中森明菜(左)と松田聖子
中森明菜(左)と松田聖子

 平成生まれの10代、20代の間で昭和歌謡や昭和ポップスにはまる人が増えている。TikTokでは昭和の楽曲を使ったショート動画が数多く投稿され、総再生回数は9億4400万回を超える。若者の間でとりわけ人気なのが、80年代に双璧をなしたアイドル中森明菜と松田聖子。YouTube上での再生回数が数百万回を超える動画も多く、コメント欄では「リアルタイムで応援したかったな…」「私はこれからも明菜ちゃんを愛し続ける高校生です!」といった声が上がる。なぜ、今の若者が「80年代アイドル」に魅了されるのか。昭和マニアであり中森明菜を深く愛する現役大学生シンガー・ソングライター・アマイワナさん(22)に話を聞いた。

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 平成生まれにして、昭和歌謡や80年代アイドルをこよなく愛するアマイワナさん(22)。現役大学生シンガーとして活躍する一方、YouTubeで昭和アイドル風のナレーションで豚まん作りに挑戦したり、フェイスシールドの正しい使い方を昭和CM風に紹介する動画などをアップ。昭和的センスを爆発させた動画でも人気を集めている。

 アマイワナさんに“推し”を聞くと、中森明菜、松田聖子、小泉今日子といった80年代に一世を風靡したアイドルの名前を挙げる。80年代アイドル活躍をリアルタイムでは知らない彼女にとって、昭和ポップスの魅力はどこにあるのだろうか。

「新鮮さや、驚きに近い感覚かな。特に80年代アイドルのカルチャーは独特で、自分にとって全部が『新しい』んです。ファッションもおしゃれでかわいい。今の時代に当時の彼女たちが着ていたものを着てもおしゃれだなと思うし、見ていて楽しい。まったく古さを感じません」

 中でも中森明菜さんの熱烈なファン。映像の中での中森明菜は、アマイワナさんにとっては年下で「かわいい」存在。親しみを込めて「明菜ちゃん」と呼び、その魅力を熱く語る。

「明菜ちゃんは、『少女A』などの楽曲を歌ってツッパリのイメージがあると思うんですけれど、歌番組の映像を見ていると、とっても謙虚で腰が低くて、『私なんか、私なんか……』という感じなんです。小声でぼそぼそしゃべるイメージもあるけれど、デビュー当初の映像を見ていると、にこにこしていて、ちゃめっ気があって、かわいいなあと思って見ています」

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ソロで歌えるアイドルの「存在感」