再びバレーのユニフォームに袖を通すことになった越川は、8月からチームに合流。9月下旬には2020シーズン最初で最後となるビーチバレーボールの公式戦「ジャパンビーチゲームズJBVシリーズ千葉市長杯」に出場した。現在は神奈川の自宅から離れ、ヴォレアス北海道のホームである旭川市に単身赴任で活動中だ。

 ヴォレアス北海道との契約は1シーズン。越川の役目は言わずもがな、チームをV1リーグ昇格へ導くことである。

「昇格はもちろんですが、その先にあるV1のステージで勝つために必要なものを現場に落とすために僕は呼ばれました。これまでの僕の経験をプラスアルファすれば、クラブチームとしても進化していくスピードを上げることができると思います」

 近い将来を見据えてバレーの舞台に戻ってきた越川だが、ビーチの活動を続行していくと断言している。常に結果を求められるプロ選手がバレーとビーチを両立することは、本当に可能なのだろうか。

「正直、どんなに能力の高い選手でも、両方で勝つのはそんなに簡単ではないと思います。バレーの代表選手となると夏もシーズン中ですし、ビーチとのスケジュール調整は難しい。チーム全員の理解と環境も必要になってきます。けれど僕自身は、契約時からチームの理解を得られていますし、ヴォレアスには所有しているビーチコートもある。練習環境にも恵まれています。来季の契約は未定ですが、リーグ戦後はビーチに戻ります」

 なぜそこまでして、床と砂を行き来する必要があるのか。今回のインタビューで最も聞きたかったことをぶつけた。

「両立しているからこそ、言えることが今後の人生プランで出てくるからです。今はまだ勉強中ですが、いずれバレーボールの総合型スクールを立ち上げたいと考えています。アンダーカテゴリーでは、バレーとビーチを分ける必要がなく、やりたいときに両方取り組めるカリキュラムを作りたい。そして選択するタイミングがきたら選択する、という流れを作りたいと思っています」

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“両立”は成功するのか…