今季はMLBで首位打者となったDeNA時代のグリエル(写真・横浜DeNAベイスターズ提供)
今季はMLBで首位打者となったDeNA時代のグリエル(写真・横浜DeNAベイスターズ提供)

 元DeNAのユリエスキ・グリエル(アストロズ)がメジャーリーグのア・リーグ首位打者(.319)となった。ベテランと言われる年齢で、世界最高峰のリーグでタイトルを獲得するのは並大抵なことではない。

【写真】イチローが「本当の天才」と言った男とは?

 37歳での首位打者獲得はバリー・ボンズ(ジャイアンツ他)の39歳に次ぐ史上2番目の年長記録。またNPB経験者がMLBでも首位打者を獲得するのはイチロー(マリナーズ他)に続く2人目となる。16年にメジャーリーガーになったグリエルは、ついに歴史に残るスーパースターたちと肩を並べたことになる。

 かつて日本のプロ野球を経たのちに、アメリカで活躍した外国人選手は決して少なくないが、この年齢になって首位打者を獲得するような選手は他に見当たらない。NPBには脂の乗った30歳だった2014年に来日し、出場したのはわずか62試合。打率.305、11本塁打と成績的には大きなインパクトは残せなかったが、来日時に「史上最強打者グリエル横浜上陸」と騒がれたように、そのスケールは一流のメジャーリーガーと同様のものを感じさせた。

 打撃だけではなく、総合的な能力も高く評価されたグリエルが、あのまま日本でプレーを続けていたら“史上最強の助っ人”になっていたのではないだろうか……。

「確かな技術があるので年齢を重ねてもヒットを打つことができる。右左などタイプは違いますがイチローと同様です。パワーは全盛期に比べると多少の衰えは感じますがバットヘッドの走りは相変わらず。ボールを強く正確にコンタクトすることができるのでヒットゾーンに打ち返せる。打撃だけでいえば今後数年はメジャーでも結果を残せるのではないか」(MLBアジア地区担当スカウト)

「スイングスピードが速かったのを覚えている。手元までボールを引きつけて打てるので選球眼も良かった。打撃練習では横浜スタジアムの場外まで簡単に飛ばすパワーもあった。軸もブレなかったので変化球に崩されることもない。長打力と確実性の両方を兼ね備えていて彼が打ち始めるとみんなが手を止めて注目していたのを覚えている」(DeNA関係者)

次のページ
キューバの至宝だったグリエル