一般的には、元気なうちは住み慣れた家でデイサービスやデイケア、ショートステイなども利用しながら在宅介護をおこないますが、介護度が高くなったらホームに入ることが多いと話します。

「ケアマネジャーは、各介護サービスのメリットとデメリットは説明してくれます。しかしどのサービスを利用するか決断するのは本人とその家族です」

 在宅とホームのバランスも含めて、どのような介護を望むのか。家族と早期に話し合うことが、豊かな介護生活につながります。

■ここ10年で変化 多様化するホーム

 高齢者ホームのなかでよく耳にするのが、特別養護老人ホーム(特養)です。特養は要介護3以上の要介護者向け公的施設にあたり、介護度や所得に応じて負担額が減額されます。そのため申込者が多く、人口の密集する大都市圏では、入居が難しい状況が続いています。

 一方で民間施設には減額制度はなく、実費は比較的高額になってきます。しかし高齢者ホームの情報サイト「LIFULL(ライフル)介護」編集長の小菅秀樹さんは、近年のホームの動向についてこう話します。

「ここ十数年で、前払金100万円以下、月々15万円前後の比較的安いホームが増えてきました。高齢化が進み、要介護者も増えてきたことで介護施設の需要が高まり、さまざまな業界から企業が参入したことで、ホームの数も増え価格競争が起きています。そのため、昔に比べて民間施設に入るハードルは下がっていると思います」

データは国土交通省「第4回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会」資料から。サービス付き高齢者向け住宅は登録戸数を示しており、年々増加している
データは国土交通省「第4回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会」資料から。サービス付き高齢者向け住宅は登録戸数を示しており、年々増加している

 とくに近年増えているのが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。サ高住は、安否確認と生活相談を受けられる民間の住居型ホームのことで、介護などの生活援助を受けるためには、別途外部のサービスの契約が必要です。

■まずどこかに入居して 特養に申し込む方法も

 その他のサービスはホームによって大きく違い、費用もさまざまです。サ高住は国土交通省が建設に補助金を支給していることもあり、2016年の時点で、その数は認知症グループホームを超えています。

「近年、孤独死が報道されるなどの背景もあり、とくに独居の人などは、元気なうちからサ高住などに住み替えをするケースも増えています」(小菅さん、以下同)

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特養は郊外が狙い目?