死闘を演じた那須川天心(右)と武尊
死闘を演じた那須川天心(右)と武尊

6月19日に開催された、「那須川天心VS武尊」戦がメインとなった東京ドームでの格闘技イベント「THE MATCH」は、5万6399人もの観客を集めた。「天心VS武尊」の対決は格闘技ファン待望の試合だったが、地上波での放送はなし。ネット動画サービス「ABEMAプレミアム」が独占配信した。だがフタを開けてみれば、テレビ中継なしでも興行的には大成功を収め、試合は世間の大きな話題となった。図らずも、テレビに頼らなくても格闘技イベントは盛り上げられることを証明した形となった。「天心VS武尊」戦を契機として、スポーツ放送の在り方が大きく変わる可能性がある。

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 格闘技ファンが待ち望んだ「世紀の一戦」は、那須川天心が武尊を判定5-0で下した。それぞれ別の格闘技団体に所属しながら頂点に立ち、およそ7年の紆余(うよ)曲折を経て実現したカードだっただけに、2人には大きな称賛が送られた。

「天心VS武尊」戦は世間の注目が高かっただけに、当初、「THE MATCH」はフジテレビがゴールデンタイムで放送する予定だった。だが、5月31日に同局は「主催者側との契約に至らず、放送しないことが決まった」と発表。これに対して、天心は自身のSNSで「お金の為じゃねえんだよ。未来の為にやってんだよ。子供達はどうすんだよ」と怒りをあらわにし、武尊も「この試合の意味を分かって欲しい」と訴えた。

 結局、試合は「ABEMAプレミアム」でのネット配信のみとなったわけだが、結果的にはこれが大成功。視聴する番組ごとに料金を支払うPPV(ペイ・パー・ビュー)は50万件を超えたと発表された。

 PPV方式のチケットは、5500円(ABEMAプレミアム会員は4400円)の「一般チケット」と、7700円(同6160円)の「那須川天心応援チケット」「武尊応援チケット」の3種類が販売された。この金額帯のチケットが50万件も売れたというのだから、莫大な収益となったことは想像にかたくない。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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イベントの総収入は50億円以上?