたりするなどの効果も。このスキルを磨いて損になることはないと言えるでしょう。  まずは皆さんもご一読を。そのうえでふたたび冒頭のおにぎりのクイズに挑戦してみてください。もしかしたら頭の中にすんなりと答えが思い浮かんでくるかも?
    「Yahoo! JAPAN」生みの親は孫正義にあらず!? 日本一成功したサラリーマン・井上雅博って何者?
    「Yahoo! JAPAN」生みの親は孫正義にあらず!? 日本一成功したサラリーマン・井上雅博って何者? 日本最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」。おそらくほとんどの人がその名を知っていると思う。では「Yahoo! JAPAN」の生みの親をご存知だろうか。答えは、井上雅博。だが、はにかみ屋でマスコミ嫌いだったせいか、井上の存在自体はあまり知られていない。  いったい、井上雅博とは何者で、どのような人物なのか。全ての答えは、『ならずもの 井上雅博伝――ヤフーを作った男』(講談社)の中で綴られている。
    座りっぱなしで「疲れたな」と思ったら... 「首・肩・背中」が軽くなるストレッチ
    座りっぱなしで「疲れたな」と思ったら... 「首・肩・背中」が軽くなるストレッチ 肩コリ、首コリ、腰痛......。一日中座りっぱなしのデスクワーカーの誰もが避けては通れない厄介な問題です。マッサージも有効な手段ですが、それでも取れないコリや痛み。どうすれば解消されるのでしょう。  本書『座り仕事の疲れがぜんぶとれるコリほぐしストレッチ 首・肩・腰が軽くなる』の著者で、ストレッチトレーナー・なぁさんは「マッサージは対症療法。ストレッチは改善」と指摘します。マッサージは一時的に血流がよくなるものの、張りや痛みの原因「骨格のゆがみ」や「硬くなった筋肉」は解決しないといいます。つまり、ストレッチこそ"普通の体"に戻る近道なのです。  そもそも、座っているだけで疲れるのは、「首」「肩」「腰」はもちろん、「太もも」や「ふくらぎ」など、多くの筋肉の硬直による血流の悪化が主な原因です。  例えば、パソコン画面を見た場合。上半身は背中を支える「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん」、背中の一番表層にある「僧帽筋(そうぼうきん)」、目に関する筋肉「眼輪筋(がんりんきん)・皺眉筋(しゅうびきん)」。下半身では、ふくらはぎの筋肉「腓腹筋(ひふくきん)」、太ももの筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)・ハムストリングス」。これにキーボードを打つ動作を加えると、さらに多くの筋肉に負担がかかることに......。  では、こうした筋肉をほぐすには、どのようにストレッチをすれば効果的なのでしょう。本書の中でなぁさんが「部位別」にレクチャーしています。  その一つが、デスクワークで「なんか疲れたな」と思ったらしたい、首から肩、背中につながっている筋肉「僧帽筋」をほぐす簡単ストレッチ。「肩コリ」だけでなく「首の重だるさ」や「背中の張り」にも効くといいます。お試しあれ。 ■STEP1 「両指を組み、後頭部にセット。高さはおでこあたり」 ■STEP 2 「肘を内側に絞り、首を真下に向ける」 ※ほぐしポイント 内側に引っ張らず、真下に落とす。 ■STEP 3 「頭を真下に落としていくと、首の後ろ、背中が伸びる」(本書より)  足の冷えを取る方法、猫背の改善法、自己流の筋トレの問題点など盛りだくさんの本書。全27のストレッチを実践することで、あなたも「疲れにくい体」をつくりませんか?
    コロナショックで生き残るためのヒント 「企業再生のプロ」が語る、その極意とは?
    コロナショックで生き残るためのヒント 「企業再生のプロ」が語る、その極意とは? 全国で緊急事態宣言が解除されてから1カ月半が過ぎました。とはいえ、新型コロナウイルスの感染対策をしながらの新しい生活様式は続いています。経済活動も徐々に元に戻りつつありますが、第2・3波の感染拡大の懸念は拭えません。第2波の影響により2回目のロックダウンをおこなう国も出てきました。  こうした新型コロナがもたらした危機的状況「コロナショック」を分析し、どう生き抜いていくか、そして日本経済の復興シナリオを提示したのが、本書『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』です。  著者の冨山和彦氏は、外資系戦略コンサルタントを経て、産業再生機構のCOOとして日本経済の危機に向き合い、JAL、カネボウ、ダイエーなどの再建に携わった"企業再生のプロ"。そんな冨山氏が本書でまず、経済の現状を分析します。  経済は「L(ローカル)」「G(グローバル)」「F(フィナンシャル)」の3段階で重篤化。リーマンショックとは違い、より広い産業と地域に長期の危機をもたらすといいます。  第1波「L」は、日本のGDPの約7割を占める観光、宿泊、飲食、小売りなど基幹産業群への大打撃。中堅・中小企業がメインであり、非正規社員やフリーターが占める割合も多く、被害は甚大なものに。  第2波「G」は、自動車や電機などのグローバル企業への影響です。消費者の消費停滞や売上低下による打撃、そして部品・材料などの関連企業への波及。さらに、その余波が大企業に紐づく地域のものづくり産業をも巻き込むことに。  第3波「F」は、企業の売上低迷が融資回収の見込みの低下を引き起こし、不良債権化の可能性が高まること。バブル崩壊やリーマンショックのように金融システム全体が機能しなくなるリスクをはらんでいます。  冨山氏は、「中国頼みの回復には期待できない」としたうえで、「これから本格化するGの世界の第2波をどう受け止めるか、が勝負だと思っている」と経済危機の重篤化回避の要だと指摘します。日本企業が生き残るヒントについても、「修羅場の経営の心得」と「修羅場の『べからず』集」と題して、惜しみなくレクチャーしています。  国や企業の危機だけでなく、個人が生き残るにはどうしたらいいのでしょう。本書で冨山氏は、主に2つ「歴史に学ぶ」と「修羅場の経験」をアドバイスしています。  前者は、過去の危機で何をもたらし、どのように常識が破壊されたのかを知っておくことが、不幸になるリスクを低減することにつながるとのこと。例えば、過去の危機の際には、大企業や有名ブランドなど安定に走りがちですが、実は危機後には凋落するケースが多かったといいます。だからからこそ、「当該組織固有のスキルではなく、世の中全般にどこでも通用する、誰にでも説明できる能力を磨いておくこと」を助言しています。  後者は「本気で将来マネジメントリーダーを目指したい20代、30代」と限定したうえで、勤務する会社が危機に陥っているなら、「ギリギリまで会社に残ること」を勧めています。若いうちにビジネスの本質やドロドロの人間関係など、「普段はなかなか見られない"見るべきもの"」を見られるチャンスだというのです。冨山氏は「MBA10回分に勝るケーススタディーの機会」と強調します。  「危機は必ず終わり、日はまた昇る」。そんな言葉も"企業再生のプロ"だからこそ説得力があります。冨山氏は「ポストコロナショック」を見据えたビジネスや働き方など、さまざまな変化から「今までよりも幸せな生き方を実現できる時代がやってくる」とも予測。コロナ禍を耐え忍んだ先にある明るい未来のために、本書でサバイバル術を学んでみては。
    "伝説"や"誤解"が人々を惑わせる!? 長い歴史の中で「幻の世界」が生まれたワケ
    "伝説"や"誤解"が人々を惑わせる!? 長い歴史の中で「幻の世界」が生まれたワケ 科学技術の発展やネットワークの普及により、多くの謎が解明された「地球」。今でこそさまざまな情報を入手できるものの、数百年前の人々はどのように"世界地図"を作りあげてきたのだろうか。  コロンブスがアメリカ大陸を発見したのはわずか530年ほど前のことで、紀元前ともなれば海より先は未知の領域。そのため長い歴史を紐解くと、"伝説"や"探検家の誤解"などから生まれた「幻の世界」も数多く存在する。今回ピックアップしたエドワード・ブルック=ヒッチングの『世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語』は、そんな"幻の地図"の間違いや嘘が暴かれる刺激的な一冊だ。  同書に収められた古地図の中で、「アトランティス」の名前は誰もが知るところではないだろうか。古代ギリシャの哲学者・プラトンが記した伝説の島であり、今なお実在していると信じて疑わない人も多い。プラトンは強大国の傲慢さを揶揄した「寓話」として物語を生み出しており、のちにアリストテレスはアトランティス伝説を"作り話"だと一蹴。また、エドワードも以下のように説明した。 「プラトンはおごれるものの寓話を見事に描いたが、あまりにも緻密な描写とアトランティスをめぐる熱狂のため、物語が持つ真の意味はかき消されてしまったようだ」(本書より)  海に沈んだとされるアトランティスだが、伝説の島と同様に広大かつ深淵な海洋の世界も人々を惹きつける。オラウス・マグヌスによる北欧地図「カルタ・マリナ」は奇怪な姿をした生物があちこちに描かれ、神秘性に満ちた大作として1500年代から語り継がれている。海に棲む未知の生物は今でもロマンをかき立てるが、オラウスの意図は海洋生物に関する科学的知識を世界に広めることにあったようだ。 「登場する生物の中には、明らかに実在の生物の姿をねじ曲げたようなものもあるし、神話にしか登場しないような生き物もいる。だが、このような怪物たちを16世紀の船乗りたちは信じ、恐れてきたのだ」(本書より)  また、人々の心を魅了してやまないのは"黄金伝説"も同じで、南米の黄金郷「エルドラド」は特に有名なスポット。1598年に作成された「神秘と黄金のギアナ国最新地図」には実在しない湖にエルドラドがあると記され、頭のない人間や南米の動物たちが空想的に説明されているという。エルドラドの伝説は多くの探険家を翻弄することになったが、黄金を求めた彼らの冒険心は現代の"トレジャーハンター"にも通じているのではないだろうか。  一方で科学が進歩を遂げているはずの1800年代に、アメリカのオーランド・ファーガソン教授は「地球平面説」を提唱した。ファーガソン教授に限らず地球平面説は古くから唱えられており、「ヨハネの黙示録」には「わたしは大地の四隅に四人の天使が立っているのを見た」との一文が。「四隅」を文字通りに捉えれば、世界は平面であると支持できるという。しかし地球が球体であることは誰の目にも間違いのないことであり、"想像力"を超えた"科学力"が既に証明している。 「最終的に地球平面説は疑似科学として科学の外に追いやられることになったわけだが、時おりファーガソン教授のような固い信念を持つ人物によって復活させられ、表舞台に現れてくることがある」(本書より)  1700年代に"存在を確認された"とヨーロッパに伝わったのは「パタゴニアの巨人」。イギリスのジョン・バイロン船長率いるドルフィン号が、新天地では身長2.6mもある住人ばかりが暮らしていたと報告したのだ。  巨人伝説の元を辿ると世界1周を遂げたマゼラン艦隊の目撃証言が由来であり、ドルフィン号からの報告が証言を裏づけたことになる。ところがフランスの一流新聞社は巨人の目撃談について、イギリス船による"金目当て"の活動から目を逸らすための作り話だと報道。巨人と目された先住民も身長は1.8mほどで、エドワードは以下のように補足した。 「当時のヨーロッパ人の平均身長は5フィート5インチ(1.6m)しかなく、先住民の人々はとても大きく見えたのだろうが、『巨人』と呼ぶほどではなかったといえる」(本書より)  多くの人々を翻弄してきた偽りの歴史。誇大な想像力やエゴが生み出してしまったと言っても過言ではないが、だからこそ物事の真偽を正しく持つ目が必要とされるのではないだろうか。伝説を追い求めることにロマンを感じるかもしれないが、"最初から存在しないもの"に踊らされることのないよう心がけたい。

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