メガマウスザメ
メガマウスザメ

 大きすぎる口、でっぷりとしたあご――最長7メートルにもなるという巨大なサメ「メガマウスザメ」がハワイで発見されたのは1976年のこと。これだけ存在感のあるサメが43年前まで見つけられすらしなかったというロマンあふれるストーリーから、子どもたちからの人気も非常に高いという。

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 20センチという小さなサメから全長15メートルにもなるジンベエザメ、人を捕食するホホジロザメや特徴的な頭のシュモクザメなど、サメの世界はとにかく多種多彩だ。一方でまだ名前のつかないサメもいるなど、サメの世界は謎だらけ。今回は学習まんが『バトル・ブレイブス 恐怖のサメ軍団』監修者の「さめ先生」こと北海道大学名誉教授・仲谷一宏先生に、サメの魅力についてとことん聞いた。この秋は、サメの知識をお供に親子で水族館巡りを楽しんでみてはいかがだろうか。(聞き手:ジュニア編集部・福井洋平)

――「メガマウスザメ」は子どもたちにも人気だそうですね。

 はい、8月には神奈川県立生命の星・地球博物館でメガマウスザメについての講演を行ったのですが、数えきれないほどの質問を受けました。子どもたちもたくさん来て「サメの学名と和名のつけ方」といったマニアックな質問もありました。この博物館で過去に50~60回行われた講演のなかで、一番たくさんの人が来たそうです。

 最初にハワイで見つかったメガマウスザメは4.5メートル。しかも、住んでいるのは200メートルより浅い海なんです。人間が漁業をしている深さに住んでいたのに、それまで全然見つかっていなかった。私は、人間がまだ海のことを知らないという例としてメガマウスザメのことをよく取り上げます。

 メガマウスザメの生態はまだわかっていません。どういう回遊をして、どの様に子どもを産んで育てるかもわかっていないんです。ただ、1日の行動はわかっています。アメリカの研究者がメガマウスザメに発信機をつけて調べたところ、夜は15~20メートルのところまで浮いてきて餌を食べ、昼間になると170~180メートルのところまで沈降するということを論文で明らかにしました。メガマウスザメの餌であるプランクトンが一定の明るさを求めてそういう行動をしているためではないかと思われます。

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福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

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