だが、この会見拒否の一連の経緯で孤立を深める結果となってしまった。SNS、ネット上では「プロテニスプレーヤーの仕事は、テニスをするだけではない。プレス対応もふくまれる。仕事の一部を放棄するのであれば、プロなど辞めてアマや趣味の領域で楽しんでいればいい。いくらマスゴミ相手でも、さよなら、せいせいするとのメッセージ性を込めたアピールは、人としての常識を疑う」、「もちろん選手への質問の在り方を考える事は大事。でも、選手もその大会の主催者やスタッフ、スポンサー、観てくれるファンがいてくれる事を忘れてはいけない。その大会に出場するのであればちゃんと会見は受けなければいけないと思う」と批判の声が殺到した。

 テニス雑誌の編集者はこう振り返る。

「彼女は20年の全米で人種差別に対する抗議運動を行い、記者会見で世界中からの注目度が高まったが、それが結果的には大きなストレスになっていたのかもしれない。ただ記者会見拒否は、『もしかしたらするかな』という不安が前々からありました。マスコミの同業者でも『何でこんな質問をするんだろう』というジャーナリストがいて、大坂なおみも首を振って悲しい顔をしていた。記者会見を拒否するというのはあまりにも極端な決断でした。マスコミにも色々な人間がいるし、その人間が発信する情報をファンは待っているし、スポンサーも願っている。彼女の周りに会見拒否を止める人がいなかったのが残念です」

 欧州駐在のジャーナリストは「彼女の人生は色々ありすぎて心が疲弊している。コートに戻ってくればいいが、モチベーションが上がらなければ現役引退の恐れもある。今はテニスを一度忘れて、自分の人生をより良いものにするために療養してほしい」と心身のリフレッシュを願った。

 満面の笑みを浮かべ、コートで楽しそうにプレーする日は再び訪れるだろうか。(牧忠則)