水分代謝が悪く、栄養分が消化、吸収されずにそのまま排出されてしまうため、下痢や軟便になりやすいのも特徴です。軟便などの症状が現れれば、それは脾胃が弱っているサイン。症状がひどくなる前に、早めの対策を心がけましょう。そのほか、湿邪の影響で脾胃が弱くなると、顔色は黄色くつやがなくなり、舌は腫れぼったくなるなどの症状が見られることもあります。

 内湿の影響で弱った脾胃を回復するには、脾胃の機能を健やかに保つよう補いながら、湿邪を取り除いていきます。「食の養生」に記載した、3種類の食材を、バランスよく食事に摂り入れてみてください。

<摂り入れたい食材>

 この時期は食材をなるべく加熱するようにしましょう。例えば豆腐なら冷奴ではなく、湯豆腐などにして食べるようにしてください。

・脾胃を元気にする食材:いんげん豆、山芋、大豆製品、蓮の実、栗
・脾胃を温める食材:山椒の実、フェンネル、生姜、ニンニク、キムチ
・湿を取り除く食材:はと麦茶、とうもろこし、小豆、鯵(あじ)

湿を取り除く食材、とうもろこし
湿を取り除く食材、とうもろこし

【ポイント】梅雨だからこそ、毎日を楽しく

 雨の日が続くと、外出もおっくうに。そんな季節だからこそ、毎日を楽しく過ごす工夫をしたいものです。例えば、悠々自適な暮らしを表現する「晴耕雨読(せいこううどく)」という言葉があるように、雨の日に家で読書をするのはなかなか贅沢なこと。読書に限らず、映画を観たり、梅酒作りに挑戦したり、思い切って部屋の模様替えをしてみるものいいかもしれません。

 梅雨はうつ状態になりやすい時期でもあります。電車やバスも遅れがちなので、出かけるときは時間にゆとりを持つようにするなど、なるべくストレスを溜めない工夫も必要です。食事や生活のちょっとした心がけで、心身ともに元気な梅雨を過ごしましょう。

【おすすめのツボ】

 入浴後などのリラックスした時間に、呼吸を整えつつ、指の腹などでやさしく刺激しましょう。

・足三里(あしさんり):胃腸を強くするツボ。膝頭の外側の下にできるくぼみから指4本下。

・内関(ないかん):精神の安定、ストレス解消に。手首から肘に向かって指3本分置いたところ。指をツボに当て押す。

足三里と内関のツボ イラスト:イラストAC 
足三里と内関のツボ イラスト:イラストAC 

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

本記事は、イスクラ産業株式会社監修の中医学情報サイト「COCOKARA中医学」より、一部改変して転載しました