そうした中、中森明菜はモノトーンを基調にした中性的な服や、ツッパリ系の衣装で対をなした。『DESIRE』を歌った86年の紅白では、白銀色のボブ頭に白い着物、白いブーツ、といういでたちで、独自路線を貫いた。

「明菜ちゃんは、ファッションにも自分で意見して決めていたと言っていましたし、スタイリストがいないときは、自分で服を買いに行っていたらしいです。聖子ちゃんはフリフリのかわいらしい衣装のイメージがありますが、実はデビュー曲『裸足の季節』の歌番組で着る衣装は、あらかじめシックなワンピースやツーピースの衣装が用意されていたそうです。でも、その時に『イメージと違う』と言って自分で買いに行って選んだのがフリフリのワンピースだったらしくて。なので、最初にフリフリの『松田聖子像』を作ったのは、周りの大人ではなく聖子ちゃん自身。明菜ちゃんも聖子ちゃんも、たくさんの大人がいた中でもこだわりを持って意見して、自分のセンスを発揮していたんです。尊敬しますね」

 アマイワナさんはグッズ収集にも熱を入れており、80年代の雑誌のほか、レコードも買いあさっているという。『明星』『平凡』といった雑誌のバックナンバーを全部読むために国会図書館にも通っていたというのだから、もはや筋金入りの昭和マニアだ。なぜ、ここまで当時のカルチャーに惹かれるのだろうか。

「なんといっても、昭和特有のエネルギッシュなパワーです。60~70年代の高度経済成長期をへて、80年代のバブルへ向かう、ギラギラしている感じが大好きなんです。当時のライブ映像を見ていると、観客席の熱量もすごくて、同じことをやっても、昭和のあの時代と令和でやるのとでは見ている側の気分も違うと思います。今は当時のように純粋な楽しさを求めてもなかなかできない。そんな時代が来たらすごくうれしいけれど、近い将来ではきっと来ないだろうなと思うので、憧れますね」

 アマイワナさんも自身の楽曲『上海惑星』や『正しい乙女』をはじめとするMVでは、画質や色使いなどでレトロチックな雰囲気が漂い、他の動画でもテロップの字体やカメラアングルなど、随所で昭和番組のオマージュをささげている。

 昭和エキスを存分に取り込んだ新世代が、今後も新たな表現を生み出していくはずだ。(AERA dot.編集部・飯塚大和)

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