時代錯誤な“残念な人”にならないために…(designer491 / iStock / Getty Images Plus)
時代錯誤な“残念な人”にならないために…(designer491 / iStock / Getty Images Plus)

 理不尽な言動で周囲を振り回す“アホ”との付き合い方を伝授した、シリーズ80万部突破のベストセラー待望の最新作『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』が発売された。コロナ禍を経て、さらにパワーアップした「アホ対処法」を、同書から一部を抜粋して解説する。今回のテーマは「日本人の物の見方の危うさ」について。

*  *  *
 アホがアホである理由のひとつに、考え方が硬直していることがある。一つの視点でしかモノを見られないため、他人の意見を受け入れられず排除しようとする。

 例えば、『トップガン マーヴェリック』のあるシーンでトム・クルーズがバーからたたき出されるシーンである。昔付き合っていた女性に対して「相変わらずきれいだね」といった瞬間の話だ。この発言が女性蔑視とされ、罰を受けて訓練生たちにたたき出される。

 ここを理解できる人が日本人にどれだけいるだろうか? 容姿の美醜について自身のバリューでジャッジして口に出すことは蔑視になるのだ。

 背の高いやせた若い人に対して「“モデルさん”みたい」「“女優さん”みたい」という発言をしてしまう人がいるが、ほめているからいいだろ、というものではない。それで怒られるわけではないが、少なくとも「残念な人」になってしまう。

 特にZ世代以下にはそうだ。モデルとか女優とかみたいにみられることをうれしく思わない、どちらかというと、嫌な人も結構いる。あなたが言われたいように、皆が言われたいわけではないのだ。

 アメリカ人や東南アジア人など、国籍で括ることも気を付けた方がいい。2021年に帰国した際、日本のスポーツ番組をみていて、大谷選手とアーロン・ジャッジ選手、MLBアメリカンリーグでのMVP争いの解説を聞いてぶったまげた。元日本のプロ野球選手の解説者が、「今年はアーロン・ジャッジでしょう。アメリカ人はなんといってもパワーが好きですから」と真顔でいっていたのだ。

 まずこの人はMVPがどうやって決まるか知っているのだろうか? そしてアメリカ人とは誰のことだろうか? パワーが好きというのはどういうデータに基づいているのか? 

著者プロフィールを見る
田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

田村耕太郎の記事一覧はこちら
次のページ
多くの日本人は、自分たちのことを繊細だと思っている?