【タイプ2. むくみ・軟便「湿の停滞」タイプ】

 飲み過ぎ食べ過ぎ、脂っこい食事の取り過ぎなどで「脾胃(胃腸)」の働きが落ちると、水分代謝が悪くなり、体内に「湿(余分な水分や汚れ)」が溜まるように。するとベタベタとした湿が腸管壁にも停滞し、腸内環境の悪化につながります。

 湿は一度溜まるとなかなか取れにくいため、弱った脾胃を整えながら時間をかけて対処を。腹八分目、消化の良い食事など脾胃に負担のない食生活を心がけ、水分代謝を上げて湿をすっきり取り除きましょう。

●気になる症状
胃もたれ・ムカつき、口内のネバつき、胃腸虚弱、下痢・軟便、身体が重だるい、めまい、むくみ、雨や低気圧で症状が重くなる、舌苔が厚くベタつく

●食の養生
芳香性、温性、利水できる食材で、脾胃の働きを整え、湿を取り除きましょう。
しそ、サンザシ、カルダモン、梅干し、小茴香(しょうういきょう)、シナモン、しょうが、 春雨、もやし、とうもろこしの髭茶、はと麦、粟、とんぶりなど

【タイプ3. 便秘気味「熱こもり」タイプ】

 辛いものやアルコールの取り過ぎ、過食などの要因で体内に過剰な熱が発生すると、「脾胃(胃腸)」にも熱がこもって腸内の水分を消耗してしまいます。その結果、腸が乾燥して便秘気味になり、腸内環境の悪化を招いてしまうのです。

 このタイプの養生は、体内の余分な熱を冷ましながら、腸の潤いを保って便通を良くすることが基本。暴飲暴食は熱体質の大きな要因となるので、食生活の改善を心がけ、脾胃の働きを健やかに整えましょう。

●気になる症状
過食、口の渇き、口臭、熱がり、赤ら顔、湿疹、吹き出物、尿の色が濃い、便秘、お腹の脹り・痛み、舌が紅い、苔が黄色く乾燥気味

●食の養生
涼性、苦味のある食材で身体の熱を冷まし、便通を良くしましょう。
バナナ、キウイフルーツ、いちじく、アロエ、こんにゃく、ごぼう、大根、水菜、きゅうり、 苦瓜、ハブ茶など

【タイプ4. イライラ・不眠「気の停滞」タイプ】

 過剰なストレスなどで「肝」の機能が低下すると、体内の「気(エネルギー)」の巡りが停滞してしまいます。すると、「脾胃(胃腸)」も気が滞り、お腹の張りや痛みが現れるように。また、脾胃の働きが落ちて下痢や便秘を起こしやすくなり、腸内環境の悪化につながります。

 腸はストレスのダメージを受けやすい器官なので、日頃から気持ちをリラックスさせるよう心がけて。ハーブなどの香りでストレスを上手に発散し、気の巡りをスムーズに保ちましょう。

●気になる症状
胃やお腹の張り・痛み(ガスを出すと症状軽減)、憂うつ、イライラ、不安、不眠、胸やのどの詰まり、げっぷ、下痢または便秘、月経痛、ストレスで症状が重くなる

●食の養生
香りのよい食材と酸味で肝を整え、気の巡りをスムーズにしましょう。
みかんの皮(陳皮)、菊花茶、ジャスミン茶、ミント、セロリ、クレソン、そば、グリーンピース、トマト、梅干し、いちごなど

■暮らしの養生

  • 食生活を整えて胃腸を健やかに。
    五味[酸・苦・甘・辛・鹹(塩味)]、四気[寒・涼・温・熱]の食材をバランスよく。
    薄味、温かいもの、腹八分目、ゆっくり食べる、を意識して。
  • 日常のストレスはこまめに発散。
  • 適度な運動で血流を促し、胃腸の働きを活発に。
  • スムーズな便通で腸内環境を整える。

【胃腸に効くツボ】

<足の三里(あしのさんり)>
ひざのお皿の下の縁から指4本分下がったむこうずねのすぐ外側
※入浴後などのリラックスした時間に呼吸をととのえながらほどよく刺激しましょう。

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

本記事は、イスクラ産業株式会社が発行する情報誌『チャイナビュー』より、一部改変して転載しました。同誌は日本中医薬研究会の会員店で配布しています

監修:菅沼 栄先生(中医学講師) 1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。 1979年、来日。 1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。 主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
監修:菅沼 栄先生(中医学講師) 1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。 1979年、来日。 1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。 主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。