開幕から苦しい投球が続くスコット (c)朝日新聞社
開幕から苦しい投球が続くスコット (c)朝日新聞社

 毎年多くの外国人選手が大きな期待を背負って来日するが、長く日本で活躍できる選手はわずかである。そこで今回は今年新加入した外国人選手の中で、残留が難しそうな選手をピックアップして紹介したいと思う。※成績は9月30日現在のもの

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 セ・リーグではDeNA、広島、ヤクルトの3球団に微妙な立場の選手が多い。まずDeNAで最も厳しい状況にあるのが投手のピープルズだ。先発の一角として期待されて入団し、ここまで9試合に登板(うち先発は7試合)して2勝をマークしているが防御率は5点台と安定感を欠くピッチングが続いている。多くの球種を操るが、組み立ての中心となるようなボールがないのが現状だ。外国人枠の問題もあって、登板機会が不規則で調整しづらかったというのは不運だったが、残りの試合でよほどの快投を続けなければ今季限りとなる可能性が高いだろう。

 DeNAでもう一人評価が難しいのがオースティンだ。メジャーリーグで放ったヒットの約3割がホームランという長打力を期待されて加入し、度々その力を見せつけるような場面はあったが、とにかくコンディションが安定せずに全体の半分以下の出場試合数にとどまっている。守備のプレーをきっかけに故障することも多いだけに、指名打者制のないセ・リーグには向いていないという声が聞かれるのも確かだ。今年で29歳とまだ若く、ソトの去就が微妙なだけに残留の可能性も十分にあるが、安定して試合に出られない状況が続くようだと今年限りで退団ということも考えられる。

 下位に沈む広島は既にD.Jジョンソンが楽天にトレードとなったが、もう一人リリーフとして期待されたスコットも今年限りとなる可能性が高そうだ。クローザーを任されたものの、開幕3戦目のDeNA戦で一つのアウトもとれずに4連打を浴びて逆転サヨナラ負けを喫すると、その後も投球に改善の兆しは見られず、6試合に登板して防御率は22.50という散々な成績に終わっている。速いスライダーとツーシームで組み立てるがどちらも制球はアバウトで、打者を圧倒するような球威も見られない。唯一の話題となったのが初の南アフリカ出身選手というのは寂しい限りである。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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