巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社
巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社

 一昨年、昨年と2年連続で日本シリーズを戦ったソフトバンク巨人。ソフトバンクは4位に沈んだが、巨人は何とか3位に入りクライマックスシリーズへと駒を進め、3年連続となる日本シリーズ進出の可能性はまだ残されている。ヤクルト阪神の上位チームを破っての下剋上はあるのか、シーズン後半戦の戦いぶりから探ってみたいと思う。

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 2007年から導入されたクライマックスシリーズだが、過去に3位のチームが日本シリーズに進出したのは2010年のロッテと2017年のDeNAだけ。2位のチームでも4例しかない。2008年からはレギュラーシーズン1位のチームにファイナルステージ(2009年までの名称は第2ステージ)で1勝のアドバンテージが与えられることとなっており、やはり2位以下から勝ち上がることは容易ではないことがよく分かる。巨人の上位チームとの今年の対戦成績を見てもヤクルトとは11勝11敗3分、阪神とは9勝13敗3分と決して相性が良いわけではなく、これらのデータを見ても日本シリーズ進出への道は険しいと言わざるを得ない状況だ。

 さらにペナントレースの数字を見ても巨人に良い要素は見えてこない。8月終了時点では51勝37敗12分と14もの貯金を抱えていたが、9月以降は球団史上4度目となる10連敗を喫するなど10勝25敗8分と大失速。最終的に借金1という形でレギュラーシーズンを終えている。何とか広島の追撃は振り切ったものの、チーム状態が良くないのは明らかである。

 そんな中でわずかながら巨人の光となりそうなのがエース菅野智之の存在だ。今年は度重なる故障もあってキャリアワーストとなる6勝7敗という成績に終わったものの、9月以降の数字だけを見ると4勝2敗と状態を上げていることは間違いない。また対戦チーム別の成績を見てもヤクルトには2勝0敗、防御率0点台と圧倒的な数字を残している。2018年のファーストステージでも菅野はヤクルトを相手にノーヒット・ノーランを達成しており、その時のことがヤクルトナインの脳裏に浮かぶような展開になれば、巨人にとっては大きな追い風となるはずだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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