西尾典文
いよいよプロ野球が本日開幕するが、高校球界ではセンバツだけでなく各地で春季大会もスタートしており、ドラフト戦線は動き出している。特に高校生は最終学年に“化ける”ケースも多いが、この春に浮上してきた選手を探ってみたいと思う。
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投手ではセンバツで好投を続けている前田悠伍（大阪桐蔭）がナンバーワンという声が多いが、同じサウスポーでそれに並ぶ評価を受ける可能性を秘めているのが東松快征（享栄）だ。昨年夏、秋はいずれも県内のライバルである東邦に敗れ、なかなか甲子園にたどり着けずにいるが、2年生の時点で既に最速150キロを超えるなどスピードは全国でもトップクラスであることは間違いない。
3月5日に行われた智弁和歌山との練習試合では5回を投げて被安打1、無四球で無失点と圧巻の投球を見せている。この日は部長クラスのスカウトも多く視察に訪れていたが、その中で大きなアピールとなった。体格は高校生離れしたものがあり、これだけスピードのあるサウスポーはそうそういないだけに、人気になる可能性は高いだろう。
一方の右投手で評価が高いのが坂井陽翔（滝川二）だ。昨年秋の県大会では準々決勝で報徳学園に0対4で敗れたものの、7回までは無失点に抑え込む好投を見せている。対外試合が解禁となった3月4日にはその報徳学園と練習試合を行い、3回を投げて4失点だったが、4個の三振を奪い、筆者のスピードガンでは最速145キロをマークするなど素質の片鱗を見せている。186cmの長身で、手足の長いいかにも投手らしい体つきで、オフには体重が6kgも増えて83kgまでアップしたことで力強さが出てきた印象を受ける。打者の手元で鋭く変化するスライダーも一級品だ。右投手では西日本でナンバーワンという声も高く、今後もスカウト陣の注目度を集めることは間違いない。
センバツに出場した投手では前述した前田、最速151キロを誇る平野大地（専大松戸）などの前評判が高かったが、その中で評価を上げたのが日当直喜（東海大菅生）、升田早人（光）、森岡大智（能代松陽）の3人だ。日当は初戦で148キロをマーク。続く沖縄尚学戦でも完封勝利をマークした。190cm、105kgという高校生離れした体格で、スケールの大きさが魅力だ。升田と森岡はまだ細身でスピードも140キロ前後だが、数字以上にボールの勢いがあり、初戦ではともに完封勝利を挙げている。プロ志望となれば獲得を検討する球団が出てくることも十分に考えられるだろう。
西尾典文
西尾典文／1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所（PABBlab）」でも毎日記事を配信中。
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