涙を成長の糧に…試合中に泣き、そして“大きくなった”プロ野球選手たち (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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涙を成長の糧に…試合中に泣き、そして“大きくなった”プロ野球選手たち

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久保田龍雄dot.
ソフトバンクの今宮健太 (c)朝日新聞社

ソフトバンクの今宮健太 (c)朝日新聞社

 8月19日の阪神戦に先発した巨人・メルセデスが左肘のコンディション不良のため、2回で降板を告げられた際に目に涙を浮かべ、説得にあたった宮本和知投手コーチも思わず貰い泣きをした。9月12日には立て続けに守備でミスを犯したソフトバンクの周東佑京が、自身のプレーのふがいなさに人目を憚らず涙したことも話題となった。

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 試合中に選手が見せた涙。過去にも、引退試合やヒーローインタビューに限らず、数多くの名場面がファンの心に残っている。

 プロ2年目の西武・清原和博がチームの勝利を目前にして一塁の守備位置で号泣したのが、1987年11月1日の日本シリーズ第6戦だ。

 PL学園時代に巨人入りを熱望し、指名を確実視されたにもかかわらず、ドラフト当日、巨人が1位指名したのは自分ではなく、同僚の桑田真澄だった。裏切られた思いに駆られた清原は、「王(貞治監督)さんに“あのとき清原を獲っておけば良かった”と言わせたい」と“打倒巨人”を誓い、西武の若き主砲に成長した。

 そして、運命のドラフトから2年後、因縁の巨人と日本シリーズで対決。3勝2敗で日本一に王手をかけた第6戦も、3対1とリードして最終回を迎える。先頭の原辰徳が右飛に倒れたあと、吉村禎章の遊ゴロを処理した清家政和が一塁に送球すると、万感胸に迫った清原は、泣きながらボールを受けた。セカンドの辻発彦が駆け寄り、「おい、しっかり目を開けんかい!」と肩を叩いても、清原の嗚咽は止まらない。

「自然にこみ上げてきたんです。最後の守りに就いたとき、足がガタガタ震えてきて」。

 9回2死の勝利目前で思わぬアクシデント。だが、マウンドの工藤公康は冷静だった。次打者は左打ちの篠塚利夫。変化球を投げたら、引っ張られて清原のところへ打球が飛ぶリスクが大きい。

 もし走者が出れば、一発でたちまち同点である。そこで、外角に速球を投げて逆方向に打たせようと、「最後の力を振り絞って、全力で速い球を投げ込んだんです」。結果は中飛でゲームセット。清原の涙が今も日本一決定の名場面として語り継がれているのは、咄嗟に一塁抜きの守備陣形を想定した頭脳的投球で2点差を守り切った“陰の主役”工藤の功績と言えるだろう。


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