オフにメッツと大型契約を結んだブランドン・ニモ(ロイター/アフロ)
オフにメッツと大型契約を結んだブランドン・ニモ(ロイター/アフロ)

 メジャーリーグでプレーする選手たちの年俸が高騰して久しいが、今オフに成立した契約を見ると、米国経済と同様に“インフレ”がさらに進行しているように見える。

【写真】5年総額124億円でメジャー契約をした日本人選手がこちら

 今オフではフリーエージェント(FA)最大の目玉だったアーロン・ジャッジ外野手が、ヤンキースと9年総額3億6000万ドル(約496億4000万円)で再契約(総額ではメジャー歴代3位)。ジャッジ以外にも今季ア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたジャスティン・バーランダー(アストロズからFA)が、来季40歳という年齢ながらメッツと2年総額8666万ドル(約119億5000万円)、サイ・ヤング賞2度のジェイコブ・デグロム(メッツからFA)はレンジャーズと5年総額1億8500万ドル(約255億1000万円)、カルロス・コレア遊撃手(ツインズからFA)はジャイアンツと13年総額3億5000万ドル(約482億6000万円)で契約を結ぶなど、日本では考えられないメガディールが相次いでいる。

 もちろん、一流プレイヤーの年俸上昇の傾向は長く続いているが、今オフの契約を見るとそこまで実績がない選手でも“必要以上”とも思える契約をゲットしているのが目につく。

 現地でも話題となったのが、ブランドン・ニモ外野手の契約。29歳のニモは今オフにメッツと8年総額1億6200万ドル(約223億4000万円)で再契約を結んだ。しかし、ニモは2016年のメジャーデビュー以降100試合以上に出場したのは2018年と今季の2度のみ。打率も1度も3割を超えたことはなく、通算7年間の成績は打率.269(1973打数530安打)、63本塁打、213打点、23盗塁というもの。四球は多く、最近3年間で出塁率4割以上を2度マークしているが、守備力の指標も高くなく、ジャッジ以外にFAの目玉外野手がいなかったとはいえ、明らかに“貰いすぎ”のようにも見える。

 また、比較的高額な契約を得やすい先発投手はインフレの傾向が顕著。気になるところだと、レイズが3年総額4000万ドル(55億2000万円)で契約を結んだザック・エフリン(フィリーズからFA)の例だ。エフリンはメジャー3年目の2018年に11勝、翌2019年に10勝を挙げ、年齢も28歳とこれから全盛期を迎えるとも考えられるが、ここ3シーズンの勝利数は合わせてもわずか11勝。防御率も平均すると4点前後で、今季も3勝5敗、防御率4.04と際立った数字は見当たらない。

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20年前の一流投手の年俸と比べると…