「昨年まで巨人の編成副本部長を務めた大森剛氏は自身が選手としてドラフトされる際に『巨人以外は行かない』と明言した。当時の他球団スカウトは困り果ててしまった。その大森氏が皮肉にも逆の立場に立っていた。表立って拒否はしなくとも巨人との接触を避ける選手も出てきていた」(アマチュア野球に詳しいスポーツライター)

 巨人の待遇の良さは今も昔も変わらないため、ドラフト候補の選手や関係者にとって不人気というほどまでにはなっていない。しかし選択肢が増えた近年、昔ほどの魅力がなくなってしまったというのは事実だろう。

 また、巨人に匹敵する人気チームである阪神に“入りたくない”と考える選手たちもいるようだ。

「阪神の評判が良くないのも有名。決め手は藤浪晋太郎を育てられなかったこと。甲子園で春夏連覇の立役者となった右腕はプロ1年目から3年連続で2ケタ勝利を挙げたが、その後は伸び悩んだ。同級生の大谷翔平(NPBでは日本ハムでプレー)が順調に成長したこととも比較された。阪神に入ったら伸びない、と言う話がアマ球界に流れている」(アマチュア野球に詳しいスポーツライター)

「阪神で結果を出すのは大変なこと。伝統球団で数多くのOBがおり、現場に口を挟んで指導する場合もある。またファン、マスコミが結果に一喜一憂することで精神的に追い込まれる選手も少なくない。タニマチとの付き合いも他球団に比べ目立つ。ブレない心や、強いメンタルが何より必要となる」(阪神担当記者)

 藤浪だけでなく、過去にもドラフト上位選手が結果を残せず阪神を去っていったケースも多い。また巨人と並ぶ伝統球団と言われるが、2リーグ制後の優勝回数が巨人の38回(日本一22回)に対して阪神は5回(同1回)と“勝てるチーム”とは言い難い。加えて野球以外のことにも上手く対処していくことも求められるため、その部分を懸念する選手も存在するようだ。

 そして、待遇面が各チームに差がなくなった今、選手たちの人気を左右するのが育成プランの一貫性だという。

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育成ビジョンがブレるチームは不人気?