他にも2020年から2年続けて勝ち星がなく、2021年には防御率6.43と苦しんだホセ・キンタナ(カージナルスからFA)が2年総額2600万ドル(約35億9000万円)でメッツと契約。通算89勝をマークし、今季パイレーツとカージナルスの2チームで6勝、防御率2.93とまずまずの結果を残してはいるが、間違いなくインフレの象徴的な契約だろう。

 今から約20年前となる2000年に活躍していた一流投手の年俸を調べると、ペドロ・マルティネス(レッドソックス)が1150万ドル(15億9000万円)、ロジャー・クレメンスは635万ドル(約8億8000万円)、ランディ・ジョンソンは1335万ドル(約18億4000万円)、グレッグ・マダックスは1110万ドル(約15億3000万円)と、年俸にするとジョンソン以外はエフリン、キンタナを下回る。当時と国の経済状況も違うだろうが、今ではローテーションの4番手、5番手クラスが当時の大エース級の額を稼げる時代になっている。

 日本人選手も今オフにポスティング制度を利用してメジャーに挑戦した吉田正尚(前オリックス)はレッドソックスと5年総額9000万ドル(約124億1000万円)、千賀滉大(前ソフトバンク)はメッツと5年総額7500万ドル(約103億4000万円)といずれも高額での契約となった。

 2000年代前半に日本からメジャーに移籍した一流選手の年俸を見ると、野手ではイチローが3年総額1400万ドル(約19億3000万円)、松井秀喜は3年総額2100万ドル(約29億円)、投手では石井一久が3年総額1230万ドル(約17億円)となっている。当然、日本人選手の評価も当時と変わっているが、いかに高給取りになっているか分かるだろう。

 FA市場で注目されるような実績のない選手でも、今季92試合に出場して打率.243、12本塁打、38打点、1盗塁で出塁率も.287だったアレドミス・ディアス内野手(アストロズからFA)が2年総額1450万ドル(約20億円)という契約を手に。守備では内野のどのポジションも守ることができ、外野の守備にもつけるユーティリティ性はあるが、過去の成績をみても突出したものはない。日本では三冠王を獲得した村上宗隆が3年総額で18億円という契約を結んだことで話題となったが、メジャーでは並の選手でも、その額を超えているケースも少なくない。

次のページ
ここまで年俸が高騰している要因は?