――それにしても、サメはなぜこんなに人を引き付けるのでしょうか。

 大きくて、強い。そして、カッコいい。同じ理由で恐竜が好きな子どももいるでしょうが、サメは実際に海にいて、一緒に泳いたり、見たりすることができます。人を襲うような危険なサメがいるのも怖いもの見たさの気持ちを起こさせるのでしょう。
海の生態系のなかでは一番上がシャチ、その下にサメが来る。サメは種類が多いですから下のほうにいるサメもいますが、全体的に見れば上から二番目ですね。

――映画の影響でしょうか、サメといえば「危険」というイメージがあります。

 いまわかっているサメは520種類くらいいますが、そのうち危険なサメは10%以下、30種類程度です。

 そのなかでとくに危険なサメはホホジロザメとイタチザメ。ホホジロザメは大きくなるとアザラシなどの哺乳類を食べるので、人間を見つけると変わった形のアザラシだと思ってパクっといってしまうんです。わざわざ人間を狙っているわけではないんですよ。イタチザメは雑食で何でも食べるんですが、沿岸で生活しているので人間と接する機会が多い。だから注意をする必要があります。

ホホジロザメ
ホホジロザメ
イタチザメ
イタチザメ

 海はサメや魚の世界、我々人間が住む世界とは違います。だからちゃんと海のルールを守り、注意をして海に入りなさい、と私はつねづね言っています。

――一方、水族館でも人気のジンベエザメは大きいですが、人を襲ったりしない。

 説明したように、ジンベエザメはオキアミなどのプランクトンを食べます。あんなに体が大きいのにずいぶん小さい生き物を食べる、不思議ですよね。でも、大きい獲物を食べようとすると追いかけて捕まえて、格闘しなければいけないため、エネルギーを多く消費してしまうんです。その点プランクトンや小魚は、口を開けて吸い込んだり、流し込んだりすれば食べることができますから、エネルギーはそれほどいりません。プランクトンが主食のジンベエザメもウバザメも、こんな理由でとても大きくなります。

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