BOOKSTAND

坂本弁護士一家殺害事件から30年 "Z世代"がカルトから身を守るために知っておきたいこと
坂本弁護士一家殺害事件から30年 "Z世代"がカルトから身を守るために知っておきたいこと
1995(平成7)年に発生し、当時の日本社会を戦慄させた地下鉄サリン事件。死者13人、6000人以上の被害者を出し、今もなお後遺症に苦しむ人が存在します。その一方で、平成生まれの若い世代の中には、事件の詳細を知らない方も多いのではないでしょうか?  そんな若い世代に向けて、ジャーナリスト・江川紹子さんが、岩波ジュニア新書より刊行した近著が『「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち』。本書では、オウム真理教による一連の事件を振り返るとともに、ごく普通の若者たちが、カルトに傾倒していった経緯を丹念に辿っています。  事件当時は、優秀な医師や科学者、有名大学の理系出身者など"エリート層"の若者が数多く入信していたことも世間の注目を集めました。教団側でも、広告塔に利用できそうな医師など高学歴な人材をターゲットに勧誘していましたが、20代で入信した実行犯の多くは、もともと反社会的な思想を持った人々ではなく、むしろ真面目で誠実な若者たちだったと言います。  例えば、地下鉄サリン事件や、その6年前の1989(平成元)年に起きた坂本弁護士一家殺害事件実行犯の1人である中川智正元死刑囚は以下のように述べ、法廷で号泣しました。 「私たちは、サリンを作ったりとか、サリンをばらまいたりとか、人の首を絞めて殺したりとか、そういうことのために出家したんじゃないんです」(本書より)  本書では、端本悟元死刑囚の「あの時、自分の感性を信じるべきだった」(本書より)という証言や、元信者の「自分のアタマで考えることを放棄してしまった」(本書より)という手記の言葉を踏まえ、信者自身も教団への疑念や違和感を持っていたにも関わらず、そこで踏み止まることができずに凶悪犯罪にまで突き進んでしまった状況を、以下のように述べています。 「人間の心は、特異な環境に置かれれば、残酷な行為もしてしまう弱さを持っているのでしょう。誠実で真面目な人柄や、頭のよさや知識の量、社会経験の豊富さで、その弱さを補えるとは限りません。自分にもそういう心の弱さがあると自覚して、このような特異な環境に陥らないように努めるしかないのかもしれません」(本書より)  また、近年はオウム真理教後継団体以外でも、自己啓発セミナーやスピリチュアル団体などカルト性が高い団体が存在することに言及。大学のサークル活動や、災害地域への募金活動・署名活動などのボランティア団体を装って近づいてくる事例もあると警鐘を鳴らしています。カルトに取り込まれてしまうことは、決して対岸の火事ではなく、誰しも可能性があることなのかもしれません。  いわゆる"Z世代"と呼ばれる若い世代はもとより、それより上の世代が読んでも充分に読み応えがある本書は、地下鉄サリン事件から24年が経過し、当時の記憶も薄れつつある今こそ手に取りたい1冊と言えるでしょう。
BOOKSTAND 12/3
葬儀業界の最先端を行く人々をインタビュー お葬式事情の"今"とは?
葬儀業界の最先端を行く人々をインタビュー お葬式事情の"今"とは?
お葬式というと、斎場や寺などで故人の親戚や友人、知人を集めて執り行うのが一般的。ですが、中にはこうした決まり切った形式から離れ、独特なスタイルで弔いの儀式をする人もいるようです。  たとえば、母親が生前に使っていたベッドで「仏壇」を手作りした人、ゆうパックで遺骨を引き取るお寺の住職、葬儀会館に「ドライブスルー」を導入した社長など......。本書に登場するのはそんなインディーズ精神にあふれた、葬儀業界の最先端を行く人や会社。著者の朝山実さんの取材、インタビューを通し、変わりゆくお葬式事情とその周辺の"今"が見えてくるノンフィクションとなっています。  本書からいくつかの事例を紹介すると、母のベッドで仏壇を作ったというのは、アート・ユニット"明和電機"で知られる土佐信道さん。お母様は2017年の大晦日に亡くなったそうですが、それまで寝ていたベッドは廃棄するというのを聞き、「あ。このベッドで仏壇つくれるかも」とピーンとひらめいたことから、葬儀の合間にアトリエで制作したといいます。前々から木工が好きな土佐さんにとっては、ベッドの木目を活かしてアーバンな家具調仏壇に作り変えるというのは造作なかったよう。仏壇内の天井部分にはIKEAで調達した小さなライトも取り付けたといいます。  ゆうパックで遺骨を引き取るという「送骨サービス」をおこなっているのは、埼玉県熊谷市にある曹洞宗・見性院です。希望者はインターネットなどから申し込み、お寺から送付されたダンボールの郵送キットに遺骨を収めてゆうパックで返送すると、永代供養をしてもらえるという仕組み。寺院の敷地内にある「永代供養墓」へ納骨された後は、管理料金などの類は一切ナシだそうです。これで3万円ポッキリというのは破格では......。このサービスは、収めるお墓がないと思案に暮れる人たちの文字通り"駆け込み寺"になっているようです。  そして著者の朝山さん自身もある種、葬儀業界の最先端に携わっているといえます。5年前に父親の葬儀の際に出会った霊柩車の運転手が葬儀会社を起業したのですが、朝山さんは父親の残した一軒家を葬儀会館として貸し出しているのです。昔ながらの屋敷のような純和風建築は一見すると葬儀会館には見えないそうですが、利用した人たちからは「落ち着く」と好評だといいます。  ほかにもさまざまな弔いの現場・現状が描かれている本書。最先端というのは何であれ、異端児でありパイオニアであるもので、中には本書に登場するような人たちに対しても、驚いたり眉をひそめたりといった反応を示す人もいるようです。けれど、形式通りの葬儀よりもむしろ強い思い入れをもって「弔い」というものに臨んでいるように感じられて、読んでいてとても興味を惹かれます。  そして、葬儀事情の今を垣間見ることで、これから先どうなっていくのかについても自然と思いが広がるはず。本書は自身の終活について考えるきっかけにもなる一冊と言えるかもしれません。
BOOKSTAND 11/28
発想支援クラウドサービス「AIブレストパーク」で創造力を強化せよ
発想支援クラウドサービス「AIブレストパーク」で創造力を強化せよ
「いい企画を出せ」と言うのは簡単だけれど、実際に良いアイデアを次々と生み出すというのは至難の業。仕事の場において、「振り絞っても振り絞っても何も出てこない......」という"思いつかない地獄"に陥ったことがある人は少なくないはず。  そんな皆さんにおすすめしたいのが、人間の創造力を強化するために開発された発想支援クラウドサービス「AIブレストスパーク」。誰もが簡単にプロの発想法を再現できるというもので、これには放送作家の鈴木おさむさんも「企画力60点の人が、確実に90点以上になるAIマシン」と絶賛するほど。そして、この「AIブレストパーク」のフル活用法を解説した一冊が、本書『AIで楽しく発想強化する本 AIブレストスパーク フル活用のための55のコツ』となります。  とはいえ、「発想支援クラウドサービス」と聞いても、具体的にどのようなものなのかピンと来ない人も多いことでしょう。これは総合ITサービス企業であるTIS株式会社が広告会社・博報堂と共同開発したシステムで、これまで博報堂のクリエイターたちが長年の経験から磨き上げてきたブレスト技術や発想ノウハウをきめ細かく機能化したAIマシンなんです。  ここで本書から使い方を見てみましょう。まずネットで「AIブレストスパーク」にログイン。たとえば「ビール」についてのアイデアが欲しい場合は、検索バーに「ビール」と入力すると、「ブレスト画面」が出てきます。画面左半分を占める「ひらめきマップ」では、ビールを中心とした関連語を大量に表示。「メニュー」「グラスの選び方」「クラフトビール」といったように、ビールを取り巻く市場や生活者に関する情報、ヒントを俯瞰できます。最初に脳内を気になるコトバや関連したコトバで充満させる......これはひらめきの大きな土台となりそうです。  また、画面右半分の「ブレストアイデア」では意外なコトバ同士を接着。「ワード生成」では「活性化ビール」「会いに行けるビール」「携帯ビール」「定額ビール」など、「フレーズ生成」では「ビールは、アーティストです」「彼氏はビールだ」「ビールにぶっちゃけトーク?」など、新しいワードとフレーズを組み合わせて100個ずつ表示してくれるなどの機能となっています。  そして、自分の頭だけで考えるのに限界を感じたら......「他人アタマで考える」なんて機能も! これは「作詞家アタマ」や「ビジネスアタマ」「主婦アタマ」といった"他人の頭"の中にある情報やボキャブラリーからひらめきマップを描いてくれるのだとか。たとえば「作詞家アタマ」を選んでみると、J-POPやアニソン、演歌などの膨大な歌詞から関連語を表示してくれるため、マップに出てくるコトバやフレーズも「ビール―飲む―底―ごめん」「ビール―飲む―美味しさ―あわの向こう」といった具合に。これは今後さらに進化していく予定の機能だそうで、学者や芸人、こども、オタク......など、どんなジャンルの"他人アタマ"が増えていくか乞うご期待といったところです。  「これからは、AIのブーストつきで考える時代」というのは本書の帯にある言葉。AIマシンの助けを借りてみたら、これまでの自分の常識や限界をサクッと飛び越えられる......なんてこともありえるかも!? 「AIブレストスパーク」の利用には月々の料金がかかりますが、無料体験版も用意されているので、興味を持った方はまずこちらで試してみてはいかがでしょうか。その際には、ぜひ本書をガイドブックとしてそばに置いてくださいね。
BOOKSTAND 11/25
あの「絶メシ」がドラマ化! 主演は「カメ止め」濱津隆之 全国の"絶品メシ"が続々登場
あの「絶メシ」がドラマ化! 主演は「カメ止め」濱津隆之 全国の"絶品メシ"が続々登場
以前、BOOKSTANDでも書籍化の紹介をした、群馬県高崎市の地域再生プロジェクト「絶メシリスト」が、テレビ東京にて地上波ドラマ化されることが決定しました。ドラマタイトルは『絶メシロード』。2020年1月24日(金)より、毎週金曜日深夜0時52分から、テレビ東京ほか(ドラマ25枠)で放送されます。
BOOKSTAND 11/19
昭和29年、高尾山で女性たちが失踪した――。人気ミステリ「百鬼夜行シリーズ」最新長編
昭和29年、高尾山で女性たちが失踪した――。人気ミステリ「百鬼夜行シリーズ」最新長編
1994年に『姑獲鳥の夏』が刊行されて以来、多くの読者を魅了し続けている百鬼夜行シリーズ。第二次世界大戦後間もない日本を舞台に、古本屋にして神社の宮司、そして「憑物落とし」でもある「京極堂」こと中禅寺秋彦が、妖怪に関係して起きるさまざまな怪奇事件を解決していくという推理小説です。  その百鬼夜行シリーズの番外編ともいえるのが、本作『天狗』を含む「今昔百鬼拾遺」シリーズ。京極堂の妹で科学雑誌『稀譚月報』の記者・中禅寺敦子、そして百鬼夜行シリーズの『絡新婦の理』に登場した女学生・呉美由紀のふたりを主人公に据え、ある種のバディ物として物語が展開していきます。『鬼』『河童』に続く第3弾となる『天狗』では、敦子、美由紀のふたりに、これまた既刊の作品『百器徒然袋――雨』に登場した筋金入りのお嬢様・篠村美弥子が加わり、3人で不可解な事件の謎を解くこととなります。  ここで本書のあらすじをご紹介しましょう。昭和29年8月、美弥子の友人である是枝美智栄という女性が、天狗伝説の残る高尾山中で行方不明となってしまいます。そして約2か月後、群馬県迦葉山で葛城コウという女性の遺体が発見されるのですが、自殺したという彼女が身に着けていたのは、なぜか美智栄の衣服だった......。一体、美智栄はどこへ消えてしまったのか? 美弥子は偶然知り合った美由紀や敦子とともに、女性たちの失踪と死の真相を探ることに......。  本作で大きなテーマとなっているのが、同性愛。葛城コウには、コウと同時期に消息を消した天津敏子という恋人がいたのですが、天津家が前時代的な価値観の旧弊な家であることが今回の悲劇の原因となっています。「天狗」とは子どもを攫ったり、背中の翼で空中を飛んだりといった妖怪でもありますが、「あの人は天狗になっている」というように"おごり高ぶった人"という意味を含んでいることも。本作で傲慢な天狗となっているのは誰なのか、そのために苦しんでいるのが誰なのか。謎は最後に解き明かされることとなりますが、けっしてさわやかな結末ではないだけに、皆さんの心にもきっと何か残るものがあるのではないでしょうか。  本書はシリーズ物ではありますが、初めて京極夏彦作品を手に取るという人でもまったく問題なし。シリーズの中では短い部類に入るので、入門編としてはむしろ読みやすいかもしれません。戦後の混沌とした時代が持つレトロでどこかおどろおどろしげな雰囲気が好きな人は、その文章や世界観に引き込まれてページをめくる手が止まらなくなってしまうに違いありません。
BOOKSTAND 11/18
「はじめの一文で泣いた」 人気コピーライターが父親たちの思いを代弁して話題に
「はじめの一文で泣いた」 人気コピーライターが父親たちの思いを代弁して話題に
マイケル・ジャクソン遺品展で発表したひとつのコピー「星になっても、月を歩くだろう」が、多くの注目を集めたコピーライターの小藥元さん。カゴメ「GO!ME. 進め、いけ。」、PARCO「変わってねえし、変わったよ。」、キレートレモン「なりたい人は、わたしの中にいる。」などのコピーや、モスバーガー×ミスタードーナツ「MOSDO!」、コメダ珈琲店「ジェリコ」といったネーミングを一度は目にした方も多いのではないでしょうか? 近年は、Kis-My-Ft2「KISS&PEACE」作詞や、絵本『あなたがいるから、僕たちが生まれた。』(コンテンツ・ファクトリー)を刊行するなど、コピーライティングに留まらず、"言葉"を軸とした作品も手がけられています。  そんな小藥さんが最近始めた自主プロジェクトがSNSで話題になっています。「ぱぱことぱ」と銘打たれたウェブサイトに掲載されているのは、思い出の地で撮影したという親子の写真と、その取材内容を小藥さんが編み直した「父から君へ、ずっと消えない言葉。」の数々。「孫を抱きしめている時、君を抱きしめていた日を思いだす」(65歳/元証券マン)、「好きは、強さ。好きは幸せ。いちばん、贈りたかったもの。」(46歳/自営業)などの印象的なヘッドラインの下に、家族の忘れられない景色、子供たちに伝えたかった想いが優しく綴られています。  サイトオープン以降twitterでは、 「はじめの一文で泣いた。全娘とパパに贈りたい」、 「いま親として子どもへ、と自分が子どものとき親もこんな気持ちだったんだろうな、が同時に来た」、 「『ぱぱことぱ』がめっちゃぐっと来る。ぱぱたちも自分の生き方に悩みながら生きてきて、一緒に生きてきた君たちに贈る言葉。こういうのがエモいって言うんだなと思う」 などの反応が寄せられています。  今回、父親だけでなく多くの人の共感を呼んでいる同プロジェクトについて、bookstand編集部が小藥さんにインタビューを行いました。 * * * ーー「ぱぱことぱ」を始めたきっかけを教えてください。 嘘や装飾や無駄。文字や言葉で溢れ、消費され続ける現代で、消えない言葉はなんだろうか。そこから考えたわけではないのですが、恥ずかしがり屋で忙しくて言葉数少ない父親の想いというものを、急に代弁したくなったのです。その言葉は、絶対に子どもたちにとって、ずっと消えない宝物になるとさえ思えました。永遠性と嘘がないこと、その2つのカタマリがこの企画なのです。「父より」ではなく、「ぱぱことぱ」というネーミングにしました。"ば"ではなく、"ぱ"です。これはお父さんの照れ隠しでもあり、空や宙に浮いていたような気持ちや思い出を拾い集めたから。「言葉」という言葉で規定したくなかったような気もします。 ーー「永遠性と嘘がないこと」とは? 「消えない言葉」というのが、わたしのコピーライターとしての一つの理想です。広告という、たとえ刹那的で限定的な器だったとしても、言葉だけを取り出した時に、30年後も50年後も古くならないものを書きたいという想いがありました。同時に「嘘をつかないこと」も矜持としてあります。嘘はすぐにバレ、プレゼンの場においてすら届くはずがないと思っているんです。だから自分がブランドなり本当にいいと思ったところ、信じられるところで書きたいのです。 ーープロジェクトを実現する過程で難しかったことは? 「言葉で溢れる世界で、一番足りなかった言葉。」これが最初にわたしが書いていたコンセプトです。その思いは変わりませんが、親子の笑い合う写真と語りきる文章に合わなかった。最後の最後に「父から君へ、ずっと消えない言葉。」というタグラインを規定しました。これができるまで相当時間がかかってしまいました。 ーープロジェクトを実行して発見はありましたか? 子供との何十年の歴史や思い出をすべて語り切ることなんて不可能です。けれどもある一点をもって、そのまなざしを見つめることで、愛を伝えられたら、と思っています。なので書いているときは、本当に父親になったつもりで、子どもさんに向けて書いている。けれどこの「ぱぱことぱ」が不思議なのは、会ったこともない知らない一般の方のしかもプライベートな話なのに、なぜか景色が思い浮かぶ、お父さんの気持ちがわかる、ということなんです。読者の方からの反応で、それは確信しました。 ーー今後の展望について教えてください。 写真展や展覧会のような形態や、ラジオやテレビ番組などもコンテンツとしては考えられるかなと思います。ただ今は、会いたいお父さんに会って取材をさせていただき、いっぱい泣かせていただきながら、思い出の場所で写真を撮っていきたいです。どんなお父さんにもドラマがある。これもまた取材を通してわかったことです。自分の気持ちが震えたところだけで、コピーを書いていく。とても幸せなことでもあるんです。だからこそライフワークにしていきたいです。 * * *  毎月24日に、新たな親子の記事が配信予定の同プロジェクト。これまで企業やアーティストのメッセージを代弁してきた小藥さんが、世の父親の声をいかにして届けていくのか。コピーライターの言葉を使った新たな挑戦に今後も注目です。 ■関連リンク ぱぱことぱ http://papakotopa.jp/
BOOKSTAND 11/12
安住紳一郎アナも泣いた!? パンダ愛好家の著者が綴る、その魅力と奥深き世界
安住紳一郎アナも泣いた!? パンダ愛好家の著者が綴る、その魅力と奥深き世界
愛らしいルックスと動きで、動物界でもひときわ高い人気を誇る「パンダ」。そんなパンダに物心ついた頃から魅了され続け、ついには書籍まで出すことになったのが、今回ご紹介する『パンダワールド』の著者、中川美帆さん。本書ではただ「可愛い」だけじゃない、知られざるパンダの魅力を伝えるとともに、彼女がほぼ自費かつ単独で訪ねたという世界30か所のパンダも紹介しています。......うーん、なんともマニアックでパンダフル!  「Part1 パンダ大全」では、パンダの生態や飼育状況から、パンダ舎の構造、パンダにまつわる乗り物などまで案内。たとえばパンダは「暑いのはキライ、寒いのが好き」「性別が見分けづらく、上野動物園ではオスとメスを間違えたこともある」「竹だけでなくリンゴやニンジンも食べる」といった情報が出てきますが、こうしたトリビアは知らない人も多いのではないでしょうか。また、企業のパンダキャラクターや地方で生まれたパンダの食べ物、パンダのラッピング電車やバスなどのちょっとマニアックなネタまで網羅されていて興味深いです。  「Part2 日本パンダ史」では、上野動物園、神戸市立王子動物園、アドベンチャーワールドのパンダの歴史を紐解きます。現在日本には、この3園に計10頭のパンダがいるそうですが(2019年6月時点)、1972年に中国から上野動物園にやってきたのを始まりに、それぞれの園でのパンダの歴史が年表や写真などとともにわかりやすく解説されています。  そして「Part3 世界のパンダに会いに行く!」では、著者がゴールデンウィークや冬休みを利用しての弾丸旅行で訪れたという世界30か所のパンダを掲載。海外のパンダがいる施設は行きづらい場所にあることが多く、日本のガイドブックにはほとんど載っていないということから、アクセスなどもできる限り詳しく記されています。また、マレーシアのネガラ動物園やアメリカのアトランタ動物園で働く職員にインタビューをおこなうなど、単なる情報紹介にとどまらない奥行きの深さも素晴らしいポイントです。  本書にはTBSアナウンサーの安住紳一郎さんがコメントを寄せているのですが、「足で稼いだ情報の数々に圧倒された。中川さんが1人で集めたのかと思うと、最終的には泣けてきた」と絶賛。同じくパンダ好きで知られる安住アナをも感激させてしまったようです。  とにかく1ページ1ページに詰まった著者のパンダ愛に圧倒される本書。皆さんもパンダの奥深き世界に触れ、「へぇーっ!」と驚き、癒されてください。
BOOKSTAND 11/8
クリエイティブな女性たち143人はどのように創作活動と生活に向かい合っていたのか?
クリエイティブな女性たち143人はどのように創作活動と生活に向かい合っていたのか?
古今東西の芸術家がいかにして日々の制作や仕事に向かっていたかを紹介した書籍『天才たちの日課』。ここには161人もの天才や偉人が取り上げられましたが、女性はそのうち27人しかいなかったそう。そこで女性に焦点を当てて書かれた第2弾が、本書『天才たちの日課 女性編』です。  今回登場するのは作家、画家、デザイナー、詩人といった女性アーティスト143人。前作には「クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々」という副題がついていたのに対し、本書は「自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常」という副題がついています。これは、女性による創造的な活動が否定された時代に生きていたり、母親として子どもの世話と創作活動の間で苦しい選択を迫られたり、性的偏見と闘ってきたりといった"必ずしも自由でない日常"にいた女性たちが多いことにあるようです。男女で区別することはジェンダー的に危険な部分もありますが、男性に比べると女性のほうが、仕事ができる環境を作るためには犠牲を払う必要のある場合が多いのかもしれません。  著者のメイソン・カリーは「今回は本人と家族の関係にも多くの注意を払った。多くの場合、彼女たちの時間をいちばん多く要求するのは子どもだったからだ。したがって、彼女たちがクリエイティブな仕事と家庭内のごたごたや義務などをどのようにさばいているのか--(中略)その点を明らかにすることが、彼女たちの日常をありのままに描くために欠かすことができなかった」と記しています。  というわけで、こうしたテーマのもとに作られた本書。さまざまな国の、さまざまな女性アーティストが、日々どのような仕事をし、日常を過ごしていたのか、小さな肖像画を描くように非常にコンパクトに(長くても一人につき5ページ以内)まとめられています。  服飾デザイナーのココ・シャネル、歌手のニーナ・シモン、科学者のマリー・キュリー、バレリーナのアンア・パヴロワといった有名どころもいれば、一般にはそこまで広くは知られていない舞踏家や社会運動家、写真家といった人たちも。その中で、日本人も一人だけ取り上げられています。それは、前衛芸術家の草間彌生さん。彼女のパートは1ページにも満たないものですが、その簡潔さがまた彼女の仕事ぶりや生き方をドキュメント的に浮かび上がらせています。  ここから自身の仕事や人生のヒントを得るもよし、読み物的に「こんな生き方をしている人もいるのか」と楽しむもよし。皆さんがもし自由に対するフラストレーションや葛藤、試行錯誤などを抱えているとすれば、時代や国は違っても、きっと共鳴するものがあることと思います。
BOOKSTAND 11/5
動画配信の覇者となったNETFLIX その成功の裏側を描いたノンフィクション
動画配信の覇者となったNETFLIX その成功の裏側を描いたノンフィクション
動画配信の覇者として確固たる地位を築いている「NETFLIX(ネットフリックス)」。本書『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』はそんなネットフリックスの1997年から2012年に至るまでの歴史を描いた一冊です。  最初はちっぽけな郵便DVDレンタルの会社だったところから、どのように成長し、有料会員1億4000万人という動画配信の頂点にまで上り詰めたのかが、著者ジーナ・キーティング氏の通信社記者時代の取材と本書用の独自取材によって余すところなく明かされています。  ネットフリックスのスタートアップに貢献したのは、現CEOのリード・ヘイスティングスと、ソフト会社役員であったマーク・ランドルフの二人。ヘイスティングスが地元のビデオレンタル店で延滞料金を請求されたのをきっかけに、その後のNETFLIXの本質となる「延滞料金なしで、いつまでも映画を手元に置いておける郵便DVDレンタル」というサブスクリプションモデルを思いついたといいます。  とにかく目を見張るのが、彼らの行動力やスピード性。1997年にネットフリックスを創業し、その1年後にはオンラインでの郵便DVDレンタルサービスをスタート。1999年には定額制プラン導入で顧客維持率を上げ、2003年には契約者が100万人を突破します。  こうして見ると順風満帆のようですが、その陰には、アメリカ最大手のビデオ・DVDのレンタルチェーン店Blockbuster(ブロックバスター)との非常に熾烈な争いも。本書には、ヘイスティングスがネットフリックスに掲げる使命として次の三つが出てきます。「一つ目は世界最高のエンターテインメント事業を築き上げること。二つ目は、消費者の手元に好みの映画が届くように手助けすること。三つめはライバル会社との競争に勝つこと」。最終的にブロックバスターは2010年に倒産となりますが、両者の激しい攻防は本書の見どころの一つでもあります。  その後も2007年には動画配信サービスを、2012年にはオリジナル作品の制作をスタートさせたネットフリックス。特にオリジナルコンテンツには巨額の制作費を投入し、2013年には初期のヒットドラマとなる『ハウス・オブ・カード』が生まれ、2018年には『ROMA/ローマ』がアカデミー賞を受賞したのは皆さんの記憶にも新しいところでしょう。  ネットフリックスは2015年に日本にも上陸。今ではすっかり私たちにも身近な存在となっていますが、アップルやアマゾンなどに比べると、その創業秘話についてはまだまだ知らない人も多いはず。ビジネス書としてもエンタメ書としても楽しめる一冊となっている本書。皆さんも読んで、ネットフリックスの真の姿に迫ってみてはいかがでしょうか?
BOOKSTAND 10/30
最短時間で最大効率の学びを得るための80のインプット術
最短時間で最大効率の学びを得るための80のインプット術
「アウトプットするためにはインプットが大事だ」とは、ビジネスの場などでよく聞く言葉。何かを発信したり生み出すためには、自分の中に常にさまざまな知識や情報を取り入れることが重要だという意味です。  とはいえ、私たちの時間というのは限られているもの。皆さんはめまぐるしく過ぎていく日々の中で、最大限に効果的なインプットができているでしょうか?  この「効果的なインプット法」について書かれているのが、今回ご紹介する『学び効率が最大化する インプット大全』。「日本一アウトプットする精神科医」だと言われる著者・樺沢紫苑氏が、読書法、学習法、記憶術、会話術、情報収集などにおける80のインプット術を記した一冊です。  本書の特徴といえるのが、著者が精神科医だということで、脳科学に裏付けられた解説が含まれている点。たとえばCHAPTER1ではインプットの基本法則について書かれているのですが、その一つに「脳の仕組みを使い、記憶力を高める」というものがあります。喜怒哀楽に伴って分泌される脳内物質としてアドレナリンやドーパミン、エンドルフィン、オキシトシンなどが知られていますが、これらには記憶を増強する作用もあるのだとか。そのため、「ストーリーを活用する(漫画化、小説化されたビジネス書を読む)」とか、「映画や美術鑑賞など『感動』と『学び』と連動させる」といったインプットをおこなうと、感情を刺激するアウトプット法につながり、たいへん効果的だといいます。  また、今の時代、インターネットでの情報収集やインターネットの使い方についてお悩みの人も多いかもしれません。CHAPTER5では、「最短で最大効率のインターネット活用術」にまるまる1章が使われています。「メールを使う」(「サブ」の仕事、メールとうまく付き合う)、「情報を見極める」(「本当に正しいのか」という視点を常に持つ)といった基本的なところから、「画像でメモする」(時短・効率化のために気になるウェブサイトは画面をキャプチャーして保存する)、「ニュースを読む」(ニュースの8割は自分にとって不要。しっかりと取捨選択する)といった少しばかりネット上級者的なものなども。そして、「スマホやSNSは『1日1時間以内』が理想」としている著者。SNSの利用時間が長いほど孤独感、抑うつは強まるという研究結果を紹介し、「きちんと時間を制限して使わないと、確実に脳のパフォーマンスを下げるのです」と解説します。このあたりも、精神科医ならではの視点と言えるのではないでしょうか。  他にも、「科学的に記憶に残る本の読み方」や「学びの理解が深まる話の聞き方」「すべてを自己成長に変えるものの見方」といった章も。全体的に数字や図を多用してわかりやすく具体的に書かれており、実生活に取り入れられるものが多い印象です。最短で最大限のインプットをしたい人は一読してみてはいかがでしょうか。  なお、本書の前には40万部を超えるベストセラーとなった『学びを結果に変える アウトプット大全』もありますので、併せて読んでインプットとアウトプットの達人を目指すのもおすすめです。
BOOKSTAND 10/25
レンタル彼氏、ホストクラブ......女性のための女性向け性サービスノンフィクション
レンタル彼氏、ホストクラブ......女性のための女性向け性サービスノンフィクション
世の中にはさまざまな男性用風俗があるのに、女性用の風俗って見当たらない。いや、あるにはあるけれど、開けっぴろげに語ったり、ましてや実際に利用したりだなんてとんでもない。世間的にそういった空気があるのはたしかです。  けれど、だからこそ、「女性向けの風俗ってどんなの?」と知りたい人も多いはず。『男を買ってみた。 -癒やしのメソッド-』はその疑問に応えてくれる一冊といえるかもしれません。  本書では、著者の鈴木セイ子さんが女性向け性サービスを利用した体験レポートを掲載。他にも、さまざまな年代の女性たちの性にまつわる悩みや、女性向け性サービスに従事する男性たちへのインタビュー、こうしたサービスが密かに拡大する社会的背景なども書かれており、非常に濃い内容となっています。  鈴木さんは今回、女性専用性感マッサージ、レンタル彼氏、ホストクラブ、出張ホストという4種類のサービスを紹介していますが、読んでみると、ひとことで"女性向け性サービス"といっても、それぞれに全く異なることがわかります。たとえば性感マッサージでは、ホテルの一室でセラピストの男性と肌を重ね、性的なケアで精神的にも肉体的にも満たされるひとときを(本番行為は禁止)。しかし、レンタル彼氏となると性的なサービスは基本なし。食事やショッピングなどのデートで疑似恋人感を楽しむというのが特徴です。鈴木さんは「プロポーズ」を事前に希望し、リアル「テラハ」体験を満喫していました。  このように、本書では言葉通り"ひと肌脱いで"、予約からの流れやサービス内容、金額的なこと、注意点などを詳しく教えてくれます。利用を考えている人にとっては、たいへん参考になるかと思います。ですが、もしかしたら皆さんの中には、それよりも「なぜ利用するのか?」という女性の内面的な部分のほうに興味を覚える人もいるかもしれません。  実は鈴木さんは、この道17年というキャリアを持つ女性専門の生活カウンセラー。ここ数年、セックスレスなど女性の"性"に関する相談が、とりわけ増加傾向にあると感じているといいます。性の悩みに目をつぶって生きられればよいですが、性欲は人間の三大欲求の一つであるだけに、それが満たされないことで、大きなストレスや孤独を抱えてしまう人も多いのが現実です。  とはいえ、本書はけっして女性向け性サービスを手放しで薦めているわけではありません。「買物をしてストレスを発散するとか、美味しいものを食べて満たされるとか、お酒を飲んでその瞬間忘れられるといったように、日常的に誰もがしていることとなんら変わりはなく、そう考えると、こういったことだけが特別なことでもないように思います」と鈴木さんは綴っています。もし、孤独やストレスに押しつぶされて人生がどうしようもなくつらくなってしまったとき、それを癒す手段の一つとしてこうした選択肢があるということを、ちょっと心の片隅に置いてみるだけでも違うのかもしれません。
BOOKSTAND 10/23
古今のファンタジー作品に登場する魔法使いたちの料理が作れるレシピ集
古今のファンタジー作品に登場する魔法使いたちの料理が作れるレシピ集
世の中にレシピ本はたくさんありますが、これほどファンタスティックでワクワクさせられる一冊はないかもしれません。だって、今回ご紹介する『魔法使いたちの料理帳』は、古今のファンタジー作品に出てくるごちそうを実際に家庭で作れるように紹介しているレシピ集なのですから!  題材となっているのは、ファンタジー作品の代表ともいえる「ハリー・ポッター」シリーズや『ナルニア国物語』、ディズニー映画でも広く知られる『アラジンと魔法のランプ』『美女と野獣』『白雪姫』『メアリー・ポピンズ』、マーベルのヒーロー映画『ドクター・ストレンジ』やアメリカのテレビドラマ『奥さまは魔女』、そしてゲーム作品の『ダンジョン&ドラゴンズ』や『ゼルダの伝説』など実に多種多彩。皆さんが小説や映画で「この料理、どんな味なんだろう?」と想像をふくらませたメニューがきっと一つは......いえ、もしかしたらいくつも出てくるかもしれません。  たとえば、ハリー・ポッターの小説にたびたび登場する「ステーキ&キドニー・パイ」。イギリスではおなじみの家庭料理で、ホグワーツ魔法魔術学校に在籍していたハリーも大好きな一品ですが、日本に住んでいる私たちにとってはピンと来ない人がほとんどではないでしょうか。  「キドニー」とは英語で「腎臓」のこと。レシピを見るに、牛の臓物を煮込んでパイで包んだものと言えそうです。なので、材料にはパイ生地や牛ステーキ肉などのほかに「牛の腎臓」の文字が......。「牛ひき肉でも可」と書いてありますが、せっかくなら本場の味さながらに本格的に作ってみるのはいかがでしょう。本であこがれた料理を自分で作って食べるだなんて至福のひととき。ハリポタファンとしてはチャレンジしてみる価値はきっとあると思います!  また『白雪姫』からは、魔女に化けた継母が白雪姫に食べさせた「毒リンゴ」のレシピも......! 作り方自体は簡単ですが、キャラメリゼした砂糖に青い食用色素と黒い食用色素を垂らすところなんかは、自分が毒を混ぜている魔女になった気分を味わえそうです。  本書はレシピ本として使えるのはもちろんのこと、純粋に読み物として楽しめるのも大きな魅力。レシピ一つひとつに作品との関係性などが説明されていて、読んでいるだけでも空想の世界が広がります。また、作り方にも「『涙よ止まれ』の呪文をかけ、タマネギの皮をむいてみじん切りにする」「まず、おまえに一番似合う、お気に入りのアクセサリーを身につけなさい(呪いのマント、悪魔のステッキなど)」なんて書かれていてとってもユニーク。ついつい細部まで読み耽ってしまいます。 世のファンタジー好きをトリコにしてやまない本書。大好きな作品と同じように、この本もページを開けば、皆さんの忙しくわずらわしい日常からほんのひととき、ファンタジーあふれる別世界へといざなってくれることでしょう。
BOOKSTAND 10/17
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大学合格者ランキング2025

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NyAERA2025

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【NyAERA2025】 みニャさま。ニュース週刊誌AERAとニュースメディアAERAdot.は年に1回だけ、猫化します。2025年猫の月猫の日に、ニュース誌の取材力を結集した珠玉のねこねこ記事をお届けします! 今年の「NyAERA」には大黒摩季さん、藤原樹さん、三山凌輝さん、吉川愛さん、ブルボンヌさん、KENくん、セルゥさんなど猫を愛する人々が全国から大集合! 写真や動画も満載のねこ記事で、ホッとひと息、つきませんか。

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「怖い」で満たされる

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【AERA 2025年2月24日増大号】近年、ホラー系のコンテンツが盛り上がりを見せています。不気味な企画展に長蛇の列ができ、本のベストセラーランキングではホラー小説が上位にランクイン、映像作品も続々誕生しています。なぜ人は恐怖を求めてしまうのでしょうか。令和のホラーブームの正体とは──。

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『コスモポリタン』元カリスマ編集長が教える「最先端の恋のルール」
『コスモポリタン』元カリスマ編集長が教える「最先端の恋のルール」
SNSがこれだけ発達して誰とでもつながれる時代であっても、"運命の人"や"生涯の伴侶"とはまだ出会えていない。そんな人たちは少なくないようです。日本に限らず、他の国においても。  「私たちの恋愛を取り巻く環境はどんどん変わっています。新しい時代には、新しい恋のルールが必要なのです」と説くのは、『ラブ・ルールズ ネット時代に最高のパートナーを見つける15の法則』の著者、ジョアンナ・コールズさん。イギリス生まれの彼女は、『ガーディアン』紙や『ザ・タイムズ』誌のニューヨーク特派員を経て、『コスモポリタン』『マリークレール』といった女性誌のカリスマ編集長として活躍してきたという経歴の持ち主。本書では、彼女が今の時代を生きる女性の代表として、「デジタル時代に本当の愛を見つける方法」を15のルールに分けて紹介しています。  彼女の自論のひとつが、「食べ物と愛はとても似ている」というもの。そこで第1章となるパート1では、ルール1「恋はダイエットと同じ。最初に『無理のない理想体重』を決める」、ルール2「ノートを買う――自分に正直になる練習」といったルールが登場。ダイエット同様、まずは自分の現状について見直すところからスタートします。  パート2はいよいよ実践編。今や出会いのツールとして一般的なものとなったマッチングアプリをどのようにうまく使えばよいか、そのコツを余すところなく伝授してくれます。いっぽうで、パート3ではアルコールや避妊、アダルト動画、DVといった恋愛と背中合わせの危険性についても書かれており、知っておいて損はない内容ばかりです。  そして最終章となるパート4は、最愛のパートナーとの付き合い方について。いちばん大切で、しかも簡単なルールは「優しくて思いやりのある相手を見つけること。そして自分にも優しくすること」だというジョアンナ。いくら時代が変わろうとも、昔に比べて恋愛の環境が変化しようとも、これは永久不変の真理といえそうです。  このパート4に出てくる中で印象的なのが、「あなたが白馬の王子様を待っているお姫様だとしたら、まずは自分から馬に乗って。馬に乗れるようになったら、最初はゆっくりと、次はもう少し速く、その次はもっと速く、あなたと並んで進んでくれる相手を見つけましょう」という言葉。これこそ、今の時代ならではの、私たちが心に留めておくべき恋愛の心構えなのかもしれません。本書の表紙が、白馬に乗った女性がスマートフォンの中に颯爽と向かっていくイラストになっているのも、これを象徴したものといえるでしょう。  本書が多くの女性の心をとらえているのはきっと、「今の時代にマッチしている」から。そのリアルさは、有名女性誌の編集を長年手がける中でジョアンナが培ってきた知恵と経験を結集している点、そして心理学者や社会学者、医師、一緒に仕事をしてきた敏腕ライターなどの話を随所に盛り込んでいる点にあるかと思います。皆さんも15のルールを実践して、自身の恋愛や人生をさらに輝かせてみてはいかがでしょうか。
BOOKSTAND 10/15
ウェブ連載時から大反響! 相談者に優しく寄り添う回答に心があたたまる一冊
ウェブ連載時から大反響! 相談者に優しく寄り添う回答に心があたたまる一冊
朝日新聞出版のニュース・情報サイト「AERA dot.」で人気の連載「鴻上尚史のほがらか人生相談」が、このたび一冊の本になりました。このコーナーは、劇作家・演出家の鴻上尚史さんが毎回、読者から寄せられたお悩みに答えるというもの。
鴻上尚史
BOOKSTAND 10/10
モデル・タレントの"くみっきー"こと舟山久美子が編集長を務める双方向型webマガジン始動!
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モデル・タレントとして活躍し、女性からの支持を集める"くみっきー"こと舟山久美子が編集長を務めるwebマガジン「Bloomeee(ブルーミー)」が2019年10月2日(水)より配信スタートする。
BOOKSTAND 10/2
膨大な資料をもとに、戦後の漫画家や出版業界について描き切った一大評伝
膨大な資料をもとに、戦後の漫画家や出版業界について描き切った一大評伝
「手塚治虫とトキワ荘」と聞くと、多くの人はこうしたイメージを抱くのではないでしょうか? 「手塚治虫が暮らしていたボロアパートに漫画家志望の若者たちが集まり、ときにマンガへの熱い想いを語り、ときに助け合いながらマンガを描き、やがて世間に認められ大成していった」――。  しかし、事実は必ずしもこの通りではないとのこと。たとえば、手塚治虫がトキワ荘に暮らしていた時期には、藤子不二雄Aも藤子・F・不二雄も、石ノ森章太郎も赤塚不二夫もまだ入居していませんでした。もうひとつ言えば、トキワ荘はけっしてボロアパートだったわけではなく、手塚治虫が入居したのは新築時だったといいます。  「『よく知られている物語』ほど、実像とは異なるイメージが流布するものだ」と述べるのは、『手塚治虫とトキワ荘』の著者・中川右介さん。本書は「伝説のベールを一枚ずつ剥ぎ取り、事実関係を整理する」という目的のもと、手塚治虫とトキワ荘グループと呼ばれる巨匠たちの業績を再構築し、日本マンガ出版史を解読した一冊となっています。  驚くべきは、本書のボリューム。二段組みの上に、あとがきまで含めるとおよそ400ページ近くにもなります。しかし、話を大げさに盛ったり、長々と余計なことを書いたりなどはいっさいナシ。膨大な数の資料をもとに、手塚治虫やその周りの漫画家たち、さらに彼らをとりまく編集者や出版社にいたるまで、事実に即したものごとやできごとを淡々と記しているのが特徴です。  でも、それならただの研究発表のようで、読んでいてもつまらないのではないか? そんなふうに思う人もいるかもしれません。けれど、非凡な才能を持った者たちの集まりだからか、これがどのエピソードも興味深くて引き込まれるものばかりなのです。  たとえば第二章「学年誌戦争」に登場する「手塚治虫の九州逃避行」のくだり。あまりの多忙さから手塚治虫が九州に逃亡したことがあるというのは有名な話ですが、当時手塚は11作もの連載を同時に抱えていたとか、手塚の身柄を確保するためさまざまな出版社の担当編集者たちが奔走したとか、松本零士のもとに突然、手塚から手伝いを乞う電報が届いたとか、こうした細かな情報を知るにつけ、読んでいるほうも手に汗握る気分に......。  現在、日本のポップカルチャーのアイコンともいえるマンガですが、戦後、日本の復興とともに、いかに漫画家と編集者が情熱を注いで盛り立ててきたのか、本書はそれがわかる一冊となっています。トキワ荘にこれだけ才能あふれる漫画家たちが集まったという奇跡の裏側を、ぜひ皆さんものぞいてみてください。
BOOKSTAND 10/1
怒りの感情を脳科学的に分析 キレる人に振り回されない上手な対処法とは?
怒りの感情を脳科学的に分析 キレる人に振り回されない上手な対処法とは?
悪質なあおり運転、児童虐待、モンスターペアレントなど、ここ最近、怒りを抑えきれずに社会的な事件につながるケースが多発しています。こうした"キレる人"に遭遇したとき、私たちはどのように対処するのがよいのでしょうか。また、自分自身がキレやすい性格で、そうした自分とどう付き合えばよいか悩んでいる人も多いかもしれません。  いっぽうで、例えば人気芸人など、怒って見せながらも相手を不快にさせず、むしろ好感さえ抱かせるような上手なキレ方をする人たちもいます。そのポイントはどこにあるのでしょうか。  こうした"怒り"という感情について科学的に分析しながら、具体的な対処法、活用法を教えてくれるのが、今回ご紹介する『キレる!』です。著者は脳科学者、医学博士、認知科学者としてテレビコメンテーターとしても活躍する中野信子さん。本書は、対人関係において自分を守る「盾」となり「強み」にもなるような「キレるスキル」に光を当てた一冊になっています。  なぜ人は"キレる"のか、中野さんの専門分野である脳科学の立場から解説しているのが第二章。たとえば老人の攻撃性や頑固さは、理性を司る「前頭葉」が老化によって委縮することが原因であったり、子どもや夫(妻)など家族を束縛しコントロールしたがる人は、"愛情ホルモン"とも呼ばれる脳内物質オキシトシンが増えることで、"かわいさ余って憎さ百倍"とばかりに憎しみや妬みの感情も強まってしまうせいであったり。このように人が"キレる"仕組みは科学的に説明することができ、そのメカニズムを理解することで、「自分のキレる行為をコントロールできるようになったり、さらに、なぜ相手がキレるのか、タイミングや対処法が見えてきたりする」と中野さんは言います。  そして、第三章では"キレる"人に対する対処法を、第四章ではキレやすい自分との付き合い方をケース別に提案。たとえば「支配的で、立場を利用しパワハラをする会社の上司」への対処としては、とにかく「初動」が大事なのだそう。関係が深まってしまってから突然訴えても、相手はなかなか納得してくれないため、最初の理不尽に"怒り"を覚えたら、正しくキレて、はっきりと言い返すというのが効果的なのだとか。ほかにも、「普段はおとなしいのに、突然攻撃的になる人」「執拗なまでの『あおり運転』『ロードレイジ』」「疑い深く、キレやすい『暴走老人』」など私たちが日常生活でいつ遭遇してもおかしくない"キレる人"が挙げられており、ためになります。  「我慢は美徳」「努力したら報われる」といった考え方は日本には根強いですが、他人の努力などなんとも感じない毒々しい人がたくさんいるというのもまた事実。キレられっぱなしで都合のよい人にならないためにも、私たちが「キレるスキル」を身に着けることは必須といえるかもしれません。そして、上手に言い返すためには、豊富な語彙力もとても重要になってきます。さまざまなケースやパターンを学ぶための問答集としても、本書はきっと皆さんの役に立ってくれることと思います。
BOOKSTAND 9/24
第161回芥川賞受賞作 なにげない日常に潜む、奇妙で滑稽な「狂気」
第161回芥川賞受賞作 なにげない日常に潜む、奇妙で滑稽な「狂気」
今回ご紹介するのは、今年7月に発表された第161回芥川賞を受賞した『むらさきのスカートの女』。『こちらあみ子』『あひる』『星の子』など、寡作ながらも作品を発表するごとに独自の視点と世界観で熱狂的な読者を増やし続けている今村夏子さんの最新作となります。  主人公の「わたし」は、近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが気になって仕方がありません。この女性はいつもむらさき色のスカートを履いて商店街に現れるため、このあたりではちょっとした有名人なのだといいます。彼女を長いこと観察しているうちに「友達になりたい」と強く思うようになった「わたし」は、自分と同じ職場で働くように密かに誘導します。それは見事に成功し、「わたし」はこれまで以上に「むらさきのスカートの女」の生活を観察し続けるように......。  あらすじだけ聞いても、「なぜ『わたし』はそこまで『むらさきのスカートの女』にこだわるの?」と疑問に感じた人も多いことでしょう。実は本書を読んでも、その理由は明確には明かされていません。そしておかしなことに、同じ職場で働くことになっても、「わたし」は「むらさきのスカートの女」と交流を持とうともしないのです。それなのに、彼女が朝出かける際に同じバスに乗り込んだり、休憩時間に所長と交わしている会話を盗み聞きしたり、使っているシャンプーまで把握していたりする「わたし」......。異常ともいえる執着心で「むらさきのスカートの女」の言動を延々と観察し続ける主人公の姿は、不気味でもありどこか滑稽でもあります。    「むらさきのスカートの女」は、仕事を始めてからどんどんと変化していきます。まず髪や体つきが健康的になり、爪にマニキュアを塗るようになり、香水をつけるようになり......。本書は一種の謎解き的な要素もあるため、ネタバレになることは詳しく書けないのですが、そうして次第に垢抜けていった彼女は、終盤である事件を起こしてしまいます。そこからが怒涛の展開。「わたし」がどのような行動をとるのかは、皆さんにもぜひ本書を読んで確かめていただきたいところです。
BOOKSTAND 9/18
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