小菅さんによれば、サ高住などのホームに元気なうちから入居し、常時介護が必要になったら特養へ住み替えるのも一案だといいます。

「介護は、いつその人の状況が深刻化するか読めないもの。そのため、特に独居の高齢者は元気なうちからサ高住などへ住み替え、要介護度が3以上になったら特養へ申し込みをする人もいます。特養の入居までは、サ高住などに住みながら訪問介護などを利用して生活できるため、自宅で独居よりも安心感があるでしょう」

 一方で、申し込んだ特養から空室の連絡がきても、すぐに入居を希望しない人もいるようです。

「そこまで状況が切迫していない場合、『どうぞほかの人に譲ってください』と言う人もいます」

 多様化するホームを適切に活用することが重要といえそうです。

■「最期は自宅で」はなかなか難しい?

内閣府「令和元年版高齢社会白書」によれば、自宅で最期を迎えたい高齢者が約半数。

「しかし家で苦しそうにする姿に家族が不安になり、病院を頼ることも多いです」(結城教授)

■ホームに「選ばれる」時代が到来?

ホームに入居する際、結城教授は「信頼関係をつくること」が重要と言います。

「介護業界の人手が不足していくにつれ、近い将来、ホームが高齢者を選ぶ時代がくるかもしれません。お礼とあいさつを欠かさない『支えられ上手』の姿勢で、相手を思いやり、お互いに信頼関係をつくっていくことも大事です」

■郊外のホームは空いている?

入居待ちの多い特養。しかし郊外での事情は異なります。

「東京23区はどこも入居待ちですが、多摩や八王子地区では『思ったほど待たなかった』という声も。少し足を延ばして検討してみるのも手です」(小菅さん)

(文/白石圭)
※週刊朝日ムック『高齢者ホーム2022』から