ともに昨シーズンから巨人に加入した井納翔一(左)と梶谷隆幸(右)
ともに昨シーズンから巨人に加入した井納翔一(左)と梶谷隆幸(右)

 昨年の3位から巻き返しを図っている巨人。エースの菅野智之が本調子ではなく、野手も大黒柱の坂本勇人が故障で離脱するなどチーム状態は万全ではないが、抑えに定着したルーキーの大勢をはじめとした若手投手陣の台頭とポランコ、ウォーカーの新外国人野手2人の活躍もあってここまで首位争いを演じている。

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 ただそんなチームの中にあって、すっかり存在感が薄くなっているのが昨年FAでともに横浜DeNAから加入した梶谷隆幸と井納翔一の2人。今シーズンはここまで一軍出場がなく(井納は5月31日に一軍登録)、梶谷は5月に左膝の手術を受けて今シーズン中の復帰は絶望と言われているのだ。ちなみに巨人がシーズンオフに複数のFA選手を獲得したケースは梶谷と井納の補強を除くと過去に9度あり、それぞれ以下のような顔ぶれとなっている(年は入団年度、カッコ内は前所属チーム)。

1995年:川口和久(広島)、広沢克己(ヤクルト)
2000年:工藤公康(ダイエー)、江藤智(広島)
2006年:野口茂樹(中日)、豊田清(西武)
2007年:小笠原道大(日本ハム)、門倉健(横浜)
2012年:村田修一(横浜)、杉内俊哉(ソフトバンク)
2014年:大竹寛(広島)、片岡治大(西武)
2015年:相川亮二(ヤクルト)、金城龍彦(横浜)
2017年:森福允彦(ソフトバンク)、山口俊(横浜)、陽岱鋼(日本ハム)
2019年:炭谷銀仁朗(西武)、丸佳浩(広島)

 入団後に苦しんだ選手も確かにいるが、揃って結果を残せなかったというケースは見当たらない。特に小笠原、村田、杉内、丸などはチームに欠かせない存在となり、優勝にも大きく貢献している。強いて言えば2015年に入団した相川と金城が成績的には目立った数字を残してはいないが相川は貴重な控え捕手として存在感を示しており、金城はDeNAからコーチを打診されてのFA宣言だったことを考えると期待もそれほど大きくなく、首脳陣やファンの失望も少なかったはずだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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