私たちの体は60%が水分。そして、残りの40%のうち半分程度をたんぱく質が占めている。日本人はいま、そのたんぱく質の摂取量が不十分だということは、4月24日に配信した記事 日本人はたんぱく質の摂取量が「戦後と同レベル」 不十分だと起こる身体の不調とは? で詳報した。

 たんぱく質は、体をつくっている物質の主成分。体を動かしたり、体それぞれの機能を調整する血液やホルモン、酵素などもたんぱく質からできている。早稲田大学の宮地元彦教授監修の『たんぱく質のきほんとレシピBOOK』が、たんぱく質をとることで得られる健康効果を詳しく解説している。ここでは、よく知られている「フレイル予防(筋肉量の維持)」に加え、「ホルモンバランスを整える」「睡眠の質を高める」という効果について、紹介したい。

筋肉量を維持してフレイルを予防

 たんぱく質を意識してとっていると、筋肉量の低下を防ぐことができる。筋肉量が増えると血行が促進され、冷えや肩凝り、腰痛なども改善されるほか、基礎代謝量も上がるため、ダイエットにも効果的。また、筋肉量を蓄えておくと高齢になったときに筋肉の減少が抑えられ、フレイルやサルコペニアの防止になる。元気で生き生きと過ごせる時間、つまり健康寿命が延びるわけだ。

 重要なのが、たんぱく質をとるタイミング。食事と食事の時間があけばあくほど、たんぱく質が足りなくなり、筋肉が分解されてしまう。1日の必要量をいっぺんにとっても、効果は半減。1日3回の食事に分けてとる必要がある。とくに、夕食のあとは10時間以上たんぱく質をとっていないことになるので、朝食ではたっぷりとって、不足を補いたい。

 たんぱく質を多く含む食材で朝食に適しているのは、消化のよい卵や納豆、豆腐。目覚めたばかりの胃腸にもやさしい。昼食なら、カロリーはそれほど気にしなくてもいいので、筋肉をつくるBCAAが豊富な肉類を積極的に取り入れて。スパゲッティなど、たんぱく質を含む穀類もおすすめだ。カロリーを控えめにしたい夕食には、DH、EPといった良質な脂質を含む魚介類や、豆腐などの植物性たんぱく質を中心に。肉類は脂質の少ない部位を選ぶといい。

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ホルモンをつくるのもたんぱく質